2009年2月28日土曜日

Please get well, Steve [diary]

療養中のジョブズが,Apple の意思決定には依然として深く関わっているという記事.
何よりのニュースである.
ジョブズ氏は「今も意思決定に関与」- Appleが株主総会で説明 - ITmedia News

完全な私見だが,人類の歴史の中にビル・ゲイツという人間がいなくても,今日のコンピューター革命は今と同じものになっていただろう.つまりゲイツがいなくても,PC は今と同じようなものになっていたに違いない.きっと他の誰かがやっただろう.

だが,Mac も iPod も iPhone も,スティーブ・ジョブズ無しには在り得なかった.

ジョブズは,パイオニアだと思うのです.


理屈ではないのです.

私はエンジニアのはしくれですが,やれ技術力だマネージメント力だといっても,上司しかり同僚しかり後輩しかり,私自身は,最後には「カッコよさ」で評価しているのです.

単純に,ジョブズはカッコいいと思うのですよ.

Do me a favor and get well, Steve.


2009年2月25日水曜日

しばらくの間 PDF ファイルには注意 (特に web リンク) [memo]

大きな問題の割にはあまり騒がれていない気がするのでメモしておきます.

Adobe Reader (PDF ファイル閲覧ソフトのデファクトスタンダード・Windows の人は大体インストールしているか,最初からされているはず) と Acrobat (PDF 編集・作成ソフト) に,致命的な脆弱性が発見された.悪質な PDF ファイルを読み込むだけで PC を乗っとられる可能性があるとのこと.
Attackers Exploiting Unpatched Flaw In Adobe Reader, Acrobat - Security Fix

問題を深刻にしているのは脆弱性の大きさだけではなく,なんとこの修正パッチが3月11日までリリースされないということ.

しばらくの間,情報源が明確ではない PDF ファイルには気をつけたい.

特に気をつけたいのは,web ページで PDF 直リンクの URL をクリックすれば,ブラウザ内で Adobe Reader が開くということだ.普通に web ブラウジングしているつもりが,知らない間に PDF ファイルを開いているかもしれない.

今回の件に限らず,PC が毎日の生活に溶け込んでいる今日では,

1. 送信者が自分の知人でも,email の添付ファイルは開けない
(あなたの知人がウィルスに感染すればアドレスブックごと乗っとられているので,知り合いからのメールだからといって安心はできない.添付ファイルを開ける時は送信者に直接確認してから)

2. email,Twitter などのリンクをクリックしない
(近年のウィルスはリンクをクリックして感染するパターンが大多数.HTML メールにも注意したい.email リンクをクリックするなら,せめてコピペする)

3. 完全に信用できるサイト以外からはファイルをダウンロードしない
(海賊版ソフトや音楽,動画や画像などと一緒に,いつのまにかウィルスをダウンロードしているなんてことも)

4. OS は常に最新の状態にしておく
(アップデートやセキュリティパッチには即座に反応する)

5. ファイアーウォールを導入する
(自宅の環境では直接モデムに繋ぐ代わりにルーターを挟む)

ぐらいのことには注意を払っておきたいものです.


2009年2月14日土曜日

Mac のバックアップには SuperDuper [mac]

バックアップの重要性については,いくら言っても言いきれない.
最近自宅の Mac をフォーマットして OS を再インストールし,環境を大幅に変更したのだが,今回はその時非常に重宝した SuperDuper という Mac ソフトの紹介です.
SuperDuper!

バックアップツールにはいろいろあるが,SuperDuper のイイところはブートイメージを手軽に作成できることだ.

例えば環境をいじり倒して,万が一失敗しても,前の環境が丸ごと外付け HDD に残っており,その環境のままブートできるのである.もちろん何もトラブルがなくても,「あのソフトの設定どうしてたっけなー」なんていう時は,マシンをリブートして外付け HDD からブートすれば前の環境が覗けるというわけだ.

SuperDuper は,フリーバージョンだとバックアップ先を全消去してからのフル/ユーザーファイルバックアップのみ利用でき,$27.95 を払うと差分バックアップ,スケジューリング,スクリプト制御,Sandbox (外部 HDD にシステムファイルをコピーして,パーソナルデータはローカル HDD を共有する仕組み) などが使えるようになる.ちなみに私は環境移行時の保険バックアップ目的だったのでフリーバージョンを使ったが,素晴らしいソフトなのでレジストして差分バックアップ機能を使い,常にアップデートされたブート可能なミラーイメージをキープしていこうと思う.

使い方はいたって簡単.基本的にはコピー元とコピー先を指定するだけだ (繰り返すが,フリーバージョンではバックアップ先が全消去されるので注意・オプション項目を確認しておこう).


さらにこれがはじめて使う外部 HDD であれば,事前にディスクユーティリティを使ってゼロ埋め消去しておくことを勧める.HDD のサーフェステストになるし,バッドスポットがリマップされるからだ (どうせ SuperDuper が全消去するなら,いずれにしても行っておいた方が良いかも).ボリュームフォーマットには,私は HFSX (Mac OS 拡張 大文字/小文字を区別,ジャーナリング) を使っているが,通常は HFS+ (Mac OS 拡張 ジャーナリング) で良いだろう.
Mac OS X: ディスクのすべてのデータをゼロにする方法


まとめると,
・外部 HDD には SuperDuper でミラーイメージ作成
・それに加えて,オフサイトにもバックアップ
Peace Pipe: オンラインバックアップのススメ [memo]

せめて大切な想い出がつまった写真やビデオ,取り戻すことができない iTunes の音楽データ (iTunes 経由で購入した音楽は再取得できない) などには,これぐらいのバックアップを施しておきたいものだ.

では最後に Leo の口癖で閉めるとしよう.

If you don't back up, you don't have a single copy

もしバックアップを行わないなら,あなたはそのデータを持ちあわせていない (ことと同じである)

-- Leo Laporte


2009年2月11日水曜日

私の中の The Beatles その1 - With The Beatles [music]

With The Beatles
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Side A
1. It Won't Be Long (Lennon-McCartney)
2. All I've Got to Do (Lennon-McCartney)
3. All My Loving (Lennon-McCartney)
4. Don't Bother Me (Harrison)
5. Little Child (Lennon-McCartney)
6. Till There Was You (Willson)
7. Please Mr. Postman (Dobbins, Garrett, Gorman, Holland, Bateman)

Side B
1. Roll Over Beethoven (Berry)
2. Hold Me Tight (Lennon-McCartney)
3. You've Really Got a Hold on Me (Robinson)
4. I Wanna Be Your Man (Lennon-McCartney)
5. Devil in Her Heart (Drapkin)
6. Not a Second Time (Lennon-McCartney)
7. Money (Bradford, Gordy)



私の中のビートルズ,あくまで「俺的ビートルズ」なので,個人的に印象の薄いファーストアルバムはいきなり飛ばして,セカンドの With The Beatles からスタートです.

UK アルバムチャート30週連続1位だった自身の Please Please Me を蹴落として,21週連続1位を飾った本アルバム (つまりビートルズが51週連続1位をキープしていた),この頃はジョンとポールも仲良くハモり,この2人がリードする「バンドっぽい」ビートルズが聴ける.

曲作りにおいては,"Lennon-McCartney" クレジットの中で純粋に2人で作ったのは Little Child と I Wanna Be Your Man の2曲のみ.It Won't Be Long,All I've Got to Do,Not a Second Time はジョンの曲,All My Loving,Hold Me Tight はポールの曲である.

耳をつんざく切り刻むような歌い出しが印象的な It Won't Be Long,どことなく淋し気な雰囲気が漂う All I've Got to Do というジョンの2曲から,3曲目のポールの All My Loving の流れで,既に2人の芸風の違いを感じ取ることができる.Till There Was You のようなキザなカバーなら,もちろん歌うのはポールだ.


このアルバムでは,はじめてジョージによる曲,Don't Bother Me が収録されているが,まだこの頃のジョージは目立つ存在ではなく,この曲もあまり印象に残らない.Roll Over Beethoven のカバーなど,まったくヘタクソなギターでチャック・ベリーの猿真似にすらなっていない.

同じくリンゴも初期の頃は (最後まで?) 完全な脇役だが,All I've Got to Do あたりを聴くと,ドラマーとしての彼の独特の裏打ちスタイルはこの頃既に確立されていた…というよりおそらく天性のものだったのだろうと気付く.

ちなみに初期のビートルズには,それぞれメンバーのキャラを決定づけるトレードマーク的な持ち歌があると思っている.ジョンなら Twist And Shout,ポールは Long Tall Sally,そしてジョージは本アルバムに収録されている Roll Over Beethoven,リンゴは同じくこのアルバムに収録されている I Wanna Be Your Man だ.


少し脱線するが,B 面に収録されているスモーキー・ロビンソンの You've Really Got a Hold on Me という曲,ぜひビートルズのバージョンとスモール・フェイセズのバージョンを聴き比べて頂きたい.

ビートルズがジョンのボーカルでレイドバックに仕上げているのに対し,スモール・フェイセズは明らかにビートルズのバージョンを意識した同じ曲調ながら,ギターのディストーションとスティーブ・マリオットのハスキーボイスで印象をガラッと変えている.

こちらが本アルバムのビートルズバージョン.


From the Beginning に収録されているスモール・フェイセズのバージョン.これを聴いてからますますこの曲が好きになった.


さらに余談になるが,スティーブ・マリオットは,ジョニー・ウィンターやジャニス・ジョップリンなどと並んで,私が「黒人の歌い方をする白人」と感じるボーカリストだ.黒人を「真似て」いるのではなく,本当に黒人っぽい声の絞り出し方をしていると思う.


話を With The Beatles に戻そう.

このアルバムの中で特に私がお気に入りなのは,Please Mr. Postman と Money である.2曲ともカバー,かつジョンのボーカルだが,私の中でこのアルバムのイメージを決定づけている.

Please Mr. Postman については,この曲全体が押し出すグルーブ感が,カバー曲でありながら初期のビートルズを象徴的に表わしていると感じる.何度聴いてもメチャクチャカッコいい.理屈ではないのだ.




Money は,最初聴いた時に「あれ? クリス?」と思った.声の崩し方やシャウトのタイミング,声を遅らせるタイム感が,クリス・ロビンソンにそっくり…というかクリスがそっくりなのだ.クリスは初期のジョンにもかなり影響されたのだろう.

お前の愛は俺をゾクゾクさせてくれるが,俺の請求書は払っちゃくれねぇ
金をよこせ!
それこそ俺の欲しいものなんだ!

と吐き捨てるこの曲はジョンの真骨頂である.私の中では,間違いなく初期のジョンのベストボーカルだ.



全体的にモータウン・R&B 調の本アルバムにおいて,こんな痛快なロックンロールで幕を閉じるあたりが,なんとも心憎いではないか.


Peace Pipe: 私の中の The Beatles


2009年2月8日日曜日

谷根千 - ノスタルジックなセピア色の街 [diary]

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谷根千を散策してみました.

東京の谷中・根津・千駄木,それぞれの頭文字を取って「谷根千」と呼ばれるこのエリアは,かつての文豪が多く住んだ芸術と文化の街として有名で,今でも古き良き下町の雰囲気を残す情緒溢れる一帯として知られている.

View Larger Map

「そうは言ってもそこまで見る所ないかなー」と思っていたのだが,朝10時に友人達と待ち合わせて解散したのは夜10時.まあ夕食後は喫茶店で駄弁っていただけだが,とにかく丸1日思いっきり楽しめた.ということで,訪れた場所を紹介します.


【根津神社】
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根津駅から不忍通りを千駄木方面に歩いて,最初に訪れたのは根津神社.
すぐ近くに,讃岐うどんの 根の津,その斜め向かいに,きな粉の飴が絶品だった 小石川金太郎飴 がある.

途中にあった 根津のたいやき は,神社を出る頃にはすごい行列ができていました.


【須藤公園】
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さらに不忍通りを北上して須藤公園へ.
個人的には左下の看板がツボでした.注意しないとスッポン入れる奴いるのかよ…

この近くには,四川料理の 天外天 があるが,満席の為に入るのは断念.


【谷中銀座】
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たくさんの人で賑う商店街.食欲をそそる匂いがあちこちからしてくる.
テレビでよく取り上げられている すずきサトー のメンチカツを食べ比べながら歩きます.

この先は,「のら猫天国」と呼ばれるほど沢山の猫が集まる夕やけだんだん.


【富士見坂】
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その名の通り,富士山が見える坂.
「富士見坂」と名がつく坂は日本にいくつもあるが,今では高層ビルやマンションのせいで実際に富士山が見える坂は少なく,23区内ではここだけとも言われている.この日は雲1つない晴天だったが,遠くの方は曇っていたのか,残念ながら富士山を拝むことはできなかった.それでもこの景色は絶景だ.


【朝倉彫塑館】
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朝倉 文夫という彫塑家のアトリエ兼住居を改装した美術館.
和洋折衷を極めた素晴らしい建物なのだとか.実はここは中には入らなかったのだが,この4月から2013年まで保存修復工事で全面休館になるそうなので,紹介しておきました.っていうか工事長すぎだろ… 行くならあと2ヶ月!


【さくら通り】
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春には桜がきれいでしょうね.
この隣は徳川将軍家の霊廟がある谷中霊園,さらに谷中4丁目のあたりは右を見ても左を見ても寺院という寺町である.


【旧吉田酒店】
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明治43年に建てられた酒屋を移築して公開している.
ここは歩いていて偶然入ったのだが,谷中界隈は特に下町風情が色濃く残り,歩くだけでも飽きずに楽しめる.

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【はん亭】
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根津に戻ってこの日のクライマックス,串揚げの老舗 はん亭 へ.
串揚げの味も格別だったが,明治時代に建てられ登録有形文化財に指定されている総けやき造りのこの建物も,かなりいい味出してます.


あっという間に1日が過ぎた,絶好の散歩日和でした.
Flickr photos: 谷根千


2009年2月5日木曜日

So you go ahead and do it - Leo Laporte [memo]

あいかわらず Leo のショーをよく聴いていますが,先週の The Tech Guy でちょっといい話があったので,紹介してみたいと思います.

この日の電話質問コーナーに登場したリスナーの1人に,ザックという若干11歳の少年がいた.

彼の質問は「iPod Touch をジェイルブレイク (iPod Touch をハックして Apple が課した制約を外し,好きなアプリを自在に載せられるようにすること) したいんだけど,リスクや副作用を教えてくれ」というものだった.

普通の DJ であれば,「危ないからやめといた方がいいよ」とか「最終的には自己責任で各自の判断に任せるよ」など,箸にも棒にもかからない回答をしたかもしれない.ところが Leo はメリットとデメリットを一通り述べた上で,"You go ahead and do it OK Zach? (ザック,そりゃあぜひやってみろよ)" と言い放ったのです.


The Tech Guy のエピソードナンバー530,25分15秒あたりから.

You know you are eleven and you have long and rich life of hacking hardware ahead of you and I wanna encourage you to do it, it's great, because what you are doing is...

You are taking stuff and making do stuff that wasn't meant to do and this is where...look it,

We wouldn't have internet if it weren't for the hackers who said "Hey, let's press the borders" "Let's expand beyond what we think we can do"

We wouldn't have any of these

It's those people like you Zach who said "Hey I think I can do something new and different with it"

Those are the people who have invented this entire computer revolution

So you go ahead and do it OK Zach?

And if you have any trouble Zach, my e-mail is XXX, you e-mail me and we'll figure it out together OK?


君はまだ11歳,これからハードウェアをハックするのに充実したたっぷりの時間がある.それを後押ししてあげたいと思うよ.だって素晴らしいことだと思うんだ.

君がやろうとしていることは,モノゴトを,元々意図されていない使い道で使い倒してやろうってことなんだ.

いいかい?

もし「限界を超えてやろう」「想定外のことをやってみよう」と思ったハッカーがいなければ,インターネットなんかなかったかもしれない.

もしかしたら,我々に今あるもの全て何もなかったかもしれない.

ザック,君のように「もしかしたら自分にはこれを使って何か新しい,違ったことができるんじゃないか」って思った人達のおかげなんだ.

こういった人達が,今日の革命を起こしたんだよ.

だからザック,そりゃあぜひやってみろよ.

それでもしトラブルが起きたとしたら,私のメールアドレスは XXX だから,メールをくれよ.その時は一緒に解決しような.


何気ない話である.でも即興で11歳の少年にこんな話を,当たり前のようにできる Leo が素晴らしいと思った.このザックという少年は,一生忘れることのない勇気をもらったのではないだろうか.

勇気をもらったのは,この放送を聴いていた私も同じである.

そしてこの後 Leo は,Bill Joy (BSD, vi, Java などの開発に携わった,コンピューター業界のカリスマ) の大学時代のエピソードを紹介し,いかにして Joy があれほどのスーパーハッカーになったかを話しながら,「いつの日かザックがそれぐらいのことをやり遂げたら最高だよな?」とつけ足した.

私はこの少年の3倍ほど歳をとっているが,常に「新しいやり方があるに違いない」と思っていたいし,"So you go ahead and do it" と自分に言い聞かせていたい.

そんなことを改めて思ったのでした.


Peace Pipe: "The Tech Guy" って知ってる? [memo]


2009年2月4日水曜日

私の中の The Beatles その0 [music]

久しぶりに「シリーズもの」でも書こうと思って何を書こうか考えていたんだけど,ビートルズのことを取り上げてみようと思います.

私にとって,例えばローリング・ストーンズや忌野 清志郎は,それこそ10代の頃から体の一部として聴いていた音楽なわけです.それに対してビートルズは,同じ頃から聴いてはいたけど,なんというかあまりに定番だから聴いていた感があって,曲の持つ意味を噛み締めながら聴き出したのはハタチを過ぎた頃でした.それだけに,特別な思い入れがあるのも事実です.

このシリーズはあくまでも「私の中のビートルズ」です.往年のファンの方から「邪道」とか「おめぇ分かってねぇーなー」と言われたとしても,あくまで「俺的ビートルズ」を書いていきます.苦情は一切受け付けませんので悪しからず w)


さて,ビートルズには,「ジョンのビートルズ」と「ポールのビートルズ」があると思います.

若い頃交わした約束で,そしてそれを律儀に最後まで守って,ジョン・レノンとポール・マッカートニーは2人で曲を書いても,どちらか一方が書いても,クレジットを "Lennon-McCartney" とすることにしました.でも,作詞・作曲 "Lennon-Mccartney" とされていても,実際にはジョンが,あるいはポールが,1人で書いた曲もたくさんあります.特に中期・後期は「ジョンのビートルズ」と「ポールのビートルズ」が顕著に表れ,そして私は「ジョンのビートルズ」が大好きなんです.

一般的に「有名なビートルズの曲は?」と言うと,例えば "Yesterday" "Let It Be" "Hey Jude" "Michelle" などが挙がると思うけど,これみんなポールの曲なんだよね.だけど「ビートルズで一番有名なメンバーは?」と言うとジョン・レノンだったりするので,これらの曲全部ジョンが歌っている (というかジョンだけがビートルズのボーカリスト) と思っている方も多いのではないだろうか.

だが "In My Life" しかり "Girl" しかり "Yer Blues" しかり,どうしたってジョンの曲が心に浸みる.

ポールの曲は BGM に成り得るが,ジョンの曲は成り得ない.なぜならジョンの曲は心が掴まれて会話が止まってしまうからです.


ところで,音楽的にも詩的にも最高に素晴らしいビートルズにおいて,私がビートルズの何が好きかって,あえて言えば彼等の人間関係でしょう.

松ちゃんに浜ちゃんがいて良かった.Sam に Dave がいて良かった.クラプトンのような神童が The Doors にいたらまったく破綻していたように,でも Cream はあの3人でなければならなかったように…

ジョンにポールがいて良かった.

良くも悪くも不器用で,自分の信じたロックを貫き通し,またそうすること以外できなかった真のロッカー,ジョン.

ロックが大好きで初期の頃はシャウトしていたのに,「このバンドにロックンロールは2人も要らない」と悟り,あえてジョンができないことを選び通して大成を果たした器用な天才,ポール.

ジョンにジェラシーを抱いていたポールがいて,最初は目立たないのに最後には一番光り輝いたジョージがいて,最後まで目立たない脇役だったけど実はバンドの音を作り出していたリンゴがいて,ビートルズという宝物が,我々にあることが,なんて奇跡的に素晴らしいことなんでしょう.

ということで,最後にこの言葉でシリーズの幕開けにしてみます.

もしモーツアルトが現代に生まれていたら,ビートルズと同じ事をしていただろう.

天才はどの時代に生まれても,その時代にはない新しい物を作るのである.