2010年9月20日月曜日

Plagues live at 渋谷 Club Quattro [music]

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ハタチ前後の頃に聴いていた,Plagues というバンドがあります.

はじめて聴いたのは リトル・バッファロー・ララバイ という4枚目のアルバム.これほど渋くて,それでいて甘ったるいミルクシェイクのような世界観を同時に具現化している,そのセンスは衝撃的でした.

次に聴いたのはセカンドアルバム,カリフォルニア・ソロウ・キング.リトル・バッファロー・ララバイよりも随分とんがっていて,ますます気に入りました.なんせチューブ系の歪み全開で,あのジョン・レノンのことを「ジョニー・レモネード」と称してこんな風に歌うんです.

彼にぴったりの比喩をやっと思いついた
「パートタイマーの安上りの救世主」

-- Johnny Lemonade Superstar / Plagues


楽しみに手に取った,5枚目の当時のニューアルバム,センチメンタル・キック・ボクサー.それはギターリフの宝庫でした.でもどうしても,軽かった.聴けたのはここまで,このアルバムが私にとってギリギリでした.


その後,さらにポップになっていくに連れて人気が出ていったこのバンドを,半ばシラけた,引いた目で見ていました.アルバムが出ても聴くことはなく,手持ちの曲を1年に1回聴くか聴かないか…という.

だから実は,2002年から活動休止していたことも,今回8年振りに復活アルバムをリリースして話題になって,はじめて知りました.


ところで私の中で同じようなポジションにいたバンド,いつも聴いているわけではないけど時折聴き返し,そんな感じで10年以上経ってはじめてライブを見たバンドとして,先日書いた The Groovers があります.
Peace Pipe: The Groovers live at Rock Joint GB [music]

特にタイプではないのに,なーんか気になる異性って,クラスにいませんでした?

「いや,悪くないと思うけど別に好きじゃないし」
 → 「あれ? もしかして好きなのかも?」
  → 「ごめんやっぱ好きだー!」

…みたいな.

まあ Groovers ってのは,私にとってそんなバンドでした.

--中略--

ライブに行くということは,恋愛感情の無かったクラスの異性の存在がどんどん大きくなり最後にはセックスする,みたいなもんです.


同じように例えるなら,Plagues はどちらかと言うとタイプなんだけど,いつもうっすらヒゲが生えてるところがどうしても許せなくて,最後まで好きになれなかったクラスの女の子です.

そして Plagues のライブに行った今日は,なんだか中学の同窓会のような気分でした.


ライブの方は,もうバッチリでしたよ.アルバムで聴く印象よりも,ボーカルもギターもやたら太い.超満員のオーディエンスもいいノリでした.

この曲など,Plagues がポップ路線に傾倒していく象徴的な曲で当時は嫌いだったけど,8年という時を経て復活した彼等が歌うのを今聴いたら,やけに詩が胸にしみたよ.まるで自分に歌いかけているようでさ.


ずっと見続けていよう
いつか僕達が遠く離れてしまっても
最後のハイウェイの夢を

さあもっと強くつかまっててよ
僕がずっと走れるように

-- 最後のハイウェイの夢 / Plagues



正直,最高にカッコいい…とは思わない.特に歌は決して上手くはない.同じ音楽の趣味を持つ友人に自信を持って勧めるようなバンドでもない.でもギターはやっぱカッコいいし,歌詞の世界観はどこか心を掴んで放さない.今このバンドに出会ったら,どう思うかな.ハタチそこそこのウブな頃だったからこそ,心の琴線に触れたのかもしれないとも思います.

そんな,チーズィーで安っぽいバンド.でもその中に,若い頃の想い出がたくさんつまっている.まさか自分に子供ができるなんて想像もつかなかった頃の,甘酸っぱい青春の音楽.


Plagues は,まったく変わっちゃいなかった.
昔も,大人になった今も,やけに大人びた子供というかさ.とても素直にひねくれた感じとかさ.悪ぶっててカッコつけてて,チャラいんだけど,でもちょっと憧れる存在というかさ.

むしろあーだこーだ言って,変わったのは,俺達の方かもしれないね.

僕らもわかってるつもりさ
続いていかなきゃならないから
全部をぶちこわしにしてしまう訳には
いかないってことは

そう,この世界はいつもどうしようもなくて
僕らは寛容だったと…思うのさ ハニー

-- どうしようもない世界 寛容な僕ら / Plagues


こちらが今回の8年振り復活アルバム.昔の曲をセルフカバーしている.セルフカバーというか,ほとんど完コピだ.

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Plagues


…いい夜ですよ.
本当に楽しかった.

可愛かったけどヒゲが生えてて好きになれなかった中学の同級生が,昔と変わらない愛くるしさを残したままレディになって再会できたんだ.

前置き長くなったし,ダラダラ書きすぎたけど,これが書かずにいられるかバカ.


今夜のクアトロは20年(近く)のプレイグス史の中でも最高のライブにする!後だしじゃんけんで負けてどうする!…いやそういう問題じゃないけど(笑)みんなも楽しんでね!

-- 深沼 元昭 (ライブ前の つぶやき より)


今日はみんなの想い出を越えるんで,ヨロシク

-- 深沼 元昭 (ライブ中の MC より)


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