脳をフルに刺激した Pittsburgh [diary]
ここ3日ほど,Carnegie Mellon University (MIT や Stanford と並ぶ Computer Science の名門・Computer Science 部門では2007年全米大学ランキング1位) と,Software Engineering Institute (ソフトウェアに関する最も権威のある研究機関の1つ・CMM やプロダクトラインの開発などが有名) を訪れていた.
SEI で,この Blog で何度も紹介している Software Architecture in Practice の著者の1人である Len Bass と話した時のエピソードを1つ紹介しましょう.
この本は「アーキテクトのバイブル」とされ,SWEBOK (Software Engineering Body of Knowledge) でも推奨されているが,Business Quality (Chapter 4),Attribute Driven Design (Chapter 7),「Architectural Drivers は10を超えてはいけない」というバカげた定義 (Chapter 7) あたりに懐疑的な内容も多い為,Bass に
ぶっちゃけ,本を書く時にでっちあげることあるでしょ?
と冗談半分に聞いてみた.
彼曰く,
頭の中にあるコンセプトは感覚的なものが多い.
それを,トップレベルのものから順に言葉に落とし込んで本を書く.
その過程で,分かりにくくなったり,直感的な表現でなくなったりするものがあることは否めない.
…みたいな御託をしばらく並べた後,「うーん,ま,そういうこと (でっちあげること) もあるかもね」と冗談半分に笑っていました.
さらに同席していた Felix Bachman (Documenting Software Architectures の著者の1人) が,Architectural Drivers の定義について,すかさず
そもそもこの概念は ATAM から来ており,人に3 - 4ページで説明する時にはこれぐらいに落とし込まなければいけない.
要は粒度の問題.
システムを分割していくと,「スケール」という概念は無くなるでしょう?
機械で全て自動化をしない限り (人間が関わる限り),数の制限は必要.
とフォローを入れつつも,最後に「うーん,ま,そういうこと (でっちあげること) もあるかもね」と同じように笑って言ったのが印象に残っている.
David Garlan (Software Architecture: Perspectives on an Emerging Discipline の著者の1人) が,「アーキテクトが成長する為には経験 (とそれに基く知識) と,外部からの刺激 (例えば教育など) の2つが不可欠だ」と話してくれたが,本当に脳がフルに刺激された3日間だった.
今まで本の中でしか知らなかった CMU の教授や SEI の研究者に会って,最初はどんな化け物が出てくるかと思っていたが,彼等が生身の人間だということも良く分かった.
最終日は,地元 Pittsburgh Pirates のゲームを観戦.残念ながら桑田は投げなかったが,試合は9回裏サヨナラ勝ちで大盛り上がりし, Pittsburgh を締めくくるのにふさわしい夜でした.
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