2006年11月2日木曜日

2次元を3次元に変換 - CMU researchers [memo]



Gizmodo Japan より.
CMU (カーネギーメロン大学) の研究者による,2次元画像を3次元に変換する技術.
二次元を三次元に変換 : Gizmodo Japan

すごい!! すごい!!
素直に感動しました.


ところで CMU は,今年の全米大学院ランキング (博士号) の Computer Science 部門で 堂々の1位 (MIT, Stanford, UCB と同率1位) を飾る名門校.

有名どころでは,Mac OS X が採用している Mach カーネルを開発したのも CMU.ちなみにこの Mach を開発した Rick Rashid 教授,皮肉なことに今ではマイクロソフトの研究部門のトップだったりする.

ギークな大学のイメージが強いけど,実は「音楽分野とドラマ分野が全米やブロードウェイにおいて有名な存在であることは日本であまり知られていないが特筆すべきである.」
カーネギーメロン大学 - Wikipedia


…っと,少し脱線したけど,上のビデオは必見です.


2006年11月1日水曜日

Firefox のカスタマイズ [memo]

というわけで,前エントリー の続き.

まずはユーザープロファイルディレクトリを確認.
Windows の場合

C:/Documents and Settings/<ユーザー名>/Application Data/Mozilla/Firefox/Profiles/<適当な文字列>.default
Mac の場合
$HOME/Library/Application Support/Firefox/Profiles/<適当な文字列>.default
UN*X の場合
$HOME/.mozilla/firefox/<適当な文字列>.default

このディレクトリ以下で重要なファイルは以下の通り.
    設定ファイル
      prefs.js
      user.js

    ユーザースタイルシート
      chrome/userChrome.css
      chrome/userContent.css

    ブックマーク
      bookmarks.html

    パスワードやクッキー等を記録したファイル
      cookies.txt -- Cookie
      signons.txt -- パスワード
      key3.db -- パスワード要約ファイル
      hostperm.1 -- 許可情報
      cert8.db -- セキュリティ情報ファイル
      secmod.db -- セキュリティ情報要約ファイル

    その他
      history.dat -- 履歴
      downloads.rdf -- ダウンロード履歴
      formhistory.dat -- フォーム履歴
      localstore.rdf -- レイアウト情報
      mimeTypes.rdf -- ダウンロードファイルタイプ情報
これらのファイルは定期的にバックアップすることをお勧めするし,違うマシンに Firefox をインストールしても,これらをコピーすれば同じ環境になるはず (但し,OS が違う場合は中身のパス名やフォント名等に注意).

今回注目するのは,user.js, chrome/userChrome.css, chrome/userContent.css の3つ.

設定ファイル (prefs.js, user.js)
基本的に Firefox の設定は,インストールした Add-ons (エクステンション) の設定も含めて prefs.js に集約される.prefs.js は Firefox が内容をアップデートするので,個人設定は user.js に書くようにする.

仕組みとしては,user.js の内容が Firefox 起動時に prefs.js にコピーされるだけ.

だから注意したいのは,例えば user.js のある行を (変更ではなく) 削除した場合,その行は前回起動時に prefs.js にコピーされて残っているので Firefox の挙動が変わらないという落とし穴.

user.js をいろいろいじる時は,prefs.js のバックアップを取っておくのが良いでしょう.


ユーザースタイルシート (userChrome.css, userContent.css)
両者の違いは,userChrome.css は Firefox 自体の見栄えをカスタマイズし,userContent.css は表示するコンテンツの見栄えをカスタマイズするというもの.


どれも,日本語を記述する場合は文字コードを UTF-8 にすること.


より詳細な説明を含め,中身のいろいろなハックについてはこちらを参考に.
ユーザーCSSのカスタマイズ - Mozilla Firefox まとめサイト
user.js - Mozilla Firefox まとめサイト
userchrome.css - Mozilla Firefox まとめサイト
usercontent.css - Mozilla Firefox まとめサイト


Firefox 2.0 でサイドバーを右側に配置 [memo]

先日 Firefox 2.0 がリリースされたのでアップデートしてみた.

私はサイドバーを右側に配置したいので,userChrome.css に

window > hbox {
        direction:rtl;
}
window > hbox > * {
        direction:ltr;
}
と記述していたが,2.0 ではこれが有効にならない.

ちょっとネットを徘徊してみると,2.0 では
hbox#browser { direction: rtl; }
hbox#browser > vbox { direction: ltr; }
と記述すれば良いとのこと.
同じような悩みをお持ちの方のご参考になればと.

その他,私が適用している設定をいくつか紹介しておくと,
タブバーを下に配置する
tabbox {
        -moz-box-direction: reverse;
}

メニューバーを隠す (画面は1行でも広く使いたい)
#toolbar-menubar {
        display: none !important;
}
など.

せっかくなので,次エントリーで Firefox のカスタマイズについてまとめてみます.


2006年10月31日火曜日

Halloween の想い出 [diary]

この時期になると決まって思い出すこと.

16歳の時にアメリカに渡って迎えた1年目の秋,まだ英語もろくに話せないしアメリカの文化や習慣にも戸惑いだらけだった頃,ルームメイトに「ハロウィンパーティーに招待された」と英語で言ったつもりが「ヘロインパーティーに招待された」と聞こえたらしく大騒ぎされた想い出.

大体普通に考えれば分かりそうなものなのに (そして多分分かっていたんだろうけど),アメリカ人はこういう時はとことんイジワルだ.「自分達は常に正しい」メンタリティーの国民だから,他人の間違いをやり玉にあげることに関しては天才的.


英語の失敗は数えきれないけど,一番恥ずかしかったのは,同じく1年目に学校のカフェテリアで働いていた時のこと (最初の1年だけ通っていた全寮制の高校は,生徒が無償で図書館やカフェテリアなどの学校施設で働かなければいけなかった).

ある日,スーパーバイザーに「地下の fridge から "half and half" を持ってこい」と言われる.

"half and half" ってのはアメリカによくあるコーヒーのクリームのこと (スジャータみたいなの).でも英語がよく聞き取れないし (冷蔵庫は "refrigerator" だと思ってたから "fridge" なんて言われても分からない),そもそもその時は half and half なんて知らないし,何回か聞き直してたらなんか相手もめんどくさそうになってくるし…

で,「ハーフ オブ...ハムかな…」と.

ハムを抱えて登場した途端にみんなの笑い者.
もう逃げ出したくてたまらなかった.


まあそんな経験もあって今の自分があるんだろうし,今では良い想い出かな.

アメリカ1年目の印象はとても強くて,今でも Jack-O'-Lantern (Halloween のカボチャのお化け) や half and half, そして Bill Clinton の大統領就任や Eric Clapton の Unplugged などの1992年の映像などを見ると,当時の想い出が蘇えってくる.

大人になっても,恥をかきながらやっていきたいものですね.


2006年10月29日日曜日

Flickr の写真を moo で オンラインプリント [memo]

数ある写真共有サービスの中でも,私は最もメジャーな Flickr を利用している.
http://www.flickr.com/photos/toshied/

それで,その Flickr に投稿した写真からカードを作ってくれるという moo というプリントサービスがあるとのことで,さっそく試してみた.

値段は100枚で $19.99 ということで,なかなかリーズナブルかな,と.注文は100枚単位で,組み合わせは自由.送料は私が注文した時は無料だったが,現在は $4.99 とのこと.カードのサイズは,28mm x 70mm で,名刺の半分ぐらいの大きさ.このサイズに写真を切り取ったり,100枚のカードを選ぶ作業は非常にユーザビリティーが高い印象を受けた.


割と立派な箱に入って到着.
DSC00900

カードはこんなかんじ.
DSC00908

裏面はシンプルな構成にしてみたけど,ここも当然カスタマイズ可能で好きな情報を入れることができる.
DSC00918

ちょっとお洒落な名刺代わりとしてだけではなく,結婚式やパーティーなどで配ったり,友人の引越し祝いに新しい住所を入れてプレゼントしてあげたり,工夫次第でいくらでも使い道はありそうですね.

というわけで,私の顔なじみの方々には,かたっぱしからカードを配りまくるのでヨロシク (笑)


moo についてのさらに詳細な情報は,このあたりを参考に.
Going My Way: Flickrの写真を利用して100枚全部違う写真を使った名刺を作成できるmoo
Going My Way: moo.comから届いた名刺にも使えるFlickrの写真を使ったカード

flickrの写真を名刺にする「Moo」をいきなり注文してみた:[mi]みたいもん!
mooから注文したMiniCardsが届いたよ、mooいろんな意味ですげえ!:[mi]みたいもん!


ちなみに,写真共有サービスにしても,ソーシャルブックマークや SNS などにしても,いわゆる「ソーシャル系サービス」において,大きく成長したメジャーなサービスを使うか,発展途上のアングラ系なサービスを使うかは好みが別れるところかもしれないが,ユーザー数の多さ (つまりコンテンツの多さ) と今回の moo のような関連サービスの存在というのはメジャー系のメリットかもしれない.

Flickr に関して言うと,私は見ての通り家族の (というか娘の) 写真を中心に投稿している程度だが,中にはプロ並みの芸術的な写真も数多く見られる.例えば私が "favorite" に登録しているのは,こんなかんじ.
http://www.flickr.com/photos/toshied/favorites/

もし写真に興味がある方は,おもしろそうな グループ や Interesting Photos などの RSS フィードを登録すると良いかも.


2006年10月27日金曜日

日本ハムファイターズ優勝 - 2006年プロ野球日本シリーズ [diary]

日本ハムファイターズの選手達,ヒルマン監督,コーチ陣,球団関係者,そしてファンの人達,まずは心からおめでとう.


ところで,今年の中日にしても去年の阪神にしても,実況者や解説者が「普段通りの力が出せませんでしたねー」とか言っている.そして優勝した日ハムやロッテに対しては「いつも通りの戦い方ができましたねー」と.

これに激しく違和感を感じるのは私だけだろうか?

せめて普段通りの力は出してくれよ,と.
プロなんだからさ.

そりゃ相手も人間.
もちろん分かってるけど,されど「プロ」なのである.


ファンとしては,この大舞台で両チームがこれまで見たことの無いような力を出し合い,ものすごくレベルの高い戦いの中でぶつかり合うところが見たいのだ.

そんなのファンの一方的なワガママだって?
ああ,そうだよ.
ワガママぐらい言わせてくれよ.

おいそこのバカ解説者,「中日の実力はこんなもんじゃないんですけどねぇ」とか言うな.バカにするな.これが全ての実力ってことだよ.


勝負事において,私には好きな言葉がある.

You have to beat me.
Because I'm not gonna beat myself

「お前が俺を 倒さなければ いけない.俺は自分自身を倒さないから」

つまり相手に対して「俺が自滅することだけは絶対にないから,勝ちたかったらお前が俺を倒しにこい」という心構え.

その心構えが,こちらも相手のミスを期待するのではなく,むしろ「今シーズン最高のボールを投げてくれ.それを俺が打つから」というメンタリティーに繋がる.最高のパフォーマンスは,そんなメンタリティーから生まれる.


いつも通りの力が出せれば取れてしまうようなものですか,「日本一」ってのは.

大舞台に緊張して普段の野球ができなかった?
パ・リーグのプレーオフがあって実戦間隔が空いていた?

わ・ら・わ・せ・る・な


見る側からすれば,「長いシーズンの中で,最後に日本一を決める戦い」とか「応援しているチームがそれを戦っている事実」という興奮はあったとしても,普段通りの力が出せないなら,純粋に「ベースボールとしてのクオリティ」を考えればペナントレースの試合の方がおもしろいことになってしまうではないか.

悪いが私は「一流の選手が大舞台で実力を出せない人間模様」が楽しめるほど器用な人間ではない.見たいのは,シーズンの最後にふさわしい,そしてそれぞれのリーグを制したチーム同士の戦いにふさわしい,ヒリヒリするような戦いだ.


…と,
まあ言うのは簡単ですよね.
実際には同じ人間だし,緊張することも,普段通りの力を出すことがいかに難しいかも分かっている.分かっていますとも.

でも私には言う権利があるのです.

だって野球に関しては,私がファンであり,彼等がプロなのだから.

私が世に送り出す製品に関しては,私がプロとして同じことをユーザーに言われる立場であり,それを受け入れなければいけないのです.


セ・リーグを制覇しても,いつも日本シリーズで勝てない中日.

2年前,王手をかけながらもホームで連敗し,目の前で敵が歓喜の声を上げるのを目に焼きつけ,その悔しさを果たすべく臨んだ今シリーズ.

そしていつも通りの野球ができずに4連敗.

悔しくてたまらないだろう.ファンよりも,誰よりも,選手が一番悔しいだろう.悔しくて,悔しくて,たまらないだろう.

だから彼等には,あえて 相手チームの監督の言葉 を送りたい.

But, at the end of the day,
you still have to find a way to enjoy


来年も応援するぞ!!
ガンバレ > ドラゴンズ


2006年10月26日木曜日

似顔絵 [diary]

会社の同じチームに,ものすごく絵のうまい後輩がいる (もちろん本職はエンジニア).

彼女がデザインしてくれたチームのホームページやドキュメントテンプレートはプロのデザイナー顔負けだし,彼女の Blog (社内 Blog なので紹介できないのが非常に残念…) もセンス抜群だったりする.


で,その後輩が私の似顔絵を描いてくれました.

似てます…よね? (正直自分では分からない)


実物はこんなの.



ちなみに,良く「似てる」と言われるのはロナウジーニョとか原田 泰造とか (正直自分では分からない).


これまでに「似てる」と言われて一番嬉しかったのは,Jesse Davis.私の大好きなギタリストの1人です.



というわけでせっかくなので,この Blog,Gmail,Google Talk,mixi,GREE,flickr と,プロフィール画像は全部これにしてみました.


2006年10月25日水曜日

GREE Labs 第8回 オープンソーステクノロジー勉強会 [seminar]

第6回目,第7回目と出席できなかったので,久しぶりの参加となった GREE Labs オープンソーステクノロジー勉強会.
第8回 オープンソーステクノロジー勉強会 - GREE Labs

今日は2つとも個人的に関心のあるトピックだったので,とても楽しみにしていた.

最初の議題は,Debian Developer として著名な鵜飼 文敏氏による「プログラムが main()にたどりつくまで」という内容.Linux で "Hello world" が実行される際に,シェルから fork(2) されて execve(2) を呼び出し,waitpid(2) で帰ってくるまでの Linux のプロセス実行を,実際のソースコードを見ながら追いかけていく.具体的には,glibc の

sysdeps/unix/sysv/linux/execve.c
sysdeps/unix/sysv/linux/i386/sysdep.h
あたりから,int $0x80 (SYSCALL_VECTOR) でカーネルモードに遷移して,
sys_execve (linux arch/i386/kernel/process.c)
do_execve (linux fs/exec.c)
search_binary_handler (linux fs/exec.c)
struct linux_binfmt (linux fs/binfmt_elf.c)
load_elf_binary (linux fs/binfmt_elf.c)
と流れて ELF を load して…,みたいな話.
あとはファイルの実態とメモリ上への配置とか,readelf・objdump・ldd あたりの使い方とか.

私自身,Linux プラットフォームでの開発はここ2年近く遠ざかっているし,その頃だって OS のシステムコールを使うようなことはしていなかったので,とても興味深く聞くことができた.

ちなみに,今回のような内容をまとめた「Binary Hacks」という書籍が,近日オライリーから出版予定らしい.鵜飼氏も著者の1人で,彼によると「抽象化によって隠された計算機の本当の力を引き出すプロラミングのノウハウが満載」とのこと.


2つ目は,GREE の澤氏による「モバイル Web サービス開発 @ GREE」という話.元々,7月に GREE が KDDI と提携したということもあって注目していた議題だったが,主に GREE における「最近のモバイル事情」「開発の仕組み UI編」「開発の仕組み システム編」という内容だった.

ただ蓋を開けてみると,例えば「UI には Web デザインパターンを使っている」という話を実際の GREE のサービスを例に取ってどのパターンが適用されているかという説明や,市場調査の為に女子高生をオフィスに招き入れてヒアリングしているという話 (楽しそーだな,おい),frontend 側と backend 側を分けて business logic を分離しているという話,携帯キャリアによる挙動の違い,開発基盤の共通化にる生産性向上,みたいなことが聞けておもしろかった.


ところで今回の話を聞いたり,懇親会で GREE のエンジニアと話をしたりしていると,本当にスピード感溢れる開発をしているんだろうな,という印象を受ける (とあるサービスは,テスト込みで1週間の開発期間でリリースしたとか).「小規模で平均年齢も若いベンチャーだから」と言ってしまえばそれまでだが,それにしても意思決定が遅いどこかの大企業とは大違いだと思ったり…


例によって本日の議事録,資料,音声ファイルなどは GREE のサイトにアップされると思います.


参考:
Peace Pipe: GREE Labs 第3回 オープンソーステクノロジー勉強会 [seminar]
Peace Pipe: GREE Labs 第4回 オープンソーステクノロジー勉強会 [seminar]
Peace Pipe: GREE Labs 第5回 オープンソーステクノロジー勉強会 [seminar]


2006年10月24日火曜日

「激しい雨」の歌詞の謎 [music]

前回エントリー で散々書いた忌野 清志郎さんのニューアルバム,夢助.このアルバムのリードトラックである「激しい雨」という曲の歌詞について気付いたことを書いてみる.

ファンなら誰しも,

RC サクセションが聴こえる
RC サクセションが流れてる

というサビが心にしみるだろう.

私は RC の最後の方にギリギリで間に合ったぐらいの世代だけど,それでもグッと来るものがある.例えば 「Blue」の頃からのファン,ましてや「シングルマン」ぐらいからリアルタイムで聴いているファンの方は,もうたまらないんだと思う.

これはこの曲を共作した CHABO のアイデアとのことで,Neil Young が,Buffalo Springfield 解散後に歌った "Buffalo Springfield Again" という曲からヒントを得たとのこと.曰く,「あの一発で清志郎と分かる声で,本人が『RC サクセション』と歌うのを聴いてみたかった」とのこと.

ところで,このサビに入る前のフレーズ,

Oh 何度でも 夢を見せてやる

というところで,往年の RC サクセションの名曲を連想させるフレーズが挟まれている.

それはまるで,「RC サクセションの夢を見せてやる」と言わんばかりに.

つまり「忌野 清志郎というと,未だに RC のことを語られるけど,50を過ぎた俺が,たった1人で同じぐらいの夢を見せてやるぜ」みたいな (いや,これはさすがに拡大解釈.ここまでの意図は無いと思いますよ,念の為).


さて本題.

この「連想させる往年の RC サクセションの名曲」だけど,例えば

Oh 何度でも 夢を見せてやる
Oh あの夏の 陽焼けしたままの夢

は,Sweet Soul Music.

Oh 何度でも 夢を見せてやる
Oh ダイヤモンドが 輝いてる夜の夢

は,雨あがりの夜空に.


では

Oh 何度でも 夢を見せてやる
Oh この世界が 平和だったころの夢

は?

イマジン…でいいのかな?
ここだけちょっと気になってました.


まあいずれにしても,アルバム全体の性格や雰囲気を考えると,選曲としては妥当なところなんでしょうね.

例えば,
「Oh 暖かいストーブの部屋の中でミシンを踏んでいた夢」
じゃあちょっとしまらないし,まさか
「Oh コンドームなんかつけたくない,あくまでもナマでヤリたい夢」
とは歌えないしね (ってこれは Timers か…).


2006年10月23日月曜日

夢助 - 忌野 清志郎 [music]

ソウル界のカリスマ,Steve Cropper がプロデュースし,Nashville で録音された忌野 清志郎さんの通算45枚目となるニューアルバム,夢助.この Blog でも発売前に何度か取り上げたけど,レビューを書くのはじっくり聴き込んでからにしようと思ったので,このタイミングになってしまった.

まあ長い話を短くまとめると,Steve Cropper と清志郎さんに惚れ直しました,というお話です.特に Cropper は,ギタリストとしてだけではなく,プロデューサーとしても天才なんだな,と実感.

以下,長い話.


そこには,極上の音楽があった.

1992年に,同じく Steve Cropper をプロデューサーに迎え,Booker T. & the MG's を従えて Memphis で録音された,"Memphis" というアルバムがあった.もちろん「作品」としては素晴らしかったんだけど,それぞれがそのまま合わさって,なんか「清志郎さんが MG's のバックで歌ってる」というイメージが強く残った (というかそういうコンセプトだったんだろうけど).

それに対してこの「夢助」は,完全に1つの音楽として融合された,「Cropper 仕立ての清志郎節」なのだ.

Cropper のスタジオで,Cropper が自慢のミュージシャン (なんとその中には Jim Horn や "The Memphis Horns" の Wayne Jackson といった超大物までいる) を集めて作られたこのアルバム.

実際,Cropper は清志郎さんが持ち込んだデモテープから,かなり音をいじったと言われている.いや「いじった」という表現が的確でなければ,レコーディングに同行した山本 キヨシ氏の言葉をそのまま借りよう.

さすがに譜面もないし,スティーブの思い付きでどんどん変わっていくし,生きている音楽を目の辺りにしている感じです.
(こちら でも紹介したファンクラブ会報誌より)

実際,どれだけ原曲から変わったのかは分からないけど,どの曲も「このアレンジしか考えられない」と思えるぐらい完全にハマりきっている.

あるいは,以前フジテレビで放映された この番組 の CHABO の言葉を借りれば,

最初のデモテープはラフな感じで,荒々しかったのね.
あがってきたのはー,クロッパーさんがやっぱり,めちゃタイトでー
(「激しい雨」 を共作した CHABO が出来上がった曲を聴いて)

そう,とにかくこの曲に限らず,Cropper がタイトに仕上げてるんです.もうとにかく,これでもか,ってぐらい.


まず1曲目の,どこか寂しげなリフに強烈なメッセージを乗せた「誇り高く生きよう」から一気に心を奪われ,惹き込まれていく.


例えば「This Time」という曲.これは Steve Cropper がこのアルバムの為に作詞・作曲をして,清志郎さんがその詞を自ら和訳した曲だが,アルバムの中にとても自然に入り込んでいる.っていうか,「清志郎さんのオリジナル曲」と言われてもまったく気付かないかもしれない.


例えば「花びら」や「Night And Day」のイントロ.完全に Stax サウンド だし,特に「花びら」なんて,Steve Cropper の真骨頂とも言える展開だ.そしてそこに Otis Redding でもなく,Eddie Floyd でもなく,忌野 清志郎の歌声が微塵の違和感も無く滑り込んでくる.


例えば「涙のプリンセス」や「温故知新」のギターソロ.なんとも Cropper らしいフレーズではないだろうか.これこそ世界中のソウルマンが羨望の眼差しで見つめる Steve Cropper のギターだ.「痛快」の一言に尽きる.

こんなメロディを,他の誰が考えられよう?

こんなリズムを,他の誰が奏でられよう?

しかもこのありえない時間感覚…

世界中の時間が一瞬スローモーションに陥った錯覚さえ覚える.

以前「『優れたデザインは引き算である』という言葉は Cropperのギターにもあてはまる.『ギターを弾いていない時』こそ一番 Cropper が音楽を奏でている時」みたいに 書いたことがある けど,つまり私が言いたかったのは,まさにこのギターのことなんです.

スティーブさん,アンタって人は,ホント,なんてカッコいいんだぃ.


この,そうそうたるバックで完璧に歌いこなす清志郎さんも,改めてすごいなぁと思う.ホント歌うまいなぁ.歌詞もいいなぁ.

特に「雨の降る日」の絶妙な音程感.
少し余談になるけど,以前清志郎さんのライブを見に行った時に,モニタースピーカー (ライブで演奏者が音を聞く為にステージ前に設置するスピーカー) から音が出なくなるというトラブルがあった.長いライブ経験を通して,そんなトラブルは始めてではなかったのだろう.メンバーは慌てることもなく,ギターの三宅 伸治がすかさず清志郎さんの前に来て,カッティングする右手の動きを大きく動かし始めた.清志郎さんはバンドの音が聞こえない中,その手の動きを頼りにリズムを取り始めた.とっさのバンドの対応にも「プロ」を感じたけど,自分の歌声がまったく聞こえない中で音程を1つも外さず完璧に歌い続けていた清志郎さんを,口をあんぐり開けて見ていたのを覚えている.この曲の絶妙な音程感を聴いて,その時のライブの光景が一気に蘇えってきた.


ファンの心情からすると,この録音の時には既に喉頭癌を患っていたわけで,さらに「病床での最終作業で最後にタイトルカラーに選んだのは,病室から見える広い空の色」なんて話を聞くとたまらなくなるのは事実.でもそんな感情を抜きにして音楽だけを客観的に取りあげても,それこそ MG's や RC Succession まで含めて,Steve Cropper 作品の,あるいは忌野 清志郎作品の,"one of the very best" に入ると思う.


もしあなたが清志郎さんやリズム・アンド・ブルースをあまり聴いたことが無かったとして,このアルバムを手にする機会があったとしたら,1度だけ聴いて「ふーん,こんなかんじなのね.キヨシローって独特の声してるよねー」で終わってほしくない.

もしできれば,10回は聴いて頂きたいアルバムだ.
聴く度に新しい音が聞こえてきて,新しい発見がある.
そして少しずつ体の中に溶け込んで行くと思う.

3回聴けばもう Nashville の空気を感じるかもしれない.そして詞の内容にハッとして,清志郎さんの声が「ちょっと変わった特徴のある声」なんてことだけでは無く,強い意思持った深みのある声だと感じるだろう.

5回目には,決して派手ではない,しかしどこまでも誠実に響く Steve Cropper のギターフレーズが頭から離れなくなっているはずだ.

8回目には,例えば「残り香」のようなゆったりと流れていたと思っていたリズム・アンド・ブルースが,ボーカルの後ろに聞こえるか聞こえないかぐらいの大きさで刻まれている Cropper のカッティングによって,実はおそろしいほどタイトに,そして巧みにコントロールされていたことに気付くかもしれない.それと同時に決してはばからない,しかし絶妙のタイミングで入ってくるピアノやホーンセクションの心地良い響きに背筋をくすぐられているだろう.

10回目には,忌野 清志郎と Steve Cropper の虜になっているかも.

…なーんてねっ.

ま,基本的に音楽は自由なものだし,私は音楽が本当に大好きだから,音楽を押しつけるのも押しつけられるのも大嫌い.というわけで,このエントリーは私の自己満足程度に読んで頂いて,もし興味があれば give it a try! ってことで.


それにしても,私がヘタな言葉でどれだけ Steve Cropper のことを語っても,この人のこの一言にはかなわないなーと思うのです.

まぁ,(カッティングの真似をしながら) "ザーカザッ" てかんじですかね.
ひとことで言うと.うん.
-- 忌野 清志郎 (インタビューで「クロッパーの魅力は?」と聞かれて)