2006年5月28日日曜日

Bob Dylan が40年以上前に高橋メソッドを実践!! [memo]

前回のエントリー で,

それからなんといっても高橋さんの「生高橋メソッド」が見れたこと.特にテンポ良くパッパッとスライドをめくっている時は,Bob Dylan の Subterranean Homesick Blues のビデオクリップを思い出してしまった (…って分かる人いますかね?).

と書いたんだけど,まさかと思って YouTube で探したらこのビデオクリップありました (もう何でもアリですね,YouTube).

もう1度おさらいしておくと,高橋メソッド とは,「とにかく大きい字で」「スライドあたりの字数は少なく」「簡潔に」を特徴とし,今やとても有名になりあちこちで使われている,日本 ruby の会の高橋さんが提唱したプレゼン手法.ご存知無い方は高橋メソッドを高橋メソッドで説明した こちらのスライド が参考になるかと.

…で,今日私が始めて高橋さん本人による高橋メソッドを見て思い出したのがこちらのビデオクリップ.高橋メソッドを見たことある方には必ず笑ってもらえると思うし,見たことない方はこのビデオを見て「ああ,こういうものなのね」と思ってもらって大筋まちがいないはず (ホントか?)

というわけで,今日から高橋メソッドは「Subterranean Homesick Blues メソッド」と呼びましょう…って名前長っっ!!



それにしてもこんないい加減で金もかかってないビデオクリップなのに,Dylan めちゃめちゃカッコいいなぁ.

1965 年の Bringing It All Back Home より.


GREE Labs 第3回 オープンソーステクノロジー勉強会 [seminar]

今日は GREE Labs のオープンソーステクノロジー勉強会に行ってきた.
GREE Labs -オープンソーステクノロジー勉強会 第3回

元々,日本 ruby の会会長の高橋さんによる Ruby on Rails (最近流行りの Web アプリフレームワーク) の話が聞けるということで興味を引かれたわけだが,どうも最近は本業よりも Web プログラミング (というかそっち方面の開発) にどんどん自分の関心が寄ってきている気がする.

個人的に興味深かったのは,高橋さんが Rails の話の流れで「少し PHP の話をさせて下さい」と,プレゼンの 1/3 ぐらいを PHP に費やしていたこと.曰く,Ruby on Rails のような最先端の開発環境は人々の関心も集まり一躍脚光を浴びているが,PHP は軽視されていて「みんな PHP の良さが分かっていないのでは?」と言うのだ.

「Geek や言語マニアには PHP は不評」としながら,PHP は「手段」としての言語であり,サービスで勝負したい,と述べていた (Geek や言語マニアは,言語を「目的」としている).

それから GREE の CTO,藤本さんが,彼の開発したフレームワーク,Ethna を説明をしている時に,その開発信念を,

絶妙に妥協
柔軟に拡張
高速に開発

と語っていたこと.
これは別に Web フレームワークに限った話ではないと思うし,私も業務でアーキテクチャ設計の話をすることがあるが,改めてこう言われるとなんか目から鱗が落ちるようだった.


本質とは関係無い話題で印象に残ったのは,藤本さんが,なんかのイベントでアメリカかどこかの会社の有名な CTO (すんません,関係無い話題だと思って聞き流してたので名前とかは一切覚えてません) に「CTO にとって一番大切なことは?」と聞いたら「採用」と言われたこと.

それからなんといっても高橋さんの「生高橋メソッド」が見れたこと.特にテンポ良くパッパッとスライドをめくっている時は,Bob Dylan の Subterranean Homesick Blues のビデオクリップを思い出してしまった (…って分かる人いますかね?).


勉強会後の懇親会では様々な情報交換をしてネットワークを広げられると思っていたけど (むしろこのテのイベントはそっちがメインだったり…),極度の睡眠不足だったので今日はパスさせて頂きました.


【2006/05/31 追記】
勉強会の様子,発表資料,議事録,音声がアップされました.
GREE Labs -オープンソーステクノロジー勉強会 第3回 −開催のご報告−


2006年5月27日土曜日

六本木ヒルズ ダ・ヴィンチ・コード展 [diary]

Google と Sony Pictures が 提携して 宣伝サイト を開設したり,今年度オープニング興行収入 No.1 を記録し5月公開作品オープニング成績としても過去最高記録をしたり,その一方で内容に キリスト教団が反発 しソニーの不買運動を始めるなど,とにかく話題にこと欠かないダ・ヴィンチ・コード.たまたま無料券があったので,六本木ヒルズで開催されているダ・ヴィンチ・コード展に先日行ってきた.

ダ・ヴィンチ・コード展 (公式サイト)
六本木ヒルズ・Roppngi Hills:「ダ・ヴィンチの謎」を六本木ヒルズで体験する!!
六本木ヒルズ・Roppngi Hills:ダ・ヴィンチ・コード展 The Da Vinci Code Museum

【ダ・ヴィンチ・コード展について】
この展覧会は世界初の試みとして「本で読み、ミュージアムで体験し、映画を観る」という3つの楽しみを提案するエンタテインメント・プロジェクトとして開催されています。
会場は、原作・映画のストーリーを軸に構成されており、作品に登場する「ダ・ヴィンチの名画」「空間・建築」「人物」等をデジタルメディア、高精細映像を駆使しながら再現されています。


Full HD の4倍を超える画素数を誇る SXRD (Silicon X-tal Reflective Display) で映し出された原寸大の「最後の晩餐」は確かに圧巻だったし,ダ・ヴィンチの代表的な絵画をその裏にあるストーリを語りながら紹介するデジタルミュージアムも非常に興味深かった (特に私にとっては知らないことばかりだったので).

会場は厳粛な雰囲気を作り出しなかなか良い演出をしていたと思うのだが,出口のところに売っていた「ダ・ヴィンチのぬいぐるみ」のあまりのマヌケ面に全てがぶち壊し… (撮影禁止だったので写真を掲載できないのが非常に残念).

本来は入場料が1,500円とのことなのでちょっと微妙な気はするが,興味のある方は足を運んでみるのもいいかもしれない.むしろ私のように美術にあまり造詣が深くなく,ダ・ヴィンチのバックグラウンドを全然知らない人の方が楽しめるかも?

あ,そうそう.5/28 (日) の 世界遺産 (23:30 - 24:00 TBS 系全国ネット) ではダ・ヴィンチ・コードの公開に合わせて「世界遺産の記憶 レオナルド・ダ・ヴィンチ」を放送するとのこと.こちらもチェックしてみてもいいかもしれない.


2006年5月26日金曜日

失うものの大きさ [diary]

会社で一番尊敬していたマネージャーが辞めてしまわれるとのこと.

うーむ激しくブルーです…

「この人の為にいい仕事がしたい」
心からそう思える人でした.


2006年5月23日火曜日

Presentation Zen にドリカムとみのもんた [memo]

エンジニアという職業は技術的なことだけではなく,プレゼンテーション能力も非常に重要で,しかも英語によるプレゼン (いわゆる public speaking skill, persuasion speech skill) が必要とされる場合も多い.そんなわけで私が情報収集するサイトの1つに Presentation Zen というものがある.

いつものようにここをチェックしていると,なにやら見たことのある顔が…と思ったら,ドリカムの吉田 美和と中村 正人だった.
Presentation Zen: The power of the genuine smile
なんでも大阪でドリカムのコンサートを見ていたく感動したようで,「プレゼンでは表情が大切」としながら,

last night in Osaka I was inspired by one of the world's greatest smiles and biggest musical talents.

と賞賛し,記事の大半をドリカムの紹介に費やしている.


ところでこの Presentation Zen,過去に 高橋メソッド (日本 Ruby の会の高橋 征義氏が提唱する今や世界的に有名なプレゼン手法・先日日本で開催された YAPC でも たくさん使われていた模様) を紹介したこともあり,
Presentation Zen: Living large: "Takahashi Method" uses king-sized text as a visual

さらにその後,その高橋メソッドと対比しながら bricklife. の ooba さんが冗談半分で名付けた もんたメソッド (みのもんたがよくやる,というか今やテレビでは良く見かける,文章の一部分を隠しながら話すこと) を真面目に紹介していたのが印象的だった.
Presentation Zen: The "Monta Method"

Oba says it is similar to the way people become more curious about adult videos in Japan because the "naughty bits" are blurred out with a mosaic filter.
(大庭氏曰く,日本のアダルトビデオでは局部にモザイクがかけられており,これと同じ要領で人々の好奇心を煽っている)

と真面目に書かれているのにちょっとひいたのを覚えている.

ま,いずれにしてもこんなネタまでピックアップするなんて,アンテナが高いことには間違いないんでしょうがね.



ちなみに過去に Peace Pipe でプレゼンのことに触れたエントリーはこのあたり.
Peace Pipe: CES 2006の基調講演とプレゼンテクニック [ce]
Peace Pipe: Macworld SF 2006の Steve Jobs 基調講演 [ce]
Peace Pipe: Steve Jobs のプレゼン失敗集 [memo]

Presentation Zen の記事を引用したこともあった.
Peace Pipe: Steve Jobs のプレゼンから「真似すべきではない」点 [memo]


2006年5月20日土曜日

松本人志オススメの「旨いぞお」 [diary]


昨日は嫁さんの誕生日,ということでグッチ裕三がプロデュースしている居酒屋, 旨いぞお に行ってきました.

もともとこのお店,以前もちょっとネタにした 松本 人志と高須 光聖の 放送室 の中で,2人がベタ褒めしていたのを聞いてから1度行ってみたかったのだ.

ラジオを聞く限り2人は山崎 邦正なども連れて何度か訪れているようで「これだけ行ってるんだからグッチさんちょっとオマケしてくれてもいいのになー」と冗談混じりに話していたし,店員さんにちょっと尋ねてみたところ「松本さん,ちょくちょくいらっしゃいます.ラジオで宣伝してくれたおかげで最近はリスナーのお客さんも増えてるんですよ」と話していた.


実際には「グッチ裕三プロデュース」なんていうネームバリューなんかまったく必要ないぐらいどれも本当においしく,全てのメニューを食べてみたいと感じるほど.値段はちょっと高めだけど,味はまさに噂通りで,料理やお酒の種類も豊富だし,店の雰囲気も店員さんの接客も最高でした.

写真は松ちゃんが絶賛していた「ナンと奈良漬け」


私の一番のヒットは「にんにくの茎と蜂の巣の炒め物」 (こちらは食べるのに夢中で写真撮るの忘れてました…)


とにかくこの「旨いぞお」,全然名前負けしてません.The Band (60 〜 70年代に活躍した最高のバンド) と同じぐらい名前負けしてません.


そしてなにより,誕生日おめでとう.
いつも家のこと,娘のこと,本当にありがとう.


2006年5月17日水曜日

はてな技術勉強会 .vimrc 説明補足 [vim]

前回に引き続き,はてなの技術勉強会は vim ネタで,今回は .vimrc の説明会だった模様.
secondlife/.vimrc

というわけで,前回に続いて,今回も少しコメントしてみようと思う.

まず勉強会ページで公開されている .vimrc に

" タブ幅の設定
set expandtab
set tabstop=2
set softtabstop=2
set shiftwidth=2
とあったけど,vim のタブ設定は複雑なので少し補足.

expandtab というのはタブをスペースに置き換える設定で,インデントに関する設定は残りの tabstop, softtabstop, shiftwidth となる.で,これらに関しては以前,2ちゃんねるの vim スレ に KoRoN さんが分かりやすい説明をしていたので,それをそのまま引用してしまいましょう.

2ch Vim6 Part3 94 より:

インデントには'tabstop'、'shiftwidth'、'softtabstop'の3つのオプションが関わっています。これらのうち'softtabstop'はvimオリジナルのオプションになります。cindentやautoindent時に挿入されるタブの幅は'shiftwidth'で決定されます。少々ややこしいですが各オプションの意味は下記のとおりなので、ちょっとがんばって理解しておけば柔軟に設定できるようになるでしょう。

'tabstop' (短縮名'ts')
ファイル中の<Tab>文字(キャラクターコード9)を、画面上の見た目で何文字分に展開するかを指定する。既にあるファイルをどのように表示するのか指定したい時に便利。

'shiftwidth' (短縮名 'sw')
vimが挿入するインデント('cindent')やシフトオペレータ(>>や<<)で挿入/削除されるインデントの幅を、画面上の見た目で何文字分であるか指定します。自動的に挿入される量、と覚えておくと良いです。

'softtabstop' (短縮名'sts')
キーボードで<Tab>キーを押した時に挿入される空白の量。'softtabstop'が0以外の時には、例え'ts'を4に設定していても、<Tab>を1度押しても'softtabstop'分だけ空白が挿入されます。逆に'softtabstop'が0の場合には挿入されるのは'ts'で指定した量になります。

vimが自動的に挿入したか<Tab>キーによって挿入された空白は、'ts'に設定された幅でTab文字へと自動的に置き換えられます(ただし'expandtab'が設定されていない場合)。これは十分に賢い機能なので特に意識しなくても良いでしょう。

で以上のことと、一般のエディタがTabを4文字か8文字で表示することを踏まえると
:set ts=4 sw=4 sts=0

:set ts=8 sw=4 sts=4
という設定が必要になります。



あとは私の vim 設定ファイルからいくつか tips 紹介.


カーソル位置の highlight グループを取得する.

command! -nargs=0 GetHighlightingGroup echo 'hi<' . synIDattr(synID(line('.'),col('.'),1),'name') . '> trans<' . synIDattr(synID(line('.'),col('.'),0),'name') . '> lo<' . synIDattr(synIDtrans(synID(line('.'),col('.'),1)),'name') . '>'
自分で colorscheme とかを構築する場合などに便利.


runtimepath/macro 以下の plugin を読み込む.
command! -nargs=0 Macros :call <sid>Macros()
function! s:Macros()
  let bakz  = @z
  let baksb = &sb
  let @z=globpath(&rtp, 'macros/*.vim')
  set   splitbelow
  new
  exec "normal! i\<c-r>=@z\<Enter>\<Esc>gg"
  let @z=bakz
  if baksb==0
    set nosb
  endif
  setlocal   buftype=nofile
  setlocal nobuflisted
  setlocal   bufhidden=delete
  setlocal nomodifiable
  nnoremap <buffer> <silent> <cr>  :let f=getline('.')<bar>close<bar>exec 'source ' . f<cr>
  nnoremap <buffer> <silent> <esc> :close<cr>
endfunction
Plugin をたくさん入れていると起動などの動作が遅くなるので,定常状態で読み込む必要のない plugin は $HOME/.vim/macros あたりに入れておいて必要な時にだけ :Macros で選択する.


カーソルがある行をハイライトする.
nnoremap <silent> ,ha :HighlightCurrentLine Search<cr>
nnoremap <silent> ,hb :HighlightCurrentLine DiffAdd<cr>
nnoremap <silent> ,hc :HighlightCurrentLine Error<cr>
command! -nargs=1 HighlightCurrentLine execute 'match <args> /<bslash>%'.line('.').'l/'

nnoremap <silent> ,H :UnHighlightCurrentLine<cr>
command! -nargs=0 UnHighlightCurrentLine match
コードレビューをしていたり,プロジェクタでテキストを表示しながらなにか話している時に「ここの部分が…」と示す時に使える.


またなにか思いついたら投稿します.


2006年5月15日月曜日

「クリエイターに一番必要なものは?」松本人志の放送室より [ce]

先週の松本 人志と高須 光聖のラジオ番組,放送室 の中で,高須が何気なく松ちゃんに「クリエイターにとって,モノを作る人間にとって,一番必要なものは何ですか?」と聞いた.

思わず息を飲んで注目してしまった.
「お笑い」という世界で25年近くも第一線で新鮮さを保ち,単なる「芸人」という枠を超えて様々な文化を作り出してきたクリエイターの言葉である.畑は違えど私だってモノ作り屋として「クリエイター」の自負は持っているつもりだし,Blog を書いている人だって Flickr に写真を投稿する人だって「クリエイター」と言えるはず.いや,浅野 紀予氏の「人間はメディアである」という言葉を借りれば,人間はそれぞれのコミュニティで少なからず互いに影響し合って生きているわけで,広義な意味では全ての人はクリエイターの要素を持っている (というのは拡大解釈しすぎかな?).

ま,それはいいとして,「そうやな〜」と考えて松ちゃんはこう発言する.

答えは1つじゃないけど,最終的には「決断力」かも分からへんな.
やっぱり,もう,迷いだらけなんですよ.


決断力,なのである.例えば「洞察力」とかではなく,決断力.


例えばメーカーにとっては,作り手が直接ユーザーとコミュニケートできるわけではなく,作り手は「製品」を通して自分のメッセージをユーザーに伝えるわけだ.製品に込めた作り手のメッセージと,ユーザーがその製品を通して受けとったメッセージが近ければ近い程ハッピーなわけで,そもそも作り手の頭の中が曖昧だとこの方程式は成り立たない.

世の中を見渡してみると,決断力に欠けた迷いだらけの製品のなんと多いことだろうか.「A という仕様がいい? B という仕様がいい? うーん決められないから設定メニューでどちらでも選べるようにしておこう」みたいな… 自分達では決められないから切るべきところを間違えたり,逆になんでも入れる方向にして,結果として使い勝手の悪いあやふやな製品像になってしまっている.

松ちゃんはその後,「決断が例え間違ってたとしても間違ってないように導くから結局間違ってない」といったことを言っていた.

そういうもんやね,モノ作りってね.
要するにつじつま合わせですね.

と.それぐらい作り手のメッセージがブレてはいけないのである,と勝手に解釈してみた.


少し話はそれるけど,ラジオの中で「『決断力』は『自分の直感』によって持たらされる」という松ちゃんのコメントを受けて,高須が「自分の直感は何によって養われたかというと,子供の時に見た風景だと思う.だからあなたのコントは尼崎の匂いがする.松本人志が作るものが切なくなるのは,尼崎の街が原風景にあるからだ.」という話は興味深かったし,この話の流れで松ちゃんが「子供を自然の多いところで育てたいという親が多いけど,それには反対で都会で育てた方がいいと思う.いろんな人間を見せるべきだし,いろんな刺激を受けた方がいい」というコメントも「へーそんな考え方もあるのねー」と思って聴いていた.


2006年5月12日金曜日

「Linux は簡単」という小学生は90% [memo]

「Linuxは簡単」という小学生は90%,教員は60%---経産省による導入実験,結果公開:ITpro

思わず「最近の Linux すごい!!」と思ってしまった (小学生ではなくて).

使っている Linux が Slackware とかだったら「最近の小学生すごい!!」と思ったかもしれないけど (笑).


2006年5月10日水曜日

【便乗】はてな vim 勉強会勝手にリファクタリング [memo]

はてなの技術勉強会で vim のことをやったようで,
これだけは知っておけ! vim 勉強会

takayama さんがトラバをつけている.
はてな vim 勉強会勝手にリファクタリング

私は takayama さん作の TareRSS (vim 上の RSS リーダー) を愛用していたし,私も vim を「ヴィム」ではなく「ブイアイエム」と読むこともあってちょっと共感.やっぱりここは vim を広めていこうということで,1つ便乗して私も tip を紹介してみることに.


勉強会の中で, :s/foo/bar/g みたいな置換の話が出てくる (この例では foo を bar に起き換える) けど,実はこの foo というのを省略して :s//bar/g みたいに書くこともできる.そして省略した場合には最後に検索した文字が置換対象となる.

だから例えば

I live in Massachusetts.
My apartment is located just 5 minutes from University of Massachusetts.
I am originally from New York.
The weather is getting really nice and warm in Massachusetts these days.

みたいな文章があって,Massachusetts を Ohio に置換したい時に「『まさちゅうせっつ』なんて打つのめんどくさいな」と思ったら,上記文章の Massachusetts という文字列のどこかで * でも押して (* はカーソル位置の単語の前方検索),

:%s//Ohio/g
みたいな.

# とか * でサクっと対象文字列を拾うのがミソ.

ちなみに同じワザは global コマンド (:g) でも使えるので,例えば
:%g//d
すれば Massachusetts を含む行を削除できるし,
:%v//d
すれば Massachusetts を含む行だけ残すことができる.

:let @a=''
:%g//y A
して "a レジスタ に Massachusetts が含まれる行を入れてみたりとか (その後どこかで "ap ).


結構コードを書いてる時に FuncReallyReallyLongFunctionName みたいな関数名を置き換える時は重宝します.ヘッダファイルと split 表示している時は,
:windo %s//FuncNewName
とするとか.


ところで勉強会は非常に分かりやすかったけど,まわりには「Vim って覚えることが多すぎて良く分からない」って声が多い.だから丸暗記させようとするんじゃなくて,なんとなくコマンドのフレームワークというか体系を最初に説明してあげると,とっつきやすいかも.

例えば,まずコマンドは覚えやすいように
y は yank の y
d は delete の d
p は paste の p
x は文字削除だけど,これは昔のタイプライターで間違えた時に x を上から打って取り消し線のようにしていたから
みたいに説明してあげて,
- コマンドは大文字のものと対になっているものが多い
- コマンドの前に数字を入れるとその分繰り返しになる
- g を最初に打つと,そのコマンドに「ひねり」を加えた感じになるものがある
(勉強会でも絶賛されていた gj gk や,同じく勉強会に出てきた gJ,前述の * # に対して g* g# とか)
などなど…
といった具合に大筋のパターンを理解した上で,少しずついろいろなコマンドを覚えていって,なんとか使える → 便利に使える → すごく便利に使えるとなってきたらマクロやレジスタみたいな概念を覚えていくといいんじゃないかな.


2006年5月8日月曜日

Vim 7.0 正式リリース [memo]

はい,キタコレ!

vim-mac (#3703) : Vim 7!

Vim 7 is ready! After years of development this feature packed editor is waiting for you.


Mac での make 方法は 以前書いた通り で OK.

その他 UN*X 系も基本的には同じで,お好みで香り屋パッチをあてて

./configure --with-features=big --enable-multibyte && make && sudo make install
でいけるはず.

もちろんこの文章も vim 7.0 で書いてます.
:vers
VIM - Vi IMproved 7.0 (2006 May 7, compiled May  8 2006 22:06:18)
MacOS X (unix) version


2006年5月7日日曜日

名古屋今池 Green Peace [diary]


このゴールデンウィークに実家の名古屋に帰省したんだけど,中学からの大親友が洋服ショップを始めたとのこと.というわけで今回はこの場を借りてちょっと宣伝させて下さい.

昔からとても強い個性と類いまれなるセンスを持っていた彼が,全て手作りで作り上げた自慢のお店.入ってみると確かに超クールなんだけど,それでいてどこかアットホームな暖かさも伝わってくる.

店長 (そして唯一の店員) の武蔵と店内の様子.


名古屋にお立ち寄りの際は,ぜひ一度覗いてみて下さい.
名古屋にお住まいの方は,週に1度は訪ずれて下さい.

場所は大体 この辺り (Google Maps)

green peace contact info


2006年5月1日月曜日

Fragile Findability の美学 [memo]

前回のエントリー の続き.

このエントリーでは「Ambient Findability」という概念と,本の著者である Morville の ユーザーインターフェースに言及した記事 などを基に,私の思うところについて語ってみたいと思う.

「Too much is never enough」という言葉があるが,そもそも「Ambient」とか「Ubiquitous」とかいう言葉に私は少し懐疑的だ.ある程度 Findable になった時点で,そのレベルにおいてまたさらに Find するべき対象が発生するわけで,究極的に Findable な世界というのはあり得ない (以前紹介したような,「Brain」や「Future」まで検索できる Google でもできない限り).

もちろんこれは重箱の隅をつつくような話であり,「Ambient Findable」かどうかは別として,少なくとも多様な情報に今よりずっと簡単にアクセスできる時代が必ずやってくるという点においては賛同する (本書も本質的には「究極」を謌っているわけではなく,それをあえて「Ambient Findability」と語っていると理解する) が,キーワードだけが先走りするのはいささか危険かもしれない.

その中で思うことは,例えば産業革命時代に,「西海岸から東海岸まで鉄道で移動できるようになったら流通業界に一体何が起きてしまうんだろう?」といった議論はいくつもあったと想像するが,鉄道どころか飛行機で数時間になった今日ではそれが当たり前になっている.つまり,現代のような情報社会の進化の過渡期においてこそ「Ambient Findability」のような議論がもてはやされるのかもしれない.いずれにしてもこのような議論を経て未来が創造されるわけで,議論自体が無駄だとは思わないが.


それでユーザーインターフェースの議論に話を移した時に,モノ作りを生業としている私が強く思うのは,逆に「情報が見つけられない,あるいは見つけさせない美学」みたいなものもあるのではないかということ.

例えば銀行の ATM マシンは,お年寄りから若者まで使えるように非常に分かりやすく設計されている (はずである,実際にそうかどうかは置いといて).でも ATM の操作が楽しくてしょうがなく,「あまりにハマっちゃうからついついお金おろしたくなっちゃうんだよねー」なんて人は絶対に居ない.つまり情報社会においては対象へのアクセスのしやすさが1つの命題であっても,家電を始めとするデバイスやサービスなどを考えた時に,「分かりやすいこと」「Findable であること」は必ずしも「最終目標」ではないということだ.

顕著な例を挙げるなら,ゲームなどもそうだろう.全てが「Findable」で簡単にクリアできてしまうような RPG は成り立たない.そこの「見つけられるか見つけられないかギリギリのところ」を追い求める,言わば「Fragile Findability」は UI において普遍的な概念だと考える.

重要なのは,Fragile Findability の概念も,Ambient Findability の上に形成されるべきであるということ.いくらオモシロ味のある UI であっても,そもそもの使い方が分からなければ意味が無い.つまり,技術や表現方法の進化に伴い刻一刻と形を変える「Ambient Findability」の,その時その時のレベルにおいて,その上に乗っかる (普遍的な概念であるはずの) Fragile Findability も姿を変えて提供されなければいけないということで,「Findability」の議論だけではなく,この両者の関係にこそアンテナを張り巡らせておくと,また興味深い視点が生まれるのではないかと思うのだ.




アンビエント・ファインダビリティ出版記念イベント [memo]

前エントリーで書いた早稲田大学の「インターネット検索の未来」から連日のイベント参加になるが,木曜は「アンビエント・ファインダビリティ」という書籍の 出版記念イベント に顔を出してきた.

最近ではイベントの内容そのものよりも,参加者に興味を持って顔を出すことが多い私であるが,今日のお目当ては前日に引き続き 情報考学 Passion For The Future の橋本 大也氏 (この日は司会という立場,それにしても2日連続で彼の話を聞くとは思わなかった),そして このエントリー で少し紹介したユーザーインターフェースの権威,増井 俊之氏だ.


アンビエント・ファインダビリティって?

まず少し「アンビエント・ファインダビリティ」という本について.
元々「情報アーキテクチャのパイオニア」と呼ばれていた Peter Morville が去年出した本で,今回はそれの翻訳版の出版記念イベント.訳者は「インフォメーションアーキテクト」という肩書を持つ浅野 紀予氏で,彼女は翻訳家でもなんでもなく,たまたま原本について Blog で言及していたらオライリー社から翻訳を依頼されたとのことだ.

書籍の定義では,
ambient
a. 周囲を取り巻く,取り囲む
b. 完全に包囲している
findability
a. 位置特定可能な,あるいは進路決定可能な性質
b. 特定の対象物の発見しやすさ,あるいは位置の識別しやすさの度合い
c. システムまたは環境が対応している進路決定と検索のしやすさの度合い
とのこと (第1章より).

つまり,"Ambient Findability" とは「必要な情報に,いつでもどこでもアクセスできる」概念と言っていいだろう.本書の中で Morville は,

われわれはまだその世界まで到達してはいないが,間違いなくその方向に向かって進んでいる.情報はまさに文字通り空気中に存在しており,そのことがわれわれの考え方を実際に変化させてもいる.そしてもっとも重要なのは,ファインダビリティが個人に自由をもたらすということだ.大衆のメディアとしてのウェブがマスメディアに挑むにつれて,われわれは自分で情報源を選択し,必要なニュースを選り分けられる,前人未踏の能力を享受することになるだろう.

と述べている (Pg 8).

このイベントの説明に

ウェブ,検索,そしてコミュニケーションの近未来カンファレンス

「情報を見つける」と「情報が見つかる」とはどういうことか?
このイベントでは、この新しい視点から、Web2.0の行方を考えてみようと思います。

とあるが,実はこれ,この前日の早稲田大学のシンポジウムの内容に非常にオーバーラップする.
Peace Pipe: 早稲田大学シンポジウム インターネット検索の未来 [memo]

実際に橋本氏も「今日の為にこの本を読みながら昨日の資料を作ったので,かなり内容が影響された」と話していたが,そもそも「無尽蔵に溢れる情報にどのようにアクセスするか」,また「それが可能になることがどのような変化をもたらすのか」という論点で見れば,この日と前日で2日間に渡る一連のセッションに参加したような錯覚さえ抱かせる.

冒頭で橋本氏が「今日のイベントはあまりに漠然としている Web 2.0 を考える1つの切り口になると思う」と話していたので,なんとなくそのつもりで聞いていた.以下,内容を簡単にレポートしてみよう.


田村 英男氏 オライリー社 編集者 講演

編集者である田村氏による書籍の紹介.単純に本の紹介なので内容は割愛するが,彼が「本日のイベントのことを皆さんが Blog に書くのを楽しみにしている」と語っていたので存分に書かせて頂こう.この Blog も読んで頂けているだろうか.

ということでせっかくだから1つ言っておくと,彼のスライドの中で,"Findability" のスペルが "Findabirity" になっていた.私も誤字脱字は多いので人のことは言えないが,本の出版イベントで出版者がその本のタイトルを typo するというのは致命的だと思う次第.


浅野 紀予氏 翻訳者 講演

訳者の浅野氏による講演.
「Long Tail」
「Search」
「Intertwingled」
「Authority」
「Communication」
という5つのキーワードに沿って論点を展開して行くが,既に彼女の Blog で発表資料が公開されており,特に PDF 版は彼女の台本付きなのでこちらを参照された方が正確だろう.
IA Spectrum: アンビエント・ファインダビリティ出版記念イベントの資料をアップします

彼女の「人間はある意味メディアだと思う」という印象的な発言と,上の5つのキーワードのうち Morville が 「Authority」が一番重要なキーワードであると話していたエピソードだけつけ加えておこう (後の増井氏の発言とリンクする).


橋本 大也氏 プレゼン

彼のプレゼンは,「この後のパネルディスカッションへのネタ振り」という位置付けで,The Best of WEB 2.0 に紹介されている「Web 2.0 的サービス」の中から今日の題材に特に関連があると彼が考えるサービスを10個紹介していた.彼が選んだのは次の通り.

clipmarks
Web の切り抜きサービス

riya
顔認識技術と写真検索

Podbop
ローカルコンサート検索

diigo
"Social Annotation" for knowledge users

Zillow.com
住所を入れると家の評価価格が出る

TitleZ
本の経歴を見ることができる

iKarma
第三者評価サービス

fon
WiFi Internet Access Everywhere

PodDater
Podcasting 出会い系サイト

CoComment
コメント管理

実際に「ネタ振り」になっていたかどうかは微妙だが,1つ「へーなるほどねっ」と思ったのはこの後の質疑応答の中で「情報を見つけるという議論だったが,逆に自分を見つけてもらうにはどうすればいい?」みたいな質問があった時に増井氏が「先ほど橋本さんが紹介したサイト,みんな変な名前ですよねぇ.あれ,全部 Google 対策なんでしょうね.」と言っていた点.


増井 俊之氏 プレゼン

「Ambient とは,まあ Ubiquitous と同じような概念なのかな.本は Findability 中心の議論になっていて,例えば "Ubiquitous Application" といった話では無い点に好感が持てる.」と前置きした上で,alpha geek なオーラを身にまといつつ (褒め言葉) なんとも独特な口調で話し始める.

彼の論点は一言で言うと「タギングの有効性」と言えようか.

まず,「検索は人間の行動の中心」であると主張し,「2人以上集まればコミュニケーションが生まれても,1人の時は人間は常に検索している」と言う.例えば「メールを送信する」という行為においては「アドレス帳から友人の名前を探す」とか「送信ボタンを探す」など,「休日の過ごし方」においては「レストランを探す」とか「良い映画を探す」など.さらに計算機においても「メニュー,アイコン,フォルダ,スクロールバー」などは全て検索を助長するものであり,意識している・していないに関わらず我々は常に検索を行っている,と.

そして,自身の Blog でも述べている ような「Google に見つけられないもの」の例をいくつか挙げ,例えば「下北沢の宴会で会った人」を Google は見つけてくれないが,デジカメで撮ったその人の写真の日付けから PIM のその日のスケジュールやその日に書いたドキュメントを調べれば最終的に誰だか辿りつける場合があるとする.

凄かったのは,これを自分の PC 上で実装し,実際にデモを見せながら話していたことだ.索引付けられた2万枚の写真やブックマークの中から,キーワード・日付・文字列・類似ファイルなどにより「近傍関係」にあるデータを次々と拾い上げていくのは,なんとも圧巻だった (2万枚の写真の索引作りは手作業で地道に行ったということだったが…).

印象に残っているのは,彼がポツリと言った

索引をつけて嬉しいものというのは,検索して嬉しいものですよね?

検索して嬉しいものというのは...
…あ,これ全部ですよね?

という言葉.

最後に「情報の権威」という話で,

情報の権威 = はてブの登録数
情報の信頼性 = はてブの登録数

と冗談混じりに話していたが,いずれにしても情報の権威付けや信頼性が学会や既存メディアから大衆に移ってきているのは間違いないだろう.


…と,イベントのレポートはこれぐらいにしておこう.川井氏の話やパネルディスカッションの内容は,時間が無くあまりに駆け足で,本質的な議論よりも「みんな自分のことを話していた」印象があるので割愛させて頂く (余談になるが,いくつかイベントに参加している中で内容が素晴らしいものはいくつもあるが,きちんと時間管理されてオーガナイズされていたものというのは非常に数少ない気がする).

当日の模様はイベントにも少しだけ飛び入り参加した たつをさんの Blog で見ることができる.また,CNET Japan Blog の 渡辺さんの記事 でも他の Blog へのリンクも含めてレポートされている.

本イベント,というか「Ambient Findability」についての私自身の所感は,次のエントリーに譲ることにする.
Peace Pipe: Fragile Findability の美学 [memo]