“知りたい情報”がサクサク集まる!ネット速読の達人ワザ [book]
アルファブロガー・アワードを3度受賞した ネタフル を運営する,コグレマサトさんによる一冊.毎日10-20エントリーという驚異的なアウトプットを続ける彼が,そのネタとなるべきインプットをどのように実践しているかを,比較的パソコンなどに詳しくない人向けに紹介しています.
現代人にとって、今、本当に必要な能力は、ネット情報の速読術。
本書では、パソコン画面上の情報が超高速で読めるテクニックや、膨大なネット情報の中から、自分の知りたい情報がどんどん集まる仕組みのつくり方を紹介します。
-- コグレマサト (序文より)
本書の9割は,具体的なその「手法」を解説しています.つまり魚を与えています.
それはコグレさん自身も述べている通り,ヘビーユーザーには物足りないかもしれませんが,「もっといいやり方はないだろうか」と模索している人が参考にするには良いかもしれません.
ただ,手法はいつか陳腐化するし,結局万人向けにはなりません (例えば所謂「あとで読むサービス」は,本書が推薦する Instapaper よりも個人的には Readability の方が好きだったり).
それよりも重要なのは,残りの1割の概念的な部分.魚ではなく釣り方でしょう.
具体的には,「情報はフロー (Twitter のように情報が流れていくメディア) とストック (ブログのように情報が蓄積されるメディア) で考える」「情報を取捨選択する為の『選球眼』を鍛える」という概念.
さらに,これは直接本書に書いてあったことではありませんが,情報を摂取するということに対して自分なりの方法を確立すること.本書の内容を全てコピーするのではなく,あくまで確立された1つの方法の例,として捉えるべきです.
以上を踏まえて私が本書から読み取ったメッセージは,「刀は研ぎ続けよう」ということです.手法は陳腐化していくので,自分なりの方法を確立した上で,それを常にチューニングしていくことが大切です.
要するに,だ.
「自身のスタイルを確立する」
「自身の行動から,常に改善点を意識する」
ということ…と考えると,ネット上の情報収集に留まらず,全ての物事にあてはまる,普段から習慣としておくべきことに帰着しますね.
さて本書のレビューは以上ですが,情報収集に話を戻すと,大きなお世話かもしれませんが,なんとか情報量を増やそうと躍起になって,本書をそのノウハウ本として手に取るのであれば,それはお勧めしません.その考え方には際限がなく,破滅的だからです.
この情報過多の時代,絶対量を増やすことに意識が向いてしまうと,疲弊してしまいませんか? 以前も書いたことですが,最後に私のインプットに対するスタンスを,今一度述べておきます.
情報収集? アホか! 実はそんなことがしたかったわけではないのだ…という気がする.
(中略)
そう,インターネットからは情報ではなくインスピレーションがほしかったのだ.
Peace Pipe: 「おもしろくて便利じゃないもの」は,少なくともおもしろい [memo]
情報なんて,欲しい時に検索すればすぐ手に入る時代に,なぜ収集する必要があるのでしょう.「情報収集」と構えてしまうと,なんだかまるで息苦しい.
心地良いと感じるインプットの量には個人差がある.客観的にではなく,主観的に適度なインプットを心掛け,その範囲で手に入らない情報は,元々自分には重要ではなかったんだと考える.自らアウトプットをすればインプットの質は高まるし,ブログや Twitter,Tumblr をはじめ,自己表現を助長するツールやサービスがたくさんある.
そしてさらにその枠を越えて,美しい文章や目を奪うような写真,キラキラした音楽や鳥肌が立つような感性に出会う為に,インターネットはあるんだと思いたい.
で,自分にとっておもしろいかおもしろくないか,という尺度を最後の拠り所にしておけば,情弱みたいな概念はなくなる.ステマだろうがデマだろうが,おもしろければ正義…ぐらいでもいいんじゃない?
Peace Pipe: インターネットは,便利なものよりも,おもしろいものであってほしい [memo]
「入ってくる情報は全て処理しなければならない」と思うと,心理的負担が大きくなってしまいます.
例えば RSS フィードの未読記事などは,時間が取れない時は読まずに全て既読にする (捨てる).インプットが多ければ,重要なものはまた返ってくる.
インプットは風のようなもので,その時たまたま吹いている風に吹かれればいい.インプットを増やすのは,風に吹かれる機会と出会いの確率を高める為であって,処理する労力や負担を増やす為ではない,というのが持論です.
Perfectionist (完全論者) では,ネット上では生きていけないのです.
Peace Pipe: 情報の呼吸法 - 津田大介のメディアに対する取り組みの過去と現在を知ることで,自分のメディアに対する取り組みの現在とこれからを思う本 [book]
“知りたい情報”がサクサク集まる!ネット速読の達人ワザ コグレ マサト |