「週4時間」だけ働く。 Liberation (解放) 編 - もっとも大切なことは,自分自身に満足すること [book]
本エントリーは,「週4時間」だけ働く。における DEAL の L,Liberation (解放) について.「L」セクションは,全世界を舞台に夢を実現する為の行動宣言であり,ミニリタイアメントの概念を説き,ライフスタイルデザインの3大ポイントの3番目である「可動性」にフォーカスします.
【姿を消す】
誰しもが好きに仕事をコントロールできるわけではない,普通に会社勤めをしている人もいる.そんな人の為に,本セクションの前半では,オフィスから脱出する方法や上司との交渉方法が解説されています.
【ミニリタイアメント】
その上で,ずっと先の定年退職で1度だけ経験するリタイアメントではなく,人生の中で何度も実践するべきと筆者が主張する,ミニリタイアメントについての説明があります.
ミニリタイアメントとは,予定を詰め込み忙しく動きまわる休暇ではなく,1-6ヶ月,1つの場所に住むこと.
それを実現する為に,
- 旅に出ない言い訳の克服
- 航空券を安く購入する方法
- 滞在地の選び方
- ミニマリズムの精神にのっとった荷造り方法
などを解説しています.
【喪失感を埋める】
全ての人が簡単に,数ヶ月単位の時間と場所を自由にできるわけではありませんが,仮にそれができたとしたら,あなたを待つものは何でしょう? ミニリタイアメントを獲得することで本セクションを終えるのではなく,その後のことについても言及している点が非常に興味深い.
なぜなら,そこであなたを待つものは,心地良い安堵ではなく,喪失感だからです.
忙しく仕事をこなしている生活から解放されれば,心はうずき,味気ない生活に虚しさを感じ,自己批判と自身の存在意義を問うパニック発作がはじまる,と筆者は綴っています.
特に目を見張った文章がこれです.
自由とは新しいスポーツのようなものだ.最初のうちは,新鮮さが刺激的で面白がることができるが,いったんその根本を知ると,まともな状態を維持するには,いくらか真剣なトレーニングを積む必要性がはっきりと出てくる.
自由な時間がありすぎても自己不信が募るばかり.悪いものを取り去ることが,すなわち良いものを生み出すことにはならない.「仕事を減らしたあと人生に加えるものは何か」は,自動的にやってくるわけではない.
ところで本書は,襲ってくる自己批判と自身の存在意義に対する疑問については,ちょっとした考え方を提唱しています.
それは,「人生の意味は何だ?」「その核心は一体何だ?」といったような,哲学的とも言える疑問はスルーしてしまうのが最善である,とうものです.曰く,次の2つの質問に対して「イエス」でなければ,それは回答不能であり,価値もなく,忘れた方がいいとのこと.
その質問のなかで使っている言葉の意味は明確だろうか?
その質問への答えに基づいて行動すればものごとは改善されるだろうか?
「人生の意味とは何だ?」という質問は,この2つともに「ノー」ということです.
内容が多岐に渡る本ですが,あえて本書のコンセプトを一言で表すなら,このセクションの終盤にあるこんな言葉ではないでしょうか.
人生は解かなければならない問題でも,勝たなければならないゲームでもない.
人生は楽しむためにある.
もっとも大切なことは自分自身に満足することである.
【おわりに】
…さて,ここまで本エントリーを含めて5回に分けて本書のレビューを書きました.以上をもって 「D」「E」「A」「L」それぞれについて私なりの要約をしたわけですが,実は本書はこれで終わりではない.この後「言い忘れていた,大切なこと」として,
- 手荷物10ポンド (4.5kg) 以下で世界旅行する方法
- 最低限の選択を行うライフスタイルに「使える」6つの公式
- Not-To-Do リスト - やめるべき9つの習慣
- 利益増大のマニフェスト - 3ヶ月で採算を取る為の11か条
- メール処理のルール
…などといったライフハックをはじめ,読者のケーススタディ,著者の推薦書籍の紹介など,実に150ページあまりの内容が続きます.
とにかく,身近なものから異次元と思えるものまで,圧倒的なボリュームで,様々なコンセプトが怒涛のごとく押し寄せてくる本.そのまま受け取り実践するもよし,上流の概念を読み解いて自分なりの応用形を適用するもよし,直感的に賛成できる点・できない点を意識しつつ,自分の内面と対話しながら読み進め,自身のスタンスを再確認するもよし,あるいは1つの読み物として,波瀾万丈の人生を送る筆者の自伝と捉えてもおもしろいでしょう.内容的にもボリューム的にも,普通の本の3冊分はある本.それで2000円なら,ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか.
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「週4時間」だけ働く。 ティモシー・フェリス |
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