Monday, July 3, 2006

真の Rolling Stone が花になった日 [music]

今日,7月3日は Brian Jones と Jim Morrison の命日.2人とも個人的に思い入れが強く,特に Jim Morrison は単にミュージシャンというレベルを超えて私の人格形成に大きな影響を与えたと言って過言では無いが,まずはこのエントリーでは Brian のことを書いてみたいと思う.

Brian Jones,史上最高のロックンロールバンドの創始者である.彼は自分のバンドを,大好きな Muddy Waters の曲名から "The Rolling Stones" と名付け,その類稀なる多彩な音楽センスでバンドの方向性を決定付けていた.ギター,ハープ,シタール,ピアノ,チェンバロ,ダルシマー,クラリネット,メロントロン,マリンバなど 30 種類以上の楽器を自在に操る天才肌.楽器は少しいじっただけですぐマスターしたそうで,The Beatles の 「You Know My Name」でサックスを吹いているのも彼だ.心から黒人音楽を愛し,それを白人社会に持ち込むことが彼の夢だった.

Brian を語る時に思い出されるのが,"The Dean Martin Show" に出演した時の映像だ.Brian が一番輝いていた時代である.

まだあどけなさが残るメンバー達.特に Keith なんて,「イェーイ,テレビ出ちゃったよママ〜」と言わんばかりのはしゃぎぶりだ.その中で,Biran だけがプロフェッショナルの顔をしている.特に55秒目ぐらいのカメラショットで,Mick と Brian のツーショットになるところが印象的だ.まだガキっぽい Mick の隣で見せる Brian の,背筋が凍るような目つき.その先には将来の Stones を見据えているかのようだ.「俺がこのバンドを背負ってるんだ.俺がこのバンドを大きくして行くんだ」と言わんばかりに.

だが次第に Mick と Keith が台頭を表し,バンドの主導権も彼等に移って行く.いや言い方を変えよう.Mick と Keith でさえどうしたって超えられない Brian は,彼等にとって邪魔者以外の何者でもなかった.2人は徹底的に Brian をのけものにした.レコーディング中にわざと Brian のプラグを外し,一生懸命ギターを弾く Brian をモニタールームから見て笑っていたなんてエピソードも残っている.そして挙句の果てに,Brian はガールフレンドの Anita Pallenberg を Keith に寝取られてしまう.事実,One Plus One や Rock & Roll Circus に映る Brian には,上のビデオの頃のクールでスマートな面影は微塵も無く,あまりに無惨かつ悲惨な,まるで生ける屍のような顔をしている.

そして,Brian はついにバンドをクビになってしまう.
自分自身が作り上げ,このビデオのような眼差しでその将来を睨んでいたバンドからクビを言い渡されるのは,一体どんな気持ちだったんだろう… 彼の墓石には「僕に冷たくしないでくれ」と刻まれている.

私の家には,10年以上前に買った Brian のポスターが今だに貼ってある.

カメラの方を向いて,どこか淋しそうな表情の Brian.
アメリカで学生生活を終えて日本に帰って来る時も,結婚して新居に引っ越す時も,このポスターは捨てられなかった.まるで「ねぇ,君だけは僕のこと分かってくれるかい?」と語りかけているように思えてならなかった.


誤解が無いように言っておくと,Keith Richards は私のアイドルであり,Stones も Brian が死んだ後の71年頃のサウンドが一番好きだ.でも Brian Jones という人間にシンパシーを抱かずにはいられない.

世紀のロックバンドとなった Stones に対して,「あのまま Brian がバンドを率いていたら…」という憶測はいつの時代も絶えることはない.「もしかしたら知る人ぞ知るブルースバンドになっていたかもしれない」なんて唱える人もいる.だがいずれにしても下らないことだ.Brian は,今も活動を続ける The Rolling Stones,そして63歳になった Mick と Keith を見て,何を想うのだろうか.


Brian Jones,Jim Morrison,Janis Joplin,Jimi Hendrix,みんな60年代という幻の時代を彗星のように駆け抜け,みんなそのカリスマ性でファンを狂気に落とし入れ,みんな名前に J がつき,そしてみんな27歳でこの世を去って行った.

Brian が死んだ2年後の同じ日に,Jim Morrison は Brian と同じく水の中で死んだ.次回は Jim Morrison のことを書きます (たぶん).




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