2012年5月21日月曜日

「週4時間」だけ働く。 Elimination (排除) 編 - 時間管理の終焉 [book]

「週4時間」だけ働く。

本エントリーは,「週4時間」だけ働く。における DEAL の E,Elimination (排除) について.「E」セクションの目的は,タイムマネージメント (時間管理) などという時代遅れの考え方をきっぱりと捨てることであり,ライフスタイルデザインの3大ポイントの1番目である「時間」にフォーカスします.


【有効性と効率性の違い】

ここではまず「有効性」と「効率性」の違いを明確にしています.

「有効性」とは,自分の目標に近づくように何かをすること.
「効率性」とは,自分に与えられた課題 (それが重要であろうとなかろうと) を可能な限り無駄のない方法でやり遂げること.

筆者は,有効性を無視して効率性ばかり求める社会を嘆き,様々なテクニックを駆使して1日に30回もメールをチェックするのは「プロの時間の無駄遣い専門家」と吐き捨てる.「これが効率的だと言い張ることもできるが,有効性からはほど遠い」と.

もしもあなたが,人と比べて生産性が高いと思い込んでいるなら,時間を費やしている活動の上位3つを再考してみてはいかがでしょうか.

どうでもいいことをうまくやっても,それが重要になるわけではない.
多くの時間を必要としても,その仕事が重要になるわけではない.


生産性のある働き方をしているか? それともただ動いているだけか?
次から次へと無駄なことをして,それを大事なことができない言い訳にしていないか?


裏を返せば,時間の不足は,本当は優先順位づけの不足というわけです.


【パレートの法則】

ではどうやって正しい対象を見つけるか.その鍵となるのがパレートの法則です.

パレートの法則とは,「アウトプットの80%はインプットの20%に起因する」というもの.

- 結果の80%は,原因の20%から出てくる
- 成果の80%は,労力と時間の20%からもたらされる
- 企業利益の80%は,製品と顧客の20%からもたらされる
- 全株式市場利益の80%は,機関投資家と個人のポートフォリオの20%によって実現される
…と,このタイプのリストは無限に続き,様々なパターンが存在する.また,比率はさらに高くなることが多く,90/10,95/5,99/1 も珍しくないそうです.

つまり,

20%のどんなことが原因で,80%の困ったことや不幸が生み出されるのか?
20%のどんなことが原因で,80%の満足いく結果や幸せが生み出されるのか?

を考えるのです.


さらにパレートの法則は,人間関係にも当てはまる.

ポジティブな友人,時間を食う友人,あなたを助ける人,あなたを傷つける人…

あなたを楽しませ,前進させる原因の80%を作ってくれている,20%の人は,誰でしょうか.

逆もまたしかり,です.人生は短い.20%の人間のせいで,あなたの落ち込み,怒り,後悔の80%が形成されているとしたら,そんな人たちと付き合っている暇はないのです.


【パーキンソンの法則】

もう1つ,このセクションで登場する重要な法則が「パーキンソンの法則」です.

これは「仕事は,完了する為に割り当てられた時間に応じて,(見た目が) 重要で複雑なものへと膨れ上がっていく」というもの.

以上を踏まえると,この2点が生産性の向上に相乗効果をもたらすアプローチとなります.

仕事を重要なことに制限すると,仕事時間が短くなる (80/20の原理)
仕事時間を短くすると,仕事が重要なことに制限される (パーキンソンの法則)



【レス・イズ・モア - 時間を多く手に入れる為に】

時間を多く手に入れるには,やることを減らす.これに尽きる.

そこに到達するための道筋は2つあり,両方とも活用すべきだ.
To-do リストをつくる.Not-to-do リストをつくる.


本当に重要なことをするのを避けるために,どうでもいい仕事を作り出していないか?


マルチタスクはしない.
その日のうちに終わらせるべき重要な用件は2つ以上にしない.



このセクションの中で著者は,速読をマスターする方法 といったすぐ使えるテクニックも披露していますが,それよりもさらに概念的なところにまで踏み込んだ
- 低情報ダイエット (low-information diet)
- あえて無知でいること (selective ignorance)
といった手法が興味深い.

詳細は本書に譲りますが,要は「関係ない」「重要ではない」「緊急ではない」すべての情報や割り込みを,無視するというものです.ちなみに,ほとんどのことは,この3つに入るでしょう.

つまり「この情報を,確実に何か緊急で重要なことに使えるか?」の問いが「ノー」であれば,無視するときっぱり決めてしまうのです.「何か」に情報を使うだけでは不十分,それは緊急かつ重要なことでなければならない.

「万が一に備えた JIC (ジャスト・イン・ケース) の情報収集ではなく,必要なものを必要な時に必要な量だけ,つまり JIT (ジャスト・イン・タイム) の情報収集をする」というのは説得力があります.

まあ筆者の主張は極端かもしれませんが,でもこの時代,「情報通」というのも,なんかカッコ悪いよね.


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4905042097「週4時間」だけ働く。
ティモシー・フェリス

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