2009年5月3日日曜日

鹿児島から大分へ - 九州の旅後編 [diary]

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鹿児島に戻り,ダウンタウンをぶらぶらしながら鹿児島ラーメンや黒豚のとんかつを堪能していたのだが,
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せっかくこの季節に旅をするなら,燃え上がるほどの新緑を見ない手はない.
というわけで鹿児島から一路大分は湯布院へ.

素晴らしくありません? この緑.
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そして金鱗湖を散策し,
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この日は湯平に泊まりました.

石畳がなんともレトロで,写真もモノクロが似合う.
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イカした洞窟の温泉もありました.
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さらに別府へ向かい,ベタに地獄巡り.
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それぞれ,血の池地獄・龍巻地獄・かまど地獄・海地獄.
別府の地獄は全部で8ヶ所あるが,この4ヶ所をまわった頃にいい加減「なんでも『地獄』ってつけりゃいいってもんじゃないだろ」という気がしてきたので,地獄巡りは切り上げて鉄輪温泉へ.


この鉄輪温泉はいわゆる温泉街の原風景が残っていて,街のいたる所から湯けむりが上がっている.なんとも情緒的だ.
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郷土料理はだんご汁,
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さらに温泉の湯気で蒸しあげる地獄蒸し.
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油を使わないのでヘルシーで,素材本来の味がします.


というわけで九州の旅はこれでおしまい.

いい旅でした.
最終日の夜にキヨシの訃報を聞くまではね…


Peace Pipe: 雅叙苑で至福の一時 - 九州の旅前編 [diary]
Peace Pipe: いのちの島,屋久島 - 九州の旅中編 [diary]


2009年4月30日木曜日

いのちの島,屋久島 - 九州の旅中編 [diary]

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行ったことがある人に聞けば,みんな口を揃えて「屋久島はいい」と言う.
そして屋久島で4日間過ごして,私もまたあなたに「屋久島はいい」と言うだろう.

それは,自然というキャンバスに描き殴られた芸術である.


【白谷雲水峡】
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上の写真の「もののけ姫の森」は,その名の通り映画「もののけ姫」のモデルとなった森.この景色を神秘的と言わずして,何を神秘的と言おうか.


【いなか浜】
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5月から7月はウミガメが産卵の為に上陸するといういなか浜.真っ白な砂と真っ青な海のコントラストが美しい.時間が経つのを忘れてしまうぐらいのどかで,穏やかな気分になる.


【大川の滝】
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落差 88m という大川の滝.圧巻である.


【平内海中温泉】
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満潮時には水没してしまうという平内海中温泉.水着の着用は一切禁止.とてつもない解放感だ.


【縄文杉】
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クライマックスはこの上の写真の縄文杉.目の前にした瞬間,まるで聖地に降り立ったような感覚を覚える.樹齢1000年以上の杉を「屋久杉」と呼ぶが,この縄文杉はその王者で,樹齢は7200年とも言われる.神々しいまでの存在感…というより杉のバケモンだ.


こちらは屋久島名物,トビウオの唐揚げと首折れサバの刺身.島焼酎を呑みながら食べるのがいい.
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…と,これらの名所・名物はもちろん素晴らしいのだが,


ちょっとした路地裏,
何気ない街並み,

開放的で暖かい島の人々,
宿で出会ったワイルドな旅人,

ゆっくりゆっくり流れる,この島だけの時間,
この島全体の,水・空・光・空気が作り出す豊かな表情と空間全体に,

うっとりしてしまうのですよ.


はっきり言って4日間では全然足りなかった.
「1ヶ月に35日雨が降る」と言われるここ屋久島で,今回は4日とも晴天に恵まれた.贅沢な話だが,1日ぐらいは雨に濡れる屋久島も見てみたかった.それは次回のお楽しみとしておこう.ここには必ず帰ってくるだろうから.


Peace Pipe: 雅叙苑で至福の一時 - 九州の旅前編 [diary]
Peace Pipe: 鹿児島から大分へ - 九州の旅後編 [diary]


2009年4月27日月曜日

雅叙苑で至福の一時 - 九州の旅前編 [diary]

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鹿児島に行きたいと思っていた.そしてどうせ南に行くなら,夏の一番暑い時に行くのがいいと思っていた.それで今年こそはと,8月頃行く計画を立てていたのだが,少し予定が早まってこのゴールデンウィークに行ってきました.

実を言うと,鹿児島に行きたかったというより,この宿に行きたかったのだ.何年か前にテレビで紹介されていて,それを見てからいつか行こうと決めていた妙見温泉「忘れの里 雅叙苑」である.
忘れの里 雅叙苑


そこには,極上の癒やしの空間があった.

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建湯は20トンの大岩が手彫りでくり抜かれてできている.岩肌の感触が実にいい.源泉掛け流しで鉄分を含む強アルカリ性,土類重曹泉とのこと.
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こちらは貸し切りの炭酸泉ラムネ湯と打たせ湯.ぬるくてやわらかい湯がとても気持ちいい.
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川沿いには足湯があり,
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部屋にも露天風呂がついている.
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米は釜で炊かれ,野菜もここで育てたものが使われる.そして卵と鶏肉は,宿が所有する養鶏場から毎日新鮮なものが届く.
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予想通り,いやそれを優に超えるほど,宿・湯・料理・サービス,すべてにおいて最高だった.静寂の中に,水の音と鳥のさえずりだけが聞こえる.その名の通り,忘れの里だ.

九州の旅は,初日にして元々の目的が達成されてしまいました.


Peace Pipe: いのちの島,屋久島 - 九州の旅中編 [diary]
Peace Pipe: 鹿児島から大分へ - 九州の旅後編 [diary]


2009年4月26日日曜日

吾妻 光良 & 三宅 伸治 live at サンジャック [music]

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「浪ライフ records」というレーベルの発足記念イベントに行ってきました.
というのもこの 3 days のイベント,2日目の今日は,このブログでも何度か書いている吾妻 光良と三宅 伸治のカップリングなのである.
ライブ@サンジャック: 浪ライフrecords発足記念ライブ

まさかこの2人が同時に観られるとは思わなかった.

一緒に演ること自体あまりイメージできなかったが,この2人も会うのは今日で2回目なのだとか (ちなみに1回目はこのライブの打ち合わせ.ただ三宅さんは昔から吾妻さんのライブに足を運んでいたようだ).

三宅さんはソロで演ることも多いが,普段 The Swinging Boppers というビッグバンドを引き連れている吾妻さんの弾き語りはとても新鮮だった.

三宅さんには華があり,あいかわらずの永遠のワンパターンが妙にカッコいい.そして時にはシリアスな内容をおちゃらけて笑い飛ばし,また時にはふざけた歌詞の中にハッとする内容を織り交ぜる吾妻節は今日も健在だった.同じルーツを持ちながらも好対照な2人のギターの絡みもよかったし,吾妻さんのキャラはツボに入ってくるし,三宅さんがカバーした吾妻 光良 and The Swinging Boppers の「ゴミの日来るまで」は最高だった.

関係ない話だが,開演時間ギリギリに会場に着くと,入口に三宅さんが立っていた.思わず「握手して下さい」と言ったら,ニッコリ笑って対応してくれました.

私にとって今日からゴールデンウィークがはじまったが,その幕開けはブルースマンとロックスターの心地良い融合でしたとさ.


2009年4月17日金曜日

TOEIC の点数が英語の実力を測るのにあまり役立たない理由 [memo]

それは,speaking の科目がないから.

例えば私が「英語ができます」という人を面接するなら,日本語で答えても考えるのに精一杯という質問を出すだろう.日本語と英語に本質的にどれだけ差異があるかを見てみたいのだ.

それには,完全に賛否両論のテーマがいいように思う.
例えばこんな題目はどうだろう.

私が「はいどうぞ」と言った瞬間から,「妊娠中絶」について,賛成派と反対派の1人2役を演じ,両者の立場を建設的に示しながら英語でディベートをしてみてください.

但しその議論において,ファシリテーターがいた方が進行がスムーズになると判断するなら,ファシリテーターを加えた1人3役のプレゼンも許可します.

プライバシーに関わる問題なので,結論を出す必要はありません.

はいどうぞ.


もちろん以上のことは英語で伝える.

テーマは「同性愛者同士の結婚を法律的に認めるか」でもいいし,これらの質問が社会的にまずいなら「ウチの社員食堂はうまいかまずいか」についての1人ディベートプレゼンでもいい.

要は,テーマ自体を議論することに脳をフル回転させてもらい,「英語に訳す」という暇を一切排除することがポイントだ.


TOEIC には,listening はあるのに speaking がないのはまったく片手落ちとしか言いようがない.

英語の映画を字幕なしに観られるかどうかをテストしたいならそれでもいいが,
- 相手の言っていることが理解できて
- 自分の言いたいことが伝えられて
それではじめてコミュニケーションでしょう?

TOEIC の点数が良くても,その点数が証明するものは,せいぜい英語のドキュメントが読めて,英語のメールが書ける…ぐらいの業務レベルなのかもしれない.

で,もし本当にそうなら listening のパートはまったく不要というわけです.


以上,問題提起をする為に多少偏った見方をしているが,「英語が重要」と言った時に,それは文書によるやり取りを指しているのか,一方的にプレゼンができればいいのか,会話における説得力が必要なのか,全般的に広く浅く使えた方がいいのか…もちろん全部できることに越したことはないが,自分の中で優先順位は意識するべきだろう.それに応じて勉強方法も変わってくるに違いない.

今日,とある会議でとある人から「世界のエンジニアの中で英語が話せないのは日本人だけ.グローバルな開発では日本人が一番足をひっぱっている.英語が話せないエンジニアは C 言語が書けないのと同じ」という発言があった.その発言が大袈裟かどうかは置いといて,「これからのエンジニアに英語は必須」と言うなら,社員の TOEIC の点数だけを基準にするべきではない,ということが言いたかったわけです.


2009年4月9日木曜日

5年目以降の全ての社会人にとって重要なこと [memo]

それは,自分より若い人から学ぼうとする心構え.

かつて北島 三郎はこんなことを言ったとか.

先輩にはいつか追いつけるけど,後輩は追いかけてくるから,後輩をライバルに持つのはいいことだよ


今日は新入社員の職場配属日でした.
初々しい顔ぶれを見ました.

というわけで,改めて自分に言い聞かせる意味も込めてこんなことを書いています.

いつの時代も,若者の意見は,常に正しい.
自分より若い人から学ぼうとする気持ちは,いくつになっても持ち続けていたいと思います.


2009年3月26日木曜日

あのーブルペンで見てました - 松坂 大輔 [memo]

WBC は本当に素晴らしかった.いくつもの感動をもらった.それらの場面は このへん に書いてあるのでここでは繰り返さないが,今日放送された報道ステーションで知ったちょっといい話をシェアしたいと思う.

10回裏,2アウト・あと1人,ベンチでは優勝が決まった瞬間に我先にグラウンドに飛び出そうと,選手が身を乗り出している.だがそこに,エース松坂の姿はなかった.

インタビューでそのことを聞かれた松坂は,あっさりこう言った.

あのーブルペンで見てました.
あのーブルペンの様子もちょっと気になったんで.


大会規定により,この試合投げられない松坂は,こんな時にブルペンにいた.待機するリリーフピッチャーの様子を気にかけていたのだ.

なんという大きな男だろう.一番の主役であるはずの彼が,それこそスタッフに任せておけばいいようなことを,歓喜の瞬間が近づく中,行っていたのだ.

高校3年生の松坂が,甲子園の準々決勝で延長17回を投げきり,そして決勝でノーヒットノーランを成し遂げた1998年の夏は,ちょうど私が大学を卒業してアメリカから日本に帰ってきた時だった.それだけにあの夏は,あの甲子園は,そして松坂というピッチャーは印象に残っている.

そしてそれだけに,私にとっていつまでたっても高校生の印象が残る松坂は,いつのまにかこんな大きな男になっていた.

強いチームに主役は要らない.全員が,自分ではなくチームの為に,今できることをやるべきなのだろう.そしてそれは,才能に恵まれ日本代表として選ばれたアスリートだけではなく,チームの中で働く全員に言えることなのかもしれない.


2009年3月23日月曜日

麻布亭薬膳カレー [gourmet]

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書きたいことはいくつかあるんだけど,なんとなくブログ書くモードじゃない今日この頃.

そう言えば同じようなことを言っていた友人に,

まーいいんじゃない? 宿題じゃないんだし.
そんな時はその日食べたものでも書けば?

と話したことを思い出した.

というわけで,ここ数日なぜか無性に薬膳カレーが食べたい衝動に駆られていたという話でも書いてみます.

訪れたのは白金にある 麻布亭 LINO という店.
40種類以上のスパイスを駆使し,炒める・煮こむ・寝かすという工程を繰り返し,10日間熟成させて仕上げるのだそうだ.

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まろやかさの中にスパイスが効いていて,とても濃厚だ.それでいてしつこくない.
普通,辛いカレーというのは最初から最後までただ辛いだけ.だが美味いカレーは,口に入れた瞬間は強烈にカレーの味がして,甘みと旨みが広がり,その後キレのある辛さが追いかけてくる.まさにそんなカレーだった.


春先はまったりと更新していきます.


2009年3月22日日曜日

I wish that for just one time... [reflection]

Yes, I wish that for just one time
You could stand inside my shoes
You'd know what a drag it is to see you

-- Positively 4th Street / Bob Dylan


2009年3月11日水曜日

私の中の The Beatles その2 - Help! [music]

HELP!
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Side A
1. Help! (Lennon-McCartney)
2. The Night Before (Lennon-McCartney)
3. You've Got to Hide Your Love Away (Lennon-McCartney)
4. I Need You (Harrison)
5. Another Girl (Lennon-McCartney)
6. You're Going to Lose That Girl (Lennon-McCartney)
7. Ticket to Ride (Lennon-McCartney)

Side B
1. Act Naturally (Russell, Morrison)
2. It's Only Love (Lennon-McCartney)
3. You Like Me Too Much (Harrison)
4. Tell Me What You See (Lennon-McCartney)
5. I've Just Seen a Face (Lennon-McCartney)
6. Yesterday (Lennon-McCartney)
7. Dizzy Miss Lizzy (Williams)



俺的ビートルズライナーノーツ,今回は1965年にリリースされた5枚目のアルバム,Help! です.

Lennon-McCartney クレジットの曲の中では,A-1,A-3,A-6,A-7,B-2 がジョンの曲,A-2,A-5,B-4,B-5,B-6 がポールの曲となっている.

アルバムタイトル曲の Help! は,ポップでキャッチーな曲調にして,思わず口ずさんでしまうような聴き慣れたビートルズの代表曲ということで,あまり曲の持つ真意まで語られることはない.

だがこれは,ジョンの心の叫びなのです.

デビュー前はリーゼントだったのに,コマーシャリズムに従ってマッシュルームカットに仕立てられ,アイドルとして人気を得ていた立場に対して,理想と現実のギャップにもがいたジョンが「助けてくれ」と吐露している.

音楽的にはこの曲は,まったく違う2つの曲を組み合わせて作られていることも記しておきたい."Help! I need somebody..." という冒頭の部分から,"When I was younger..." というところで,まったく違うメロディになるのだ.この手法は今では当たり前のようによく使われ,言われなければ気付かないところだが,実はビートルズがこの曲ではじめて用いたと言われている.


You've Got to Hide Your Love Away は,ジョンがボブ・ディランに強く影響を受けて作った曲だ.確かにこのアコースティックなムードと歌詞は完全にディランを意識しているし,サビの "Hey, you've got to..." のあたりは,既にモノマネの域である (笑).




Ticket to Ride は,なんといってもジョンとポールのハモりが素晴らしい.2人が美しくハモっている曲は幾多とあるが,もしかしたらこれが私の中のナンバー1かもしれない.中期以降「個としてのビートルズ」を確立していった彼等において,なんのわだかまりもなく純粋に2人で声を出していたのは,このアルバムぐらいまでではないだろうか.

いつでも叙情的に響くハーモニーである.




そしてビートルズの,いやポップミュージック史の代表曲と言って過言ではないポールの大傑作 Yesterday.その数なんと3000以上という,歴史上一番カバーされた曲…なんていう説明も陳腐なほど,ただ美しい.説明は要らないだろう.

この曲は (やはりクレジットは Lennon-McCartney とされつつも),ポールが1人でレコーディングした曲だ.ポールが1人で曲を書き,1人で弾き語る,個人的にはポールのソロと捉えている.

余談だが,RC サクセションのスローバラードという曲に「カーラジオからスローバラード」という歌詞があるが,実際にこの曲の元となった,清志郎のカーラジオから流れてきたスローバラードは Yesterday と言われている.RC には「イエスタディをうたって」という曲もあるし,きっとこの曲は清志郎の想い出の1曲なのだろう.


…さて,今回このエントリーを書くにあたって,このアルバムを聴き返しているが,やはり1曲目の Help! が心を鷲掴みにするのだ.

ポップでキャッチーなメロディに乗せて,そしてクリップの中では笑顔で歌いつつも,聴けば聴くほどジョンが泣き叫んでいるのだ.

Now my life has changed in so many ways,

今では僕の人生はすっかり変わってしまった

-- Help! / The Beatles


10代の頃,いやあるいは20代のはじめでもいい,その頃は誰しも「今ある世界が人生の全て」だと思っていたはずだ.だがその後,容赦なく過ぎていく時間と移り変わる人生に翻弄されたことはないだろうか.

Every now and then I feel so insecure,

時折,不安でたまらなくなるんだ

-- Help! / The Beatles


人は,歳を取るという最大の代償を払いながら成長していくものである.

ペシミストを気取るつもりはない.
成長の過程には,想像もしなかった素晴らしいことだって沢山ある.

結婚した時のこと,子供が生まれた時のこと.
それは,今までの人生が色褪せて見えてしまうほど,素晴らしい一場面に違いない.

だが一方で,歳を取るという行為は,時としてあまりに非情である.若い頃は気付きもしなかったこと,気付きたくもなかったこと,それを,まったく心の準備もないまま現実として目の前に突きつけられ,途方に暮れる経験を,あなただってしたことがあるだろう?

聴こえないだろうか?

ジョンの,私の,あなたの隣にいる人の,そしてあなた自身の,悲痛な心の叫びが.


Help me if you can, I'm feeling down,
And I do appreciate you being round,
Help me, get my feet back on the ground,

Won't you please, please help me,
Help me,
Help me, Oh

-- Help! / The Beatles



そして "Help!" という叫び声と共にはじまったこのアルバムは,全てがふっきれたようなロックンロールで幕を閉じる.その前の曲の Yesterday というスローバラードが,シングルとして聴けば音楽史上燦然と輝く名曲であるのに,アルバム全体を通して聴くとまるでこの最後のロックンロールの引き立て役であるかのように.




生きるということは,なんて辛いことなのだろう.
生きるということは,なんて素晴らしいことなのだろう.

いい事もある.
悪い事もある.

どうせ両方あるのなら,丸ごと受け入れさせて頂きましょう.
泣いても笑ってもやることなら,笑ってやらせて頂きましょう.


1曲目を聴いて泣きたくなり,そのまま色々な思いを馳せて次々と流れる曲の展開に身を任せ,最後の曲でフッと気持ちが楽になってまた前を見る…私にとってはそんなアルバムです.


Peace Pipe: 私の中の The Beatles