写真が好きな方であれば,こんな風に思ったことはないだろうか.
旅行やイベントに出かけた時は数十枚,時には数百枚の写真を撮る.だが家に帰った後,その写真をどう整理すれば良いだろう? 時間をかけて1枚1枚吟味し,取捨選択しながらポスト処理をしているが,このコスト対効果は妥当だろうか? もっと良い方法は無いだろうか?
これについて,先日の The Tech Guy のゲストで,プロカメラマンの Chris Marquardt が話していた方法が興味深かったので,紹介してみたいと思います.The Tech Guy のエピソードナンバー638,1:44:47 あたりから.
撮影した写真は,以下の3つのステップで整理する.
【ステップ1】
まずは撮った写真の中から捨てる写真だけを選ぶ.1枚にかける時間はマックス2秒.明らかなミスショットや間違ってシャッターを押してしまった写真など,2秒以内に不要と判断できる自明なものだけを捨てていく.この時,実際に捨てるのではなく,後から一括削除できるようにマーキングする方が効率的だ (例えば Aperture や iPhoto ならフラグをつける.多くの写真管理ソフトには同等の機能があるはず).
【ステップ2】
残った写真にレートをつける.5段階のレートがつけられる機能も多くの写真管理ソフトでサポートされているだろう.但しこのステップでは3段階にレーティングするのがポイントだ.捨てるにはもったいないが人に見せるほどではないような写真は星1つ.「コレイイ!」と思えるような写真は星3つ.その中間は星2つ.これぐらいであれば機械的にできる.迷ったら星2つにすればいい.
【ステップ3】
星3つの写真に対して,レタッチやトリミングといったポスト処理を行う.その結果,そこそこ良い結果が得られれば星4つ,会心の結果が得られれば星5つにレートを変更する.
…とのことである.
ステップ1のマーキングとステップ2のレーティングは,キーボードショートカットを使ってサクサク進めるのが良いだろう.
もちろんこれが万人にとってベストな方法ではないだろうが,重要なのは自分なりのワークフローを確立することであり,少なくとも何かしらの参考になるのではないだろうか.
特に印象的だったのは,Marquardt の「誰も300枚のスライドショーなんか見たくないでしょう?」という言葉であり,星3つのものだけポスト処理するという点だった.私は時間が許す時は,撮った写真を1枚1枚ポスト処理していたが (…といっても自動補正をかけるぐらいだが),これはただの自己満足だったのかもしれない.
Marquardt は上記の方法で,星5つのものだけ公開していると言う.
他人に見せるほどではない写真は,あくまでパーソナルなものであり,想い出や記憶を蘇えらせてくれればいい.それならポスト処理は必要ないかもしれない.
先日の東北旅行 など,私は Flickr に 118枚もの写真を公開している が,118枚共有するのと,その旅のエッセンスを伝える20枚を共有するのは,見る側が受け取る体験としては大差無いかもしれない.であれば,その20枚をきちんと選んでポスト処理を施し,その分じっくり見てもらう方が良いかもしれない.
余談になるが私は Flickr を写真共有サービスとして使っており,そのアップローダーには jUploadr を使っている.
こいつの (そもそもクロスプラットフォームである,という点以外に) いいところは,ドラッグ & ドロップした順番に関係無く,写真のタイムスタンプ順にアップロードするオプションがあることだ.つまり例えば上記の方法で写真を整理した後,星5つのものをフィルタリング → ドラッグ & ドロップして public 設定 (公開用) し,残りの写真をまとめてドラッグ & ドロップして private 設定 (非公開用) するという使い方をすれば,撮影時間順に所望の設定で効率的にアップロードできる.
話の流れでさらに余談になるが,私は非公開用の写真もバックアップを兼ねて Flickr にアップロードしている.大切なデータはコピーを必ずクラウド側に置くというポリシーである.USB ハードディスクにバックアップしている方もいるだろうが,家が火事になったり泥棒が入ってバックアップハードディスクごと無くなったらどうするのか.必ずしもクラウド側 (インターネット) である必要はないが (例えばバックアップハードディスクを2台用意して1台は会社などに置いておき,定期的に交換する),大切なデータはリモートにも置いておくべきである.そのあたりの話はこちらで.
Peace Pipe: オンラインバックアップのススメ [memo]