Thursday, October 27, 2011

ジョン・レノン,ニューヨーク [movie]

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まあ,ファンなら観てもいいかな,という内容でした.

ソロになってからの白いジョンのドキュメンタリーなので,ビートルズ時代の真っ黒なジョンが好きな方には微妙かもしれませんが.

タイトリ通り,1971年にニューヨークに移り住んでから1980年12月凶弾に倒れるまでのジョン・レノンの人生を,彼に関わった人間のインタビューや当時の映像を通して描くドキュメンタリー.

ジョンはイギリス人だし,ニューヨークはアメリカですが,考えてみればジョンは「世界人」だし,ニューヨークもアメリカという枠に留まらない数多の感性が集まる世界の中である意味独立した場所.彼はニューヨークという場所に,自然と魅き寄せられたのかもしれません.

オハイオで学生が殺され,ジミヘンが,ジャニスが死んで幕を開けた70年代.この映画では,そんなアメリカの暗黒時代にニューヨークに移り住んだジョンを,思想家・活動家として描いている…というか,この時のジョンは実際そうだったのでしょう.

「ミュージシャンのジョン・レノンが,訴える思想」ではなく,あくまで「アーティストのジョン・レノンが,奏でる音楽」という描写.

ニクソン政権下の病んでいくアメリカ,メディアがまだ絶大な力を持っていた時代.そんな70年代のジョンに焦点を当てた作品はありそうでなかったので,まあ,ファンなら観てもいいかも.




映画『ジョン・レノン,ニューヨーク』公式サイト


Sunday, October 23, 2011

Remembrance of Steve Jobs [reflection]

スティーブ・ジョブズが亡くなってから,2週間半が経ちました.

私はその時ちょうどキューバに行っていました.キューバは,テレビをつければ昼は野球中継,夜は野球ニュースをやっているような国で,(国交が無く経済封鎖されている) アメリカのニュースも入って来ず,いやもしかしたら入ってきてたのかもしれないけど,スペイン語は分からないので,そもそもメディアには積極的に触れていませんでした.

なので,私がその訃報を知ったのは日本に帰国した時,彼が他界してから10日後でした.その頃には Twitter もすっかり落ちついていたし,まわりも「今頃何言ってるの?」という感じで,私にとっては未だに実感がありません.

既にいろんな人がいろんなことを綴っているし,タイミングも逸しているので,ブログに書くのはやめておこうと思いましたが,自分の気持ちに整理をつける為に,そしていつか自分の子供に「こんな人がいたんだよ」と伝える時の記録として,私が見てきたスティーブ・ジョブズを書いておきます.


まずは,今となってはあまりにも有名な,2005年のスタンフォード大学卒業式で行ったスピーチ.見たことがない方は,これだけでも見てほしい.




天才的と言われた彼のプレゼンで心に残るものは沢山あるけれど,私が最初に思い出すのは1997年の Macworld での基調講演です.プレゼンテクニック云々という次元ではなく,感情に訴えかけるスピーチでした.

自ら設立した Apple から1985年に解雇され,90年代には衰退の一途を辿り明日にでも潰れそうだった死に体の Apple に,スティーブが復帰した時の講演です.Apple に対する世間の批評を改めて紹介し,「Apple は素晴らしく実行している…間違ったことを」「プランが間違っているんだ」などと Apple が抱えていた問題を赤裸々に告白し,聴衆からブーイングも起こった Microsoft との提携を発表する時にはユーモアを折り混ぜ,そして真顔で「Apple を healthy に戻すにはどうすればいいか話したいんだ.僕はそのことに,とても大きな自信を持っているんだ」と.

ここでは最後の2分の締めの部分をリンクします.Apple が置かれていた状況とは裏腹に,希望と自信に満ち溢れ,まるで今日の成功を見据えているかのような静かな誇りと闘志,そして何より自らを解雇したこの企業に対する愛情が感じられます.




この時彼が打ち出した "Think Different" というコンセプトを,詳細に説明しているのがこの講演.この考え方は,ずっとスティーブの根底にあったんだと思います.



もう1つスティーブの根底にあったものを表しているのが,1982年のスティーブの部屋の写真.余計なものは置かないミニマリストの彼のセンスは,Apple 製品の "simplicity" に息づいています.




彼が Apple に戻った頃の映像でもう1つ印象的なのは,1997年の WWDC.聴衆の1人から「お前は何も分かっていない.一体この7年間何をやっていたんだ?」という非難を受けます.これに対してスティーブは,しばらく考え込んだ後,怒りに身を任せることもなく「顧客体験が先ずあって,そこにテクノロジーをマッピングするんだ.その逆であってはならない」といったことを,真摯に語ります.



この時の WWDC は,聴衆との質疑応答という近年では珍しい形態に加え,当時の彼のインターネットについての考え方が聞けるなど,いろいろ興味深い話が多いので,セッション全体のビデオをリンクしておきます.
http://youtu.be/3LEXae1j6EY


ここ最近のプレゼンで印象深いのは,何と言っても iPhone の発表でしょうか.「全世界の家電メーカーが力を合わせても Apple 1社に勝てなかった日」と言われた日です.この時のスティーブはいつもに増してオーラをまとい,「この世界を変える衝撃的な製品を早く伝えたくて待ちきれない」といった様子でした.

「新しい iPod,革新的な携帯電話,インターネットコミュニケーションのブレークスルーを発表する.でもこれらはそれぞれ違う3つのデバイスじゃないんだ.1つのデバイスなんだよ」と.



そしてデモの中で,「(聴衆のみんなの) 4000個のラテを持ち帰りで! 冗談だよ.間違い電話♪」と,本当にスタバに電話してしまった時は最高に痛快でした.




それに対して iPad の発表では,いつもの神がかった雰囲気は無く,なんともリラックスしたスティーブがいたように思います.

個人的には,数ある彼の発明の中で,iPad が最高傑作だと思っています.1970年代後半から彼が取り組んできた「テクノロジーを,普通の人にカジュアルに届ける」という野望を,一番彼のイメージに近い形で具体化した製品だったのではないでしょうか.

このリラックスしたスティーブは,プレゼンで多くのことを語らなくてもただこの製品を見てもらえば分かる,という自信からきていたような気がします.




そう言えば,いつも用意周到の天才的なプレゼンを行ってきた彼ですが,リモコンがきかなくなってスライドを送れないというトラブルが発生したことがありました.この時も彼は取り乱すことなく,即興で高校時代の想い出を語って場を繋ぎました.これには脱帽でしたね.




バツが悪い質問に対して "My sex life is pretty good. How is yours?" とトボけるスティーブもイカしてたし,でも製品のことを語る時は力強く「BEST を作るんだ」と.
Peace Pipe: Because we wanna make the best product in the world for customers - Steve Jobs at D8 Conference [memo]


孫正義は,スティーブ・ジョブズのことを「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と言いました.私も,彼はダ・ヴィンチやミケランジェロ,あるいはエジソンなどと同列に語られるべき,芸術家・発明家だと考えています.そんな人と同じ時代を生きることができて,その証人として彼のアーティファクトを体験することができて,本当に幸せだと思います.

スティーブの「なぜ Apple は好調なのですか?」と聞かれた時の答えは,「愛」だったそうです.他の会社は単純に製品に対する愛が足りないのだと.強い意思と明確なビジョンを持ち,アイデアだけではなくそれを実現するまでの決断力と実行力を伴い,私たちのライフスタイルを,いやそれだけではなくキャリアや音楽業界まで変えてしまった,愛に溢れた男.

彼に憧れ,その考え方に共感し,彼が発明するものに心を踊らせてきました.

Apple の製品はクールだった.それを使っている自分もクールな気がしてくる程に.

そして同業者として,その度になんだか羨しく,そして無性に悔しかった.

できれば,Apple というオモチャを使って無邪気に遊ぶ子供のようだった,あなたの「マジック」を,もう少し見たかったなぁ.

Peace Pipe: Please get well, Steve [diary]

完全な私見だが,人類の歴史の中にビル・ゲイツという人間がいなくても,今日のコンピューター革命は今と同じものになっていただろう.つまりゲイツがいなくても,PC は今と同じようなものになっていたに違いない.きっと他の誰かがやっただろう.

だが,Mac も iPod も iPhone も,スティーブ・ジョブズ無しには在り得なかった.

(中略)

単純に,ジョブズはカッコいいと思うのですよ.

Do me a favor and get well, Steve.



もちろん彼は聖人ではありません.実際に「一緒に仕事をするには難しい性格」という声はよく聞かれていました.でも1つ言えることは,冒頭で紹介したビデオの中でスティーブが言っている "the people who are crazy enough to think they can change the world...are the ones who do" というのは,彼自身のことだったということです.


We'll miss you, Steve.
Thanks for being who you are.

Almost everything - all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure - these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important.

-- Steve Jobs




Saturday, October 22, 2011

哀愁と活気に溢れる革命の島 - キューバの旅最終回 [diary]

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キューバ放浪記もこれが最終回となります.

今日でちょうど帰国から1週間が経ちます.

複雑な歴史を物語る美しい建築,時代に取り残された情緒溢れる街並み,ヨーロッパとアフリカが混ざり合った文化,そして目を疑うほど青い空と海…どれも素晴らしかったけど,やはり今一番思い出されるのは「人」でしょうか.

私が受けたキューバの人の印象は,貧しい中にもお金をかけずにお洒落をする術を心得ていて,苦労の中にも明るく愉快に楽しむことをやめず,お喋りと音楽が大好きで,ちょっとズルいんだけど人なつっこくて無邪気でオープン.

インドウガンダ に行った時にも書きましたが,人が人に会うこと,そのインタラクションに酩酊することこそ,旅の本質であると信じています.


経済が封鎖された社会主義のこの国にとって,観光は重要な産業の1つ.かといって観光客にとって便利では全然ないのですが,少なくとも治安は良く,安全です.ただバカンスを楽しむ旅行ではなく,冒険心と想像力を駆り立てるような旅を求めているなら,キューバはとてもオススメですよ.


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Thursday, October 13, 2011

南部の真珠 - キューバの旅 Cienfuegos 編 [diary]

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こちらも世界遺産に登録されている街,シエンフエゴス.
フランス系移民が造った街だそうで,確かにこれまでの場所とは雰囲気が違い,どことなくフランスのエッセンスを感じる.

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ここは特に大きな見どころはない街.
ただこの頃には旅も終盤で,名所を巡るよりは,青い空の下,美しい建物と街並みの中をのんびり過ごす方が,むしろ心地良い気がした.

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Wednesday, October 12, 2011

どこを切り取っても絵になる街 - キューバの旅 Trinidad 編 [diary]

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世界遺産に登録されているトリニダ.
1850年から時計が止まったと言われる古都である.

とにかくこの街並み.これに尽きる.
どこを切り取っても映画のワンシーンのようで,毎秒シャッターを押したくなる.

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こちらはロマンティコ博物館.
19世紀初頭に建てられた大農園主の屋敷を博物館にしたもので,当時の贅を尽くした家具調度品がそのまま展示されている.

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駅では蒸気機関車が現役で走り,

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鍾乳洞があったり,

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素晴らしいビーチもある.

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トリニダは1泊2日だったが,この後のシエンフエゴスでそのことを地元の人に話すと「もったいない! なんでもっと居なかったんだ」と言われた.上記の他にも,豊かな自然を味わうハイキングや郊外へのエクスカーションをはじめ,何日も過ごせるほど多くの魅力を持った街のようだ.



最後にどうでもいい話だが,美しい情景がたくさんあったトリニダで撮った写真の中で,私が特に気に入っているのは,こんな1枚.

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これで「写真で一言」とかやってみたい.






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Tuesday, October 11, 2011

キューバのビーチリゾート - キューバの旅 Varadero 編 [diary]

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キューバ最大のビーチリゾート,バラデロ.

大体のホテルは英語が通じるし,近くに空港もあって,カナダ人やヨーロッパ人がよく訪れるそうだ.彼等の多くはハバナなどには寄らず,ただバラデロに来て帰っていく.もはやキューバというより,「カリブのリゾート」という感覚で来ているようだ.

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完全にリゾート地であるバラデロでは,オール・インクルーシブのホテルが一般的.つまり食べ放題飲み放題,3食 (どころか何食でも),バーで飲む全てのドリンク,部屋の冷蔵庫の中のものもルームサービスも,全てホテル代金に含まれており,滞在中は基本的に財布を取り出すことはない.

それでも日本円にして,最高級の5つ星ホテルのスイートで1泊1万5千円ぐらいから.今回泊まった4つ星ホテルは1泊5千円程度である.

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バラデロ最終日は,(朝食の時間よりも早い) 早朝に出発しなければならなかったのだが,それを伝えるとチェックアウトの際にわざわざランチボックス (お弁当) を用意してくれていた.もちろんこれもサービス.まさにいたれりつくせり,である.


日本でも休日の日など,昼からビールでも飲んでいると贅沢な気分になるが,バラデロでは朝起きたらまず酒を飲み,起きている間シラフだったことはほとんどなかった.

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Esta es la mejor manera de ver Varadero...





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Sunday, October 9, 2011

スローモーションの港町 - キューバの旅 Cojimar 編 [diary]

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ハバナ郊外の,コヒマルという町にやってきた.
「老人と海」の舞台となった漁村である.

「ヘミングウェイ博物館」とかに行きたいとは思わなかったが,当時の情景がそのまま残ると言われるこの町は,ぜひ訪れてみたかった.

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こちらは「老人と海」でテラス軒として登場しているバー.

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ただ,ぶらぶら散歩をするつもりで来た.

時間がゆっくり流れる,のどかな,のどかな,港町.

特に何か見どころがあるわけではなく,ぶらぶら散歩をするのがいい.

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Saturday, October 8, 2011

Callejon de Hamel - キューバの旅番外編 [diary]

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キューバでは,道を歩いていると,とにかくよく声をかけられる.
半数以上は物売りだったり金をセビろうとする輩だったりするのだが,5人に1人ぐらいは純粋にいい奴がいる.

そんな「いい奴」の1人が,「いい写真が撮りたいなら,Callejon de Hamel に行きなよ!」と教えてくれた.いや,スペイン語はほとんど分からなかったが,多分そんなニュアンスのことを言ったんだと思う.カメラを指して写真を撮る真似をし,地図で場所を示してくれた.

はてさて,絶景でも拝めるのか,見事な建築があるのか…どんな所かも分からないままその場所を目指すと,目に飛び込んできたのは路上のサイケデリックアートだった.

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場所はハバナ新市街の Vedado と,Centro Habana の間ぐらい.彼に声をかけられたのはラッキーだった.


ところで余談になるが,キューバ人に「ハポネス (日本人)」と言うと,「野球のチャンピョンだ」と敬まれるリアクションが多い.「マツザーカ,イワクーマ,イチロー,ナカジーマ」とか言ってくる人もいて,さすが野球大国といったところだ.

余談ついでに,もしこれからキューバに行こうとしている方が検索か何かでこのエントリーに辿り着いたなら,冒頭に書いた「5人に1人のいい奴」を見分けるのがキューバ旅行のコツである (多分2-3日で自然とそのテクニックが身に付く).最初から英語で話しかけてくる奴は99%ダメ.いざとなったら,普通っぽい町人に,逆にこちらから声をかけるのが確実だ.1から10までのスペイン語と,ジェスチャー,あとは顔芸で何とかなる.


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