Google はいずれ大企業病に陥るか? [memo]
Google の Head of Special Initiatives,Chris Sacca の Blog より.
Chris Sacca's 'What is left?': Did you get the memo about the new cover sheets we are using?
要は Google が,規模が大きくなり「大企業病」にかかることが一番心配だ,と言っている.
Yet, as the company gets bigger, the temptation is to introduce additional layers of management and bureaucracy and these are the enemies of innovation.
その通り.
かつては遊び心が満載だった小さな企業が,成功の代償に大企業病に陥り,社内には「マネージャー」という名前の政治家が蔓延し,極限まで動きが鈍くなった末に一体誰の為に作っているのか分からないプロダクトしか作れなくなってしまう例は実際にある.
I hear the same two things from those in organizations that are no longer innovating: 1) They never get to work on teams smaller than 200 people and 2) They haven't launched anything in years.
「革新ができなくなった企業に共通して言えることは,1) 200人未満のチームで作業をすることが無い,2) 長年に渡って世に対してリリースしていない」とのこと.
2) については,なんでも出荷すれば良いという訳ではないと思うので,「エンジニアが自ら惚れ込み,自ら『欲しい』と思えるプロダクトをリリースしていない」と意訳したいところだ.
笑ってしまったのが,警告すべきサイン (the potential big company pitfall) として,例えば「特に途中から Google に入社した社員は縄張り争いをしたり…」などと Sacca が挙げている中で,
I have seen a few mid-level bosses evoke the traditions of Japanese management and schedule "pre-meetings" to plan, discuss, and approve what will be planned, discussed and approved at the actual meeting itself.
「何人かの中間管理職が日本流マネージメントの流儀を持ち込み,本来のミーティングで話すべきことを話す為の『プレミーティング』を行っているのを見たことがある」という一文.
最近やたらと「プレ〜会議」という言葉に聞き覚えがあるのは私だけだろうか.
そしてこの記事の最後は,こう締められている.
For those of you from Google who read my blog, thanks in advance for your help in keeping it a place where freedom to innovate is the rule and not the exception.
「私の Blog を読んでいる Google 社員の方達よ,Google において革新することの自由が至極当たり前であるという環境を保つ努力をしてくれること,前もってお礼を言っておくよ」(少し意訳)
なんとも粋なメッセージではなかろうか?
これだけ「大企業病」という観点でマネージメントの話などを書いておきながら,最後は自分の社員に対するメッセージで締めている所がなんとも心憎いし,John Battelle が自分の Blog でこの記事を紹介 したら,わざわざ自ら「重要なのは最後の部分なんだよ,そこを省略しないでくれよ」とコメントを残している (一番最初のコメント).
日本でも,パブリックな Blog で社員に対して自分の考えをシェアする事例が増えたらいいと思う.
ところで,私は Google のやり方が全て正しいと言うつもりはないし (そもそも Google のやり方なんて外から見える範囲しか知らないし),とてつもなく規模が大きくても躍進的な開発を行っている企業だってあるだろう.
そういう意味では,「200人未満のチームで作業をすることが無い」と定量的に記述している部分は賛同できない.
但し,「大企業病」というのは事実として存在するし,それは単純に規模の大小ではないかもしれない.
いずれにしても重要なことは,前述の「エンジニアが自ら惚れ込み,自ら『欲しい』と思えるプロダクトをリリースする」ことなんだろうと思う.「自分は好まないけど,マーケットにはウケるかもなー」なんていうのは嘘だ.開発している当事者が作っていて楽しくないものが,ユーザーにとって楽しいわけがない.どうせ働くのであれば,そういう開発がしたいものだ.
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