北へ,千年に一度の桜を追いかけて [diary]
無性に桜が見たい衝動に駆られて,青森に来ています.
先月,東京で桜が見頃だった時期は海外出張に行っていて,今年の桜は見ていませんでした.「まあ,いっか」ぐらいに思っていたのですが,日増しに2011年の桜が見たいという思いが強くなっていました.
千年に一度と言われる地震が起きた年.
多くの命を奪った自然.
その同じ年に,同じ自然が,満開の桜を美しく咲かせる様を見なければ,なんか納得ができない.
そんな衝動が抑えきれず,半ば自己満足を承知の上,桜前線を追いかけて,突発的に弘前に来ました.
棘という形ではっきりと毒を表現した薔薇に対して,美しいまま散って行く桜は「かつて日本人が表現していた死」だと言われます.
世間ではそれは表現してはいけないことになっており,存在すらしないことになっているということ.そして美しく咲いたまま散っていく桜こそ,その狂気に満ちた死の花であるということ.
桜は狂気も毒も,その美しさの中に含んでおり,その表現は隠しているが,我々の潜在意識はその狂気を感じ取ってしまうのではないか,と.
弘前を選んだ理由は特にありませんでした.どこが良いかと Twitter を徘徊していたら,地元と思われる方が誇らし気に「弘前の桜は日本一!」とつぶやいているのを目にして,弘前に行ってみようと.
弘前公園ではさくらまつりが開催されています.たくさんの屋台,お化け屋敷,サーカス,見世物小屋,民謡ショー,多くの人のありふれた日常.
日本最古のソメイヨシノ,日本一太いソメイヨシノ,正徳5年のヤエザクラ・カスミザクラなどをはじめ,園内に咲き乱れる50種2600本の桜.
夜にはライトアップされた桜が,妖艶な姿を見せます.
ここ最近,仕事でもプライベートでも,いろいろ思うところがあります.
そんな葛藤を包み込むような,ため息が出るほど美しい,日本人の心に訴えかける死の花.
破壊があれば創造があるし,
出会いがあれば別れもある.
千年に一度の桜.
来てよかった.
一生忘れない桜になりそうです.
桜の木に,花が咲いて,空はとてもきれい
繰り返される,他愛のない,夢は続いて行く
-- 桜 / 斉藤 和義
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