選曲に大注目 - ファン泣かせの Stax Profiles [music]
「Stax Records」というレコードレーベルをご存知だろうか.ブルース・ソウルの聖地 Memphis を拠点とし,Southern Soul を作りあげた立役者である (というか Stax と Southern Soul は同義語と言っても過言ではないだろう).
私が産まれて間も無く閉鎖してしまった遠い地のレーベルであるにも関わらず,私はいつも Stax になんとも言えない懐しさとシンパシーを感じる.それは憧れの地 Memphis にあり,Otis Redding, Booker T. & the MG's, Wilson Pickett, Eddie Floyd, Aretha Franklin, Marvin Gaye, Stevie Wonder, Isaac Hayes, Ike & Tina Turner, Rufus Thomas…と名前を挙げ出したらキリがないぐらい多くの,私が敬愛してやまないミュージシャンを輩出し,青春時代から常に身近な存在だったからかもしれない.
そして来年の Stax 創立50周年を記念して,代表的なアーティストのベスト盤がリリースされるとのこと.これだけなら大した話ではないが,今回目を引くのは,それぞれのベスト盤の選曲を,そのアーティストに関係が深いアーティストや有名人,業界人が行っているのだ.基本的にベスト盤が嫌いな私でも注目せざるを得ない.
例えば Otis Redding.
選曲はなんと Steve Cropper!! これだけで涙ものだ.なんと言っても今回のシリーズの一番の目玉である.Otis と Steve Cropper については,こちらを参照して頂ければ.
Peace Pipe: Steve Cropper が奏でるギター [music]
Memphis Soul の貴公子,Eddie Floyd. Steve Cropper が手がけた彼の代表作 "Knock on Wood" はあまりにも有名で,様々なミュージシャンにカバーされている.
選曲は Blues Brothers で有名なコメディ俳優の Dan Aykroyd.
昔 Blues Brothers Band が東京公演を行った時,私と私の嫁さん (当時は彼女) は最前列中央の席で見ていて,Eddie Floyd は歌っている最中に彼女に何度もウィンクし,最後には手にキスをしてステージに引っ張り上げたのが一番想い出に残っている.Eddie Floyd, Steve Cropper, Matt Murphy, ゲストで来ていた忌野 清志郎さんという顔ぶれの中で,自分の彼女が彼等と手をつないで踊る姿に私はただ唖然とするしかなかった.
我等が Booker T. & the MG's.
選曲は Elvis Costello. なんで Costello? と思ったが,選曲を見るとなかなか渋い.「あ,本当に好きなのねー」と共感できる.
唯一無二のギターでロック・ファンクにも多大な影響を与えた「3大キング」の1人,Albert King. 左利きなのに普通の右のフライング V を弦を張り換えずに (つまり1弦が一番上の状態),低めのチューニングで奏でるその表現力は色気さえ感じる.
選曲は Bill Belmont. 1977年に Stax を吸収した Fantasy Records の経営者で,Albert King のレコーディングにも深く関わり,アメリカンロック界の重鎮と呼ばれている人らしい.この作品でも,"Don't Throw Your Love on Me So Strong" の Fillmore 68年のライブバージョンや,"I'll Play the Blues for You" の完全収録版,"Born Under a Bad Sign" のアンリリースバージョンなどを入れ込み,市場に溢れる Albert King のベスト盤と差異化を計っている.
どうせなら Jimmy King (Albert King に憧れて彼のバンドに参加し,Albert と養子縁組したアーティスト) あたりの選曲でもおもしろかったのに…と思ったら,なんと2002年に亡くなっていたんですね.知らなかったよー.
R&B 界で強烈な個性を放つ Rufus Thomas. 私の中ではアーティストというよりも「芸人」の部類に入る (笑)
選曲は Roger Armstrong. この人は知らないけど,業界関係 (レーベル側の人間) のようだ.
Rufus Thomas の娘にして Stax の花,Carla Thomas. まったくエライ父親を持ったもんだ.
選曲はモータウンを最初にレコーディングした女性として知られる Dr. Mable John. Carla Thomas を成長期からずっと見守ってきた人物だ.
Stax の中でも割と後半に活躍した Johnnie Taylor. R&B を代表するアーティスト.
選曲は 80年代に人気を集めた熱血ロッカー Huey Lewis. ちょっと意外な人選だな.
Modern Blues 界の雄,Little Milton.
選曲は Lee Hildebrand. R&B の歴史家らしい.
父親と,その3人娘で結成された The Staple Singers.
選曲は Concord catalog A&R のディレクター,Cheryl Pawelski…ってこの人も知らないな.
実はあまり聴いたことがない Rance Allen.
選曲は自身も Stax に所属していた Deanie Parker.
…と,今のところ全10枚のようだが,この企画,これからも続けてどんどん増やしてほしいところである.
う〜ん,全部欲しいなぁ…
まずは全部 Amazon のカートに入れてからゆっくり考えてみるか…
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