2012年7月25日水曜日

チムそばの DEATH ラーメン [gourmet]

何度かこのブログで言及しているチムそば.今日は,ちょうど2年前にはじめて食べて衝撃を受けて以来,時折無性に食べたくなる裏メニュー「DEATH ラーメン」を紹介します.

辛いものが好きな方は,試してみる価値ありです.辛いだけのラーメンならいくらでもあるけど,DEATH ラーメンはあとを引く辛さなんです.

辛味が来て旨味が来てまた辛味が来て,最後に辛味に犯されるラーメン.

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さんざん辛味に犯された後に,パルメザンチーズをトッピング.辛味に交わるまろやかさ.悪魔の中の天使のささやき.もはや麻薬.

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今日の名言.

鶏を使おうが豚を使おうが,死んだものですよ.でもスープは生き物なんですよ.いいラーメン屋は,店主がいつもいて,こだわりを持ってスープを生かしてる店なんですよ.チェーン店のスープは死んでるんですよ.

-- きてぃさん



前にも書きましたが,ラーメン屋でもあり居酒屋でもあるので,飲みにいくにもいいし,つまみも美味しいですよ.
Peace Pipe: 西麻布 博多チムそば [gourmet]
Peace Pipe: 人柄が味に出る店 [gourmet]


2012年7月22日日曜日

愛されて育った人は表情とか仕草が魅力的 [reflection]

ふと目にしたツイート.



愛されて育ったひとは自分に自信があるから容姿が多少アレでも表情とか仕草が魅力的だしひとから愛されることに慣れてて愛されることを疑わないからすごく付き合い易い

ってのは,ホントそう思うなぁ…
愛されないで育った人がその逆かどうかは置いといて.

子を持つ親としては,心に残るツイートでした.


2012年7月21日土曜日

なぜ選ぶたびに後悔するのか - 人生の一切は選択である [book]

なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

自由の代償は大きい.
人生とは,選択の連続であり,迷いだらけである.

一方で,制約の美学,というものは,確かに存在する.
"My way or the highway (こちらのやり方に従うか,出ていくか)" を信条として選択肢を排除し,提供側が使い方をある種強制する Apple の製品などは,それが具体化された例だろう.


人生の一切は選択である。毎日、毎秒、わたしたちは選んでいる。そしてそこにはつねに、別の選択肢がある。

-- 本文より



とても気づきの多い良書でした.自分の為の備忘録を兼ねて書評を書いていたら長くなってしまったので,とりあえず一言にまとめると,「直感を頼りに選んで,あとは気の持ちようだから気にしない!」…かな.




仕事,遊び,宗教,恋愛,対人関係…といったものから,ランチのメニューやテレビのチャンネルまで,私たちは日々あらゆる選択を迫られ,都度,意思決定を遂行しています.

本書は,社会理論・社会行動学を専門とする心理学者の著者が,

- 日常向き合う選択の幅が,どう広がってきたかを示し,
- 選択という作業のプロセスを分析し,
- 選択が苦痛となるまでの過程とその理由を解説し,
- 選択が持つプラス面を利用し,マイナス面を避ける対策を紹介する,

という本.その内容は心理学,行動学,経済学のみならず,様々な市場調査,実験や研究に基いています.


あなたは気づいているでしょうか.意思決定はある程度操作可能であり,その過程と結果はひどく主観的であることを.

本書ではいくつもの調査結果,実験結果を紹介していますが,【フレームと期待】という概念から一例を挙げてみましょう.

あなたは医師で、アジアの小村で働いているとする。いま600人の村人が、命にかかわる病気にかかっている。治療法はふたつある。治療 A を選べば、確実に200人の命を救える。治療 B では、3分の1の確率で600人全員を救えるが、3分の2の確率で、ひとりも救えない。さて、どちらの治療法を選ぶだろう、A か B か?

あなたは医師で、アジアの小村で働いているとする。いま600人の村人が、命にかかわる病気にかかっている。治療法はふたつある。治療 C を選べば、確実に400人が死ぬ。治療 D では、3分の1の確率でひとりも死なせずにすむが、3分の2の確率で、全員が死んでしまう。さて、どちらの治療法を選ぶだろう、C か D か?


両者は同じことを言っていますが,A か B かでは大多数が A を選び,C か D では大多数が D を選ぶとのことです.

微妙な言い回しで中立点を操作できるし,損得の印象も操作できるということ.そしてこうした心理的作用は,意思決定に大きく影響するのです.

この「損失の痛みは得をする嬉しさを上回る」ことを利用すれば,所有感覚を操作することも可能です.例えば車を買う時に,希望するオプションをつけ加えるより,あるだけのオプションをつけて不要なものを断わってもらう方が,たくさんのオプションがつくことになるのです.


特に目から鱗が落ちたのは,著者のこんな一言.

割増も割引も、おなじことの言い換えにすぎない



他にも様々な興味深い概念が紹介されているので,簡単に触れておきます.

【カーマンのピーク・エンドの法則】

過去の経験の嬉しさ・不快さに関する記憶は,ほぼ全面的に,次の2つの要因で決まる.ピーク (最高の瞬間あるいは最悪の瞬間) にどう感じたかと,終わった時どう感じたか.

例えば,楽しくて有終の美を飾った1週間の休暇は,ピークは最高だったけど尻すぼみに終わった3週間の休暇よりも,楽しかったと記憶される.

そしてこうした感じ方は,将来の決定に影響を及ぼします.


【アベイラビリティ・ヒューリスティック】

なにかの情報が思い出しやすい (アベイラブル) ほど,過去に出会った回数が多かったのだと錯覚する.もちろんある程度はその通りだが,実際にはその他に,情報の目立ち方や鮮明さも,思い出しやすさに大きく影響する.

広告業者はこの概念を巧みに利用して,あなたの判断を歪めています.


【アンカーリング】

比較対象の別の品を錨 (アンカー) にして,基準を設定している.例えば,1500ドル以上するスーツばかり並んだ店で,800ドルのスーツは,掘り出し物に見える.

つまりある商品を売りたければ,それより高い高級バージョンの広告をうった上で,その商品を「お徳用パック」と銘打てば良い.


…といったような概念を説明した上で,著者は個人の特性を,2つの側面からとらえています.

1つは chooser か picker か.もう1つは maximizer か satisficer か.

【チューザー vs ピッカー】

チューザーは選ぶ人.ピッカーはつまむ人.

わたしたちはオプションが一握りしかなく、じっくり吟味できるときでさえ、まちがいやすいようにできている。しかも、決断の数と複雑さが増幅すると、ますますまちがいやすくなる。そして実際、わたしたちが日々向き合う決断の数と複雑さは、増幅し続けている。


オプションが増えて選択の機会が増えると,

- 決断に必要な労力が増す
- まちがいやすくなる
- まちがいの引き起こす心理的な影響が深刻になる

という負の連鎖がはじまり,人間は選ぶ人 (チューザー) から,つまむ人 (ピッカー) に変貌してしまいます.

チューザーは、オプションを前にして、長短を見比べてから決断を下す。自分の人生で重要なのはなにかを考え、いま現在の選択で重要なのはなにかを考え、決断が将来に及ぼす影響を、長期的、短期的に予想する。選択は選んだ本人の人格を反映することを理解していて、それを踏まえて決断を下す。そして、望みにかなうオプションがどこにもないときは、そういうこともあると見極めをつける。それでも完璧なオプションが欲しいなら、自分でつくるしかないと承知している。

ピッカーは、このどれをもしない。



【マキシマイザー vs サティスファイサー】

マキシマイザーの目的は最大化です.欲しいのは最高であり,最高でなければだめと信じている.それに対してサティスファイサーの目的は,満足すること.

マキマイザーは、買い物や決断をするたびに、それが考えられるかぎり最高だと確かめないではいられない。どうすれば、それが絶対に最高だと確かめられるだろう? 確かめるには、ほかのオプションをすべて調べるしかない。

サティスファイ (満足) とは、まずまずいいものでよしとして、どこかにもっといいものがあるかもしれない、とは考えないことだ。サティスファイサーは、自分の中に基準なり原則なりをもっている。そうした基準にかなう品がみつかったら、みつかった時点で、探すのをやめる。


マキマイザーは、選択したあとで、時間がなくて調べられなかった別のオプションの存在にさいなまれる。おかげで、せっかく最高の品を選んだというのに、サティスファイサーほど満足できないことが多い。


マキシマイザーはサティスファイサーに比べて,

- 商品の比較にこだわる
- 買うと決めるまでに時間がかかる
- 自分の買ったものと、他人の買ったものの比較に時間を費やす
- 買ったあとで後悔することが多い
- 買ったあとで、買わなかった別の候補についてあれこれ考えることが多い
- 全般に、買ったものに対する評価が低い

- いい出来事をあまり楽しまず、悪い出来事を乗り切るのが上手でない
- なにか悪い出来事が起こった後で、生活の充足感を取り戻すのに時間がかかる
- くよくよ考えたり、思い煩うことが多い



では,どうすればいいのか...?
最後に著者は,以上を踏まえて,「満足して生きるための選択術」というものを提案しています.

1. 選ぶときを選ぶ
2. つまむひと (Picker) ではなく、選ぶひと (Chooser) になる
3. 満足 (Satisfy) を心がけ、最大化 (Maximize) を控える
4. 機会コストを機会コストとして考える
5. 決断は取り消し不能にする
6. 「感謝の心」を実践する
7. 後悔しない
8. 順応を見越す
9. 期待を管理する
10. 他人との比較はほどほどに
11. 制約を歓迎する術を学ぶ


それぞれの詳細は本書に譲りますが,必要な所だけ少し補足しておきます.

【1. 選ぶときを選ぶ】

生活の中で向き合う選択のうち,何が本当に重要かを見極めて,そこに時間とエネルギーを集中させる.

選択には負の側面があることを自覚し,たとえば「オプションは2つまで (服を買うとき覗く店は2軒まで)」といったルールを,自分の中に設ける.


【2. つまむひと (Picker) ではなく、選ぶひと (Chooser) になる】

チューザーは,必要があれば,自分のため他人にために新たなオプションを作ろうとする.ピッカーになると,目の前に並んだ選択肢の中から,なかば無理やり選ばされる.

つまむのではなく選ぶための時間を確保したいなら,一部の決断については,習慣,しきたり,規範,ルールにしたがって,自動的に決める覚悟が必要.

チューザーには目標を修正する時間の余裕がある.ピッカーにはない.チューザーには,トレンドを追わない時間の余裕がある.ピッカーにはない.いい判断を下すには時間と注意力が必要.


【3. 満足 (Satisfy) を心がけ、最大化 (Maximize) を控える】

サティスファイサーはマキシマイザーより,自分に満足していられる.その角を曲がった先の店に「最高」があるとしても,「まずまず」で手を打つ.要は,満足する機会を捉えて,それに感謝すること.

決断を迫られたとき「まずまず」のしっかりした基準が必要.つまりサティスファイサーになれるのは,自分の目標と願望をよく分かっている人だけ.なにがまずまずかを知るには,自分自身を知り,自分にとってなにが大切かを知らなければならない.


【4. 機会コストを機会コストとして考える】

- とくに不満を覚えているのでないかぎり,いつも買っているものを買う
- 「さらに便利な新製品」に誘われない
- 「痒い」のでない限り,掻かない
- 「そんなことをしたら世の中においていかれる」と心配しない


これら「満足して生きるための選択術」は,明確な指針として,賢い選択を助長してくれるでしょう.その上で,自分自身に改めて言い聞かせておきたい,私なりのポリシーを最後に書いておきたいと思います.

本書にあった「マキシマイザー」は,非常に耳の痛い話でした.特に自分がこだわる分野であればある程,完璧を目指してしまう.そんな,細部にこだわりがちになっている時は,「その時間でできる他のことを失っている」ということを自覚するようにしています.




やはり私としては,直感に勝る意思決定は無いと信じています.
Peace Pipe: フィーリング >>> 超えられない壁 >>> ロジック [memo]
Peace Pipe: 考えるより感じろ,という話 [memo]

モノゴトの結論というものは,直感から導かれ,論理でそれを後付けする.決してその逆であってはならない.



選択した後については,本書が提案している前述の「満足して生きるための選択術」にも「5. 決断は取り消し不能にする」「7. 後悔しない」というのがありましたが,私の中では「そもそも選択肢は最初から1つだったんだと思い込んでしまう」という考え方がとても心に残っています.
Peace Pipe: やってしまって,良かったと思え - 選択肢は常に1つだったと考える [memo]

「選んだ以上は後悔しないように云々」みたいな言葉はよく聞くけど,そもそも選ぶという概念から抜け出して,選択肢は最初から1つだったんだと思い込んでしまう,というのは目から鱗でした.



…さて,ここまで読んでくれた方,こんなダラダラと長い書評にお付き合いありがとうございました.最後はこんな言葉で締めましょう.男に限らず女性にも,そしてあらゆる分野に通用する言葉ではないでしょうか.

男の仕事の8割は決断だ.
そこから先はおまけみたいなもんだ.

-- 仮面ライダーWより


4270000384なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴
バリー シュワルツ


2012年7月18日水曜日

経済ってそういうことだったのか会議 - 最低限の経済知識を身につけておく為に [book]

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)

正直に言って,私には経済というものがよく分かっていません.
そんな経済に疎い人間に一番オススメの本と言われて,読んでみました.

本書は,「ポリンキー」「ドンタコス」「バザールでござーる」などのヒット CM や「ピタゴラスイッチ」などのテレビ番組企画を手掛け,「だんご3兄弟」の生みの親としても知られるメディアクリエーターの佐藤雅彦氏が,過去に経済財政政策担当大臣,金融担当大臣,総務大臣などを歴任した経済学者の竹中平蔵氏に質問をするという対話形式により,経済の様々な概念を紐解いていくもの.

「お金の正体」「株」「税金」といった基本的な概念からはじまり,「アメリカ経済」「円・ドル・ユーロ」「アジア経済」といった話に発展し,終盤では「投資と消費」「起業とビジネス」「労働と失業」といったところにまで踏み込んでいます.

佐藤氏の率直な疑問の切り口が秀逸であり,それに対する竹中氏の解説は素晴らしく明瞭.またそれをさらに佐藤氏が,人気クリエーターの本領発揮と言わんばかりにキャッチーな言葉で咀嚼し,全体を通してとことん分かりやすい内容になっています.

第1章: お金の正体 - 貨幣と信用
第2章: 経済のあやしい主役 - 株の話
第3章: 払うのか 取られるのか - 税金の話
第4章: なにがアメリカをそうさせる - アメリカ経済
第5章: お金が国境をなくす - 円・ドル・ユーロ
第6章: 強いアジア、弱いアジア - アジア経済の裏表
第7章: いまを取るか、未来を取るか - 投資と消費
第8章: お金儲けはクリエイティブな仕事 - 起業とビジネス
第9章: 人間とは「労働力」なのか - 労働と失業
終章: 競争か共存か


例えば通貨の話.
ヨーロッパは,車でちょっと走ればもう隣の国です.ならばなぜ日本でも,大阪と東京と札幌で違う通貨を使わないのか (実際,江戸時代の日本は江戸と浪速で違う貨幣が流通していたのだとか).そのヨーロッパの国々は,なぜ独自通貨を捨てて「ユーロ」に通貨統合したのか.なぜパナマは,自国のお金を発行せずにアメリカ・ドルを通貨としているのか.

…考えてみれば不思議ですよね.

株や税金にしてもそうですが,当たり前のように受け入れているけど,なぜそうなっているのか,実は分かっていなことばかり.経済ってそんなものではないでしょうか.


学生時代に経済学の授業を受けたり,会社でビジネスモデルの研修を受けたり,少しは国内外の経済動向に注目しているつもりの私ですが,どうにも経済がとっつきにくいものであったのは,理詰めでそれを理解しようとしていたからだと思い知らされました.

一方で本書は,背景や社会との結びつき,人間の行動や欲求,その国の文化や歴史などを交えて経済を解説しているからこそ,するすると身体に入ってきたのです.


大袈裟に言ってしまえば,経済とは,人間を理解することかもしれません.

人間という生き物は本能だけで生きる動物と違い,システムやプロセスといった多くの約束事を作ってきました.そんな人間社会の歴史において,必要性から生まれ,必要性から現在の形に姿を変えてきた経済.人間が,どこから来て,今どこにいて,これからどこに行くのか…その集大成が経済なのかもしれません.


好むと好まざるとに関わらず,我々の生活は,経済の仕組みの上に成り立っています.

もちろん経済のことが分かったからといって生活が向上する保証などありませんが,何か得体の知れないモノが生活の基盤としてあるよりは,納得感をもって毎日を送ることができるでしょう.

予備知識なしに,肩の力を抜いて読み進めることができる本,経済に詳しい方にとっても詳しくない方にとっても,経済を身近にしてくれる本.文字通り「経済ってそういうことだったのか!」と言うこと請け合いの1冊です.

共同体のあり方 -

経済学は、利己的な利益の追求を理論づけるだけの学問だと思っていた僕は、その言葉に少なからぬ感動さえ覚えてしまった。

我々が、個人としてだけではなく、みんなでどのように生きたらみんなで幸せになることができるのか。それを発端とする学問がオイコノミコス、つまり経済学の始まりだったのだ。

-- 佐藤雅彦 (序章「こうして会議は始まった」より)


4532191424経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
佐藤 雅彦 竹中 平蔵


2012年7月16日月曜日

志むらのかき氷 - 日本のかき氷って,ちょっとした芸術だと思う [gourmet]

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iPhone/iPad の容量の「その他」領域が大きすぎる場合の対処法 [memo]

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ふと iTunes を見ると,iPad の容量の中で「その他」領域が4.5GBほど食っていました.

いくらなんでも「その他」としては大きすぎるだろうということで,ちょっと検索してみると,同様の症状は結構あるようで,

・復元で工場出荷時の設定に戻し,またデータをリストアする

iExplore  (iOS デバイスのディレクトリ構造を覗けるフリーソフト) で不要なファイルを削除する

・Safari のデータを削除する (設定 → Safari → 詳細 → Web サイトデータ → 全 Web サイトデータを削除)

・メッセージアプリ内のメッセージを削除する

…などといった方法が試されているようですが,どれもめんどくさい.

そんな中,一番手っ取り早そうだったのがこちら.
Force iOS Devices to Recalculate “ Other" Capacity in iTunes

1. 当該 iOS デバイスをコンピューターに繋ぐ
2. iTunes を起動する
3. デバイスのホームボタン (表面の丸いボタン) と電源ボタン (スリープボタン) を同時に押下し,強制再起動する (再起動がかかるまで押し続ける)


こうすることで,「その他」領域が再計算されるとのこと.
手順の1と2は,必要無い気もしますね.

私の iPad は,4.5GBあった「その他」領域が1.28GBになりました (それでも大きい気がするけど).またすぐに肥大化しないか,ちょっと様子を見てみます.


2012年7月14日土曜日

夏祭り [diary]

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2012年7月10日火曜日

Early morning eats in Tsukiji [diary]

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デザイン思考の道具箱 - 創造性は方法の問題である [book]

デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方

日本の多くのメーカーはいまなにをつくっていいのかわからなくなっている。新製品開発現場で自信をもって商品開発をおこなっているところは非常に少ないはずである。

-- まえがきより


イノベーションを起こす為の公式や方程式があれば苦労は無いわけで,身も蓋もない言い方をすれば,多くの場合それは「天才のひらめき」だったり「たまたま」だったりする.

ただそれにしても,「どのようなプロセス,及びメンタリティで臨むべきか」については体系化できるところがあり,本書はそれを「デザイン思考」として提唱しています.

著者は,

創造性は個人の才能ではなく、方法の問題、ひいてはマネージメントの問題である

と主張します.
方法さえ身につければ,誰でも創造性を発揮できると言うのです.


本書の第1部では前フリとして,経営戦略の観点から,デザイン思考の重要性を説いています.IDEO や Apple の iPod など,デザイン思考を経営戦略として実践する組織の活動,及びデザイン思考の粋を集めた製品を紹介し,これからの商品開発を論じています.

第2部が,本題のデザイン思考の道具箱.具体的な方法論を紹介しています.創造のプロセスを解説し,さらにプラクティスとして「経験の拡大」「プロトタイプ思考」「コラボレーション」という題材を扱い,加えて下流のプロセスとして「イノベーションの評価」を説明しています.


少し内容について触れておくと,創造のプロセスは以下の通り.

ステップ1: 哲学とビジョンの構築
ステップ2: 技術の棚卸しとフィールドワーク
ステップ3: コンセプト/モデルの構築
ステップ4: デザイン (デモンストレーション用プロトタイプのデザイン)
ステップ5: 実証
ステップ6: ビジネスモデル構築
ステップ7: ビジネスオペレーション


プロセスが「哲学」からスタートしているのは興味深く,さらに同じ意味で語られがちな「ビジョン」と「コンセプト」を明確に分け,「コンセプトとはビジョンを可能にするために具体的な技術を組み入れて検討した解決策」とし,その両者をステップ2が繋いでいます.

ステップ4では,フォームブレスト,ダーティープロト,ビデオプロトと,様々な粒度のプロトタイプを説明した上で,デザインが決まってから作るのではなく,「考えるためにプロトタイプを行う」ことの重要性を説いています.余談になりますが,ACDM では "prototype" と "experimentation" という言葉に分け,製品に直結するような試作 (prototype) ではなく,製品には繋がらない,考えるための試作 (experimentation) というものが登場しますが,概念としては似ていると言えるでしょう.

このステップ4までがプロセスの上流にあたります.

特筆すべきは,一般的に「哲学」や「ビジョン」は相談して決めるようなものではなく,強い意志を持った個人が提唱するものであるところ,ここではあえて組織の中でチームとしてそれを構築するやり方を解説している点.

振り付けを覚えたら急にダンスが踊れるようになるわけではないように,創造のプロセスについても,実践するには理解だけではなくトレーニングが必要です.それを「経験の拡大」「プロトタイプ思考」「コラボレーション」という3つのプラクティスとして,1章ずつを割いて解説しています.


「技術よりユーザーが受け取る体験が重要」といった言葉,あるいは「プロトタイプ・ファースト」といった開発手法は,開発現場でよく聞くはずですが,それらの本質的な意味,作用の仕方,実施の手順と方法を,あえて「道具箱」という形で体系化している本書は,モノ作りの現場において注目されるべき1冊です.

道具は使い方を知らなければ役に立たないし,使い方を誤れば凶器にさえなる.やはりそれをどう活かすかについては,読者に委ねられます.とは言え,製品やサービスを手掛ける開発者のみならず,クリエイティビティを発揮するような立場にある人は,知識として自分の引き出しに入れておくべき道具を,本書で手に入れてみてはいかがでしょうか.

あれば便利なのに誰もつくってくれなかった商品をつくれば、大きな利益が出る。この単純なことを、企業はなぜできないのだろうか。それは、組織経営の中に、デザインをするという要素、クリエイティブな要素を評価する環境や制度がないからだ。

-- 本文より


4152087994デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方
奥出 直人


2012年7月9日月曜日

誰もが影響力を持てる時代 - あなたや私と,マザー・テレサの違いは? [memo]

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ツイッターノミクス を読んで,ふと思ったことです.


インターネットのサービスやツールの普及によって,様々なルールが変わったのか,いや本質的な部分は普遍でありネットによってそれが可視化されただけなのか,正直私には分かりません.

ただ1つ言えるのは,今は誰もが影響力を持てる時代だということ.

Twitter は,日常会話をネットに押し上げ,ネットから「パブリッシュ」という概念を無くしました.

そんな時代に,あなたや私と,例えばマザー・テレサ,ジョン・F・ケネディ,ジミ・ヘンドリクスのような人との違いは何か - それは見ず知らずの人に影響を及ぼす「範囲」ではないでしょうか.

既得権を持つ人しか情報発信できなかった頃は,そもそも我々は見ず知らずの人に声を届けることはできなかった.クラスの中にアイドルやカリスマはいたけど,見ず知らずの人は,見ず知らずだったわけです.

それが今では,あなたに興味を持ってあなたをフォローしている人の一部にとっては,あなたは有名人・著名人以上に発言権を持っている.マザー・テレサよりクレディビリティが高いかもしれない.影響範囲が広いか狭いかだけの違いであり,見ず知らずの人に影響力を持つという点においては,同等なのです.

お店を宣伝しようと街で1日かけてビラを配っても,フォロワー数が多いウッフィー・リッチがつぶやけば,一瞬にしてそれ以上の宣伝効果がある現代.機械によるレコメンが,ソーシャルの口コミによって駆逐されつつある現代.


ツイッターノミクス で,ウッフィーを増やす為の原則は,以下のように定義されています.

1. 大声でわめくのはやめ,まずは聞くことから始める
2. コミュニティの一員になり,顧客と信頼関係を築く
3. わくわくするような体験を創造し,注目を集める
4. 無秩序もよしとし,計画や管理にこだわらない
5. 高い目標を見つける


詳細については本に譲りますが,例えば「大声でわめくのはやめる」というのは,自慢話や,自分・自社の宣伝ばかりしないように,ということです.


一昔前,例えば Second Life なんてサービスが流行っていた頃は,インターネットはバーチャルな世界として展開されていくのかもしれないと思っていました.今ではそんな風潮はすっかり廃れ,Facebook にしても Twitter にしても,むしろリアルの世界がネット上に拡張されているように思います.

リアルの世界でウザい奴はネットでもウザいし,リアルな世界でオモシロイ人はネットでも人気者.

計算高く振舞うのもいいけど,それで10人のうち9人騙せたとしても,残りの1人にバレていたら,すっごくサムい.

I know, I know, you probably scream and cry
that your little world won't let you go...

But who in your measly little world are you tryin' to prove
that you are made out of gold and can't be sold?

-- Are You Experienced? / Jimi Hendrix



私というフィルターを通して見た世界を発信すると,たまたま趣味や思想が同調したり,逆に考え方が対極で,それでおもしろいと感じてくれる人がいる.

だったら10人のうちの9人にいいカッコするよりは,例えものすごく少数でも,思ったままに書いて,それを好んで読んでくれる人のフィードバックを貰えた方が,おもしろいだろうなぁ…

これからも,何気なく思ったままに書いていこうと,なんとなく思った日曜の夜でした.

4163724001ツイッターノミクス TwitterNomics
タラ・ハント
津田 大介(解説)
文藝春秋 2010-03-11



2012年7月5日木曜日

ツイッターノミクス - ウッフィーという未来の貨幣でリッチになろう [book]

ツイッターノミクス TwitterNomics

オンラインマーケティングの第一人者,タラ・ハントによる渾身の1冊.

タイトルが誤解を与えるかもしれませんが,本書はツイッター本ではなく,ツイッターをはじめとする様々なネットサービスやツールによって,我々が住む世界のルールと物事の価値が,どのように変わったかを紐解く本です.

解説を寄稿している津田大介氏の言葉を借りれば,生きたソーシャル・メディア解説書であり,使い勝手の良い指南書でもある.


著者は,ウェブの世界で成功する方法は,3つしかないと断言します.
「ポルノ」「運頼み」「ウッフィー」です.

ポルノはお勧めできないし,運頼みというわけにもいかないということで,本書はいかにウッフィーを増やすかを主題に置きます.

ウッフィーとは,元々コリイ・ドクトロウの SF 小説に登場する未来の貨幣であり,ネット上の人徳やカルマみたいなもの - インターネットにおける信頼・評判・尊敬・影響力・人脈・好意…の積み重ねであるとされます.例えば Twitter などで有益な情報をつぶやいたり,ユニークな視点を披露したり,単におもしろいことを言ったりして,他のユーザーに好かれ,一目置かれれば,ウッフィーは増えていくというわけです.


そういえば,ちょっと前にこんなことをつぶやいたけど,

1) ネット上に一定規模のプレゼンスを持つ。 2) コードがバリバリ書ける。 3) 1人でゼロからシナリオが書ける。 少なくともどれか1つは無いと、技術系のマネージャーは信頼を勝ち取れない。政治家と評論家と、自分じゃ何もできないファシリテーターばかりじゃないか。Mon May 28 21:30:00 via Tweetbot for iOS


1) は「ウッフィー・リッチであること」と言い換えられるわけだ.


そして著者は,ウッフィーを増やす為の原則を,以下のように定義しています.
1. 大声でわめくのはやめ,まずは聞くことから始める
2. コミュニティの一員になり,顧客と信頼関係を築く
3. わくわくするような体験を創造し,注目を集める
4. 無秩序もよしとし,計画や管理にこだわらない
5. 高い目標を見つける

…と,これだけ書くと漠然としていますが,本書では第3章以降でそれぞれについて,実例を結びつけながら,かなり詳細に解説をしています.

【第1章: ウッフィーって何?】
それは、ウェブの世界では「お金」よりはるかに価値のある「通貨」である。それは与えることによって増えていく。貢献することによってたまっていく。

【第2章: Twitterはテレビ広告よりも時には効く】
かつて、物を買わせようとするならば、テレビなどの大メディアの広告を使うしかなかった。SNSの登場は消費者の購買活動に劇的な変化を起こした。

【第3章: デルは、商品に対する不満も公開した】
パソコン市場トップのシェアに達したデルは、驕っていた。カスタマーサービスはおざなり。ブロガーの言うことは無視。しかし株価の急落で目覚める。

【第4章: ウェブ上で顧客を増やす八つの秘訣】
「荒らし」にはどう対応したらいいか。アイデア募集に賞金をつけるべきか。Facebook、WindowsVista、レストラン検索サイトなど具体例から学ぶ。

【第5章: ただ一人の顧客を想定する】
旧来のマーケティング手法、グループセグメントはウェブではうまく働かない。ただ一人の顧客を思い描いて、商品を設計し語りかける。するとうまくいく。

【第6章: ウェブ2.0、各種メディアをいかにつかいこなすか】
ブログ、ポッドキャスト、Twitter、wiki、ソーシャル・ブックマーク、フォーラム、SNSなどウェブ2.0に花開いた各種のメディアの特性と利用法。

【第7章: ウォルマートの失敗に学ぶ】
それでは、PRのプロを雇いブログを書かせ、サクラをつかってフォーラムを立ち上げるというのは?αブロガーに金を払うというのはどうだろう?

【第8章: アップルはなぜ人をわくわくさせるのか】
持っているだけでわくわくするそんな体験を創造することこそウッフィーを高める。モレスキンの手帳、ボージュ・オー・ショコラなどそこには体験がある。

【第9章: 無秩序をあえて歓迎する】
ウェブ上では、がちがちに計画をたてるより、むしろ予想できないことをとりいれるようにするとうまくいく。私自身が関わった市交通局のフォーラムから。

【第10章: 社会貢献そのものを事業目的にする】
ウェブ上の起業では、目先の利益を追うとコモディティ化の罠が待つ。そうではなく、社会貢献それ自体を事業の目的にして成功したクレイグズリストなど。

【第11章: ツイッターノミクスのルール】
まとめてみよう。ウェブ2.0の様々なツールの発達で、まったく違う市場経済が出現した。個人も組織も、その新しい世界に対応したものが成功するのだ。


本書を通してこの原則を解説する過程で,著者は他にも

- ウェブ上で顧客を増やす8つの秘策
- 人の心を掴む製品やサービスの為の11のヒント
- 無秩序の中にチャンスを見つける11のコツ
- 顧客を大切にしている企業の特徴
- 顧客を大切にしていない企業の特徴

などといった,ともすれば机上の空論になりそうな内容を,とても分かりやすく体系的にまとめている.著者の経験と豊富な実例を交えて展開される内容は,1つ1つが説得力をもってしっかりと腹に落ち,企業・組織から個人まで,様々なレベルで適用が可能でしょう.

本のコンセプトとしては,先日書評を書いた グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ に似ています.「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」が,読みやすさと引き換えに,内容を概念的なところに留めているのに対し,本書はその内容を深掘りし,理論の裏付けをしている.ぜひこの2冊は合わせて読まれることをお勧めします.

本書の出版は2010年.ドッグイヤーとも言われるネット時代のスピードにおいて,2年前というと「一昔前」であり,現実世界に照らし合わせて具体的に解説をしている本だからこそ,多少古さを感じさせる部分もあります.しかし,ネットが日常のルールと価値をどのように変え,我々がどんな時代に生きているかを把握するのに,これ以上の本は無いでしょう.


日本では著作権法改正が物議を呼んでいる昨今,個人的にはとても心に残った,著者のこんな一言を最後に紹介して本エントリーを閉めたいと思います.

私はときどき音楽業界について、こんな空想をする。レコード会社が目を覚まし、あれは両方が負けに終わる不毛な戦争だと気づいたら。そして、権利だ何だと四角四面に構えず、音楽体験をデザインする新しい方法を見つけたら。そうなったら、あの業界はどんなに魅力的になるだろう。

-- Tara Hunt (本文より)


4163724001ツイッターノミクス TwitterNomics
タラ・ハント
津田 大介(解説)
文藝春秋 2010-03-11






タラ・ハント『ツイッターノミクス』村井章子=訳 津田大介=解説|特設サイト|文藝春秋
@tsuda さんによる「ツイッターノミクス」解説まとめ - Togetter