マネジメント革命 [memo]
著者の本名は土井 利忠.元ソニーの上席常務であり,NEWS,CD,AIBO などを開発してきたスーパーハッカーでもある.著者は昨年,42年のソニー生活に終止符を打ったが,あとがきには「本書は,いわばその卒業論文に相当する」と書かれている.
その内容は,従来の一般常識とは真向から対立するものであり,「今後100年間は通用する,新しい経営学として世に問う」としている.
本書は,現在人々が信じている企業経営や組織マネージメントの常識は,致命的な間違いを犯していると主張する.つまりそれらは「人間が合理的である」という間違った前提のものに成り立っているが,そもそも人間や組織は不合理であり,成果主義を始めとする近年の合理的かつ精密な経営学は企業を破綻に導きかねないということだ.
そしてソニーの創業者である井深 大と入社以来身近に接してきた著者が,そのマネージメントスタイルを徹底的に分析し,自分の経験や様々な学説のみならず,脳科学や深層心理学までをも駆使して,組織マネージメントを体系化している.
いわゆる「マネージメントテクニック」が書かれた本ではない.
むしろ著者に言わせれば,「マネージメントはテクニックではない」ということだ.
特に後半はスピリチュアルな内容が多く,一体何についての本なのか忘れそうになってしまうが,全体を通して従来の手法や方法論がまったく無視してきた,人間の本質や深層心理に関する視点に基いて記述されており,目から鱗の内容も多いだろう.
個人的には,「マネージメントとはなにか」というよりも,「人間とはなにか」について,深く考えさせられた一冊.
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