2011年5月20日金曜日

Tumblr のおもしろさを書いてみる [memo]

最近私のまわりで Tumblr をはじめた人が多いこともあって,ちょっと Tumblr について書いてみようと思います.

今や無数に乱立する様々なウェブサービスの中で,私が一番「クール」だと思っているのが Tumblr です.

実際,Twitter と Facebook が順調に伸びていること,MySpace が落ち込んでいることは想定通りとして,Tumblr の急成長ぶりはすごい.



2009年には月間2億5000万ページビューを誇っていたサービスが,今ではその数を1日で稼いでしまうのだとか.
Tumblr、急成長の記録:2009年に記録した月間ページビュー数2億5000万、2011年には1日で達成

【2011/06/29 追記 ここから】
この1日・2億5000万ページビューという数字,実は計測が間違っていたようで,実際にはなんと1日・4億ページビューだったらしい.1秒間に約5000ビューという驚異的な数字だ.
Tumblr: 1日あたり2億5000万ページビューは嘘でした。正確な数値は…4億ページビュー/日
【2011/06/29 追記 ここまで】


Tumblr は (後述する創立者のインタビューにもあるように),ミニブログ・ウェブスクラップサービスです (実際に Tumblr を使って普通にブログを書いている人も見かけます).しかし誤解を恐れずに言ってしまうと,「リツイートに特化した Twitter のようなもの」と言った方がしっくり来るかも.Twitter で言うところのリツイート,Tumblr では「リブログ」と言いますが,他人のポストをリブログして,おもしろいポストを流通させていくのです.

Twitter と同じく,「おもしろい人」「自分と感覚や趣味が合う人」をフォローして,自分なりのメディアに仕立てていくのがミソですが,「最初は誰フォローすればいいか分かんないよー」という人は,とりあえず とか をフォローしてみるところからがいいんじゃないかと.


それで,iPhone なら tumblr gear を入れて,設定で Quick Reblog & Like をオンにする. tumblr gear は残念ながら開発が終了してしまったので,iPhone アプリとしては tmbrtext をオススメします (2013/9/14 追記).PC から見るなら Firefox だと ここ,Chrome だと ここ あたりを参考に設定して,J J J J T J T J J T…みたいな.

とにかくボタン一発で移動・リブログできる環境を作り,サクサクと記事を読み進め,脊髄反射でリブログするんです.

大事な事なのでもう1度言います.
脊髄反射でリブログするんです.


以前,

世の中には「おもしろくて便利じゃないもの」と「おもしろくなくて便利なもの」の2種類しか無い気がする.

と書きましたが,Tumblr はなんかおもしろいんですよね.

Tumblr は,インターネットが「おもしろくて便利じゃないもの」の可能性を見せてくれている.ものすごいヒントがそこに隠れている気がしてならない.

(中略)

情報収集? アホか! 実はそんなことがしたかったわけではないのだ…という気がする.

(中略)

そう,インターネットからは情報ではなくインスピレーションがほしかったのだ.

Peace Pipe: 「おもしろくて便利じゃないもの」は,少なくともおもしろい [memo]


なにかを「創造したい欲求」って,誰にでもあると思う.でも例えばデザイナーやアーティストになれる人って限られてる.だからまるで空気を吸うぐらい簡単に「創造」できて「発信・公開」できるとイイよね!
…みたいなことを常日頃考えていて,自分もそんなものを作りたいと思っているんですが,Tumblr はそれを具体化した1つの形だと思います.

それと Tumblr には,起承転結の崩壊感がある.私もブログを書く時は,少しは流れを考えて文章を書いているのに,オチの部分だけ Tumblr にスッパ抜かれたりする.情報の (発信側ではなく) 受信側が,なにかを感じたところを切り取って,それをポストすることで発信側にまわっている.それをまた,複数の人が縦横無尽にリブログした結果のコンテンツの繋がりがある.


こちらは Tumblr 創立者,David Karp のインタビュー.

しかし、TwitterやFacebookの方がハードルは低いのではないか。その通りだが、そこに表現上の強い個性はない、とKarpは言う。「あれは創造的表現のために作られたツールではない。Facebook上のアイデンティティーに誇りを持つ人はいない」。ふむ、一理ある。対してTumblrは、そこがネット上のわが家だと自信を持って呼べる場所になるよう作られている。

Tumblrを作った理由:ブログは普通の人には難しすぎる


こちらのエントリーにも共感します.確かにすごい実装だと思う.

ハートマークわかった!とポストしたとき、私はものすごく感激していました。Webサービスを使っていて、ここまで感激したのってほぼはじめてかもしれません。

(中略)

私がdashboardのハートマークをクリックしただけで、そのハートマークはこれまでの情報の伝播(つまりReblogの歴史)をさかのぼって、tumblrにいちばん最初に投げ込まれたポストにハートマークがついていたのです。

(中略)

ハートマークは最初のポストに向かってさかのぼるだけではなく、ハートマークをつけた後、Reblogされる未来に向かっても追いかけていくのです。

tumblrがハートマークを実装、その革新と愛情の深み:[mi]みたいもん!


以下,その他に特性を表していると思う Tumblr 語録いろいろ.

tumblrはメインページではなく「見せない」Dashboardがシステムの要なのである。
たぶんこれは使ってみないと実感できないだろう。tumblrのユーザのメインページを見ただけでは単なる不完全なブログシステムにしか見えない。理解するにはアカウントを取ってDashboardを使ってみるしかないのだ。

http://mitukiii.tumblr.com/post/718641703/twitter-tumblr

シリコンバレーに移った jkondo が満を持してリリースしたはてなスターのコンセプトは、ブログにコメントしたりトラバしたりする行為の敷居の高さを取り除き、気軽にスターをつけることでみんなを「好き」でつなげよう、みたいなことで、リリース直後にはみんな「やっぱスゲー、はてなに jkondo あり、だな。」って感じだったと思うんだけど、タンブラーはブログにコメントもトラバもいらないだろというスタンスのもと、jkondo がやった「好き」でつなげることを軽々とやった上に「ブログを書く」という行為の敷居も下げて見せた。さらに twitter に独り言を書き込むみたいにしてリブログ後に -- で区切って書き込んだつぶやきを、ダッシュボードではまるでコメントみたいに見せる機能が後出しで加えられた。

って、どんだけスゲーんだよタンブラー。

あんまりスゴすぎて、狙ってやったとは思えないくらいだ。

http://nosouth.tumblr.com/post/21400797/jkondo

Tumblrは人とつながる楽しさでなく、自分自身が楽しかったらほかに何もいらないことを教えてくれた。

http://usaginobike.tumblr.com/post/724835748

言うだけならTwitter 残すだけならEvernote 両方欲張りにtumblr

http://usaginobike.tumblr.com/post/471987997

tumblr は何も生産しない。誇りをもって。

http://yaruo.tumblr.com/post/893319945/tumblr

タンブラーは怠け者のためにさらに磨き上げられた最新の玩具だ。対象年齢は五歳以上。 フィードリーダーは記事を一単位として拾ってきたけど、タンブラーはもっと崩した。 記事の「面白い部分」、画像掲示板の中の「面白い画像」、 そこだけを取ってくるようにしてしまったのだ。 わざわざ全部食べるのめんどくさいよ。一番美味しいとこだけ頂戴! ブラボー、なんて強欲なやつらだ。もはや前フリとかオチとかどうでもいい。 タンブラーユーザーはネット界随一のグルメといえるだろう。 マグロの一番美味しいとこだけ切り取って食べて、あとはぜーんぶゴミ箱行き。一番賢いともいえる。 人間、みんな怠け者だし、美味しいものが好きだし、タンブラーが主流になるのも近いだろう。

http://motomocomo.tumblr.com/post/741650002

タンブラーというサービスは「見るだけじゃダメ!」なのです。
外から見ただけ、読んだだけでは、ただのネタの羅列です。

じゃあどうすんの?というと、答えはひとつしかありません。
「タンブラーは登録して、firefoxからdashboard(ダッシュボード)を眺め、reblog(リブログ)」です。これ以外にタンブラーを知る方法は今のところありません。

しかし、僕がそうであるように多くのタンブラーユーザーが感じていること、それはタンブラー以降、明らかにインターネットのスピードが上がったことです。

http://coconya.tumblr.com/post/259837966

tumblrすげぇ、スピードの速さに驚愕

例えば、草薙剛の事件にしても、何よりも早く目に飛び込んできたのはtumblr経由での情報でした。tumblr早すぎます。tumblrを眺めてて、ヘーとか思いながら他のサイトを見てみると情報がなくって、そんな大事じゃないのかな……って思ってたら数時間後に来る、みたいな。なんだろうね、これは。拡散スピードが異常。

http://sunshinerecorder.tumblr.com/post/5308185469/tumblr

そういうわけでtumblr。ともあれこれが今一番面白い。

ほとんど画像のスクラップに使っていて何かしらキモチに引っかかったモノを放り込んでいる。それを後から眺め返すと、大げさになっちゃうけれども自分が何者だったかが何となく思い出されるような気がしてくるんだ。

仕事によって長年自分の本来の感覚をさんざんこねくり回されてしまっていたことに気付く。ああ、ここにいたんだよなあとか、ここから来たんだよなという輪郭が見えてくる。それがとても面白くて淡々と続けている。ダッシュボード内でフォローしている他の人のストックの中から自分と重なるブブンを見つけたりするのもまた良い。それをリブログするかどうかで自分のラインを見直すのもさらに面白い。

http://usaginobike.tumblr.com/post/5323171347

コメントなしのリブロガーは何も生み出してないと思われるが、その人は僕のために質の高い情報をもの凄い勢いで取捨選択してくれていると思うと、お菓子の一つでもお持ちしたい気分になるわな。RSS ReaderでもGoogleでも叶わなかった解がここにある

http://naotake.tumblr.com/post/956715395


でもね,これが一番的を得てると思う.

tumblrのかっこわるい使い方。

tumblrとは何ぞやというような定義を試みること

http://goozennogoo.tumblr.com/post/2193022/tumblr

というわけで,カッコ悪いと言われながらも私なりの Tumblr について書いてみたので,あとは皆さんなりの使い方で enjoy!


2011年5月4日水曜日

北へ,千年に一度の桜を追いかけて [diary]

R0017804

無性に桜が見たい衝動に駆られて,青森に来ています.

先月,東京で桜が見頃だった時期は海外出張に行っていて,今年の桜は見ていませんでした.「まあ,いっか」ぐらいに思っていたのですが,日増しに2011年の桜が見たいという思いが強くなっていました.

千年に一度と言われる地震が起きた年.
多くの命を奪った自然.

その同じ年に,同じ自然が,満開の桜を美しく咲かせる様を見なければ,なんか納得ができない.

そんな衝動が抑えきれず,半ば自己満足を承知の上,桜前線を追いかけて,突発的に弘前に来ました.

IMG_3727
IMG_3751
IMG_3733

棘という形ではっきりと毒を表現した薔薇に対して,美しいまま散って行く桜は「かつて日本人が表現していた死」だと言われます.

世間ではそれは表現してはいけないことになっており,存在すらしないことになっているということ.そして美しく咲いたまま散っていく桜こそ,その狂気に満ちた死の花であるということ.

桜は狂気も毒も,その美しさの中に含んでおり,その表現は隠しているが,我々の潜在意識はその狂気を感じ取ってしまうのではないか,と.


IMG_3714
IMG_3788
IMG_3864

弘前を選んだ理由は特にありませんでした.どこが良いかと Twitter を徘徊していたら,地元と思われる方が誇らし気に「弘前の桜は日本一!」とつぶやいているのを目にして,弘前に行ってみようと.

弘前公園ではさくらまつりが開催されています.たくさんの屋台,お化け屋敷,サーカス,見世物小屋,民謡ショー,多くの人のありふれた日常.

R0017695 R0017712 R0017717 R0017745


日本最古のソメイヨシノ,日本一太いソメイヨシノ,正徳5年のヤエザクラ・カスミザクラなどをはじめ,園内に咲き乱れる50種2600本の桜.

IMG_3853
R0017655
IMG_3980


夜にはライトアップされた桜が,妖艶な姿を見せます.

R0017896
IMG_4035
R0017842
R0017879
R0017853


ここ最近,仕事でもプライベートでも,いろいろ思うところがあります.

そんな葛藤を包み込むような,ため息が出るほど美しい,日本人の心に訴えかける死の花.

破壊があれば創造があるし,
出会いがあれば別れもある.

千年に一度の桜.
来てよかった.
一生忘れない桜になりそうです.

桜の木に,花が咲いて,空はとてもきれい
繰り返される,他愛のない,夢は続いて行く

-- 桜 / 斉藤 和義