Saturday, October 31, 2009

最後の授業 - ランディ・パウシュ [book]

最後の授業 DVD付き版最後の授業 DVD付き版


ランダムハウス講談社 2008-06-19
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アメリカの大学では,"The Last Lecture (最後の授業)" と呼ばれるイベントが行われることがある.教授は,「もしこれが自分にとって最後の授業だったら生徒に何を伝えるか」という設定で講義を行うのだ.

カーネギーメロン大学の教授だったランディ・パウシュが行ったこの「最後の授業」は,他のそれらとは事情が異なっていた.パウシュは末期癌を宣告され,文字通りこれは彼にとっての「最後の授業」だったのである.

本書は,当日の講義を収録した DVD と,その「つづき」という位置付けで書かれた書籍から構成されている.DVD 無し版もあるが,ぜひ DVD 付き版を購入し,まず DVD を観てから本を読んで頂きたい.


余命数ヶ月の中,彼が全身全霊をかけて語ったのは,間違いなく「死ぬこと」ではなく「生きること」だった.

決して,お涙頂戴の内容ではない.悲痛など微塵もない.それどころか,とてつもなくポジティブなエネルギーに満ちている.

実際彼は講義の冒頭で,「この講堂の中で一番元気なのは自分である」と腕立て伏せをやって見せた後に,「今のができない人は僕を憐れまないように」と言ってのける.なんとも痛快ではないか.


…そして彼は「最後の授業」を,ある1つの告白で締め括る.

This talk wasn't for you guys.
It was for Dylan, Logan, and Chloe.


そう,これは講堂にいるオーディエンスに向けてではなく,まだ幼い3人の我が子に遺したメッセージなのである.彼が「最後の授業」として選んだ題材は,決して彼の研究の集大成などではなく,「子供のころからの夢を本当に実現するために」というものだった.本来何十年もかけて子供に伝えていくべきことを,77分間の授業として記録したのだ.

彼は超名門大学の教授であり,コンピューターサイエンスの権威である.そして映像を観れば,彼が卓越したプレゼンテーション技術とユーモアのセンスに裏打ちされた,一流のエンターテイナーであることにも気付くだろう.だが彼は本質的には,単純にフットボールとディズニーが大好きで,なにより家族のことを心から大切にしている,愛に溢れた1人の父親だった.

そして個人的には,私も娘を持つ父親として,彼が愛娘に遺したこんな言葉に共感せずにはいられない.

彼女にはじめて恋した男性が僕だったことを感じながら、成長してほしい





親ならだれでも、自分の子供に善意の分別を教え、自分が大切だと思うことを伝え、人生で訪れる問題にどのように立ち向かうかを教えてやりたい。自分が人生で学んだことを話して、子供が人生を歩む道しるべのひとつにしてほしい。

--中略--

僕が画家だったら、子供たちのために絵を描くだろう。ミュージシャンだったら曲をつくる。でも僕は教師だ。だから講義をした。

--中略--

はじめからわかっている。この「講義」のどれも、生きている親のかわりになどならない。でも、大切なのは完璧な答えではない - 限られたなかで最善の努力をすることだ。最後の講義でもこの本でも、僕はそのとおり努力した。

-- 最後の授業 / ランディ・パウシュ


Monday, October 19, 2009

クライマックスシリーズ第1ステージ,第2戦 [diary]

やはりホームで見る野球は,格別である.
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昨日負けて後が無い今日の第2戦.吉見・館山とそれぞれ16勝をあげたセ・リーグ最多勝同士の投げ合い.予想通り緊迫した展開の中,終盤にワンチャンスをモノにしたドラゴンズが快勝した.

とりあえず明日に繋げたぞ!


ところで,ナゴヤドームでは今年限りでの引退を表明しているミスタードラゴンズの引退企画が催されていた.この写真なんか懐しいなぁ,もう.
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Sunday, October 18, 2009

続 子どもへのまなざし [book]

続 子どもへのまなざし続 子どもへのまなざし

福音館書店 2001-02
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前作「子どもへのまなざし」は突き刺さるほど心にしみたのに,なぜかしばらく手に取ろうとはしなかったその続編を読んだ.

前作は著者の講演をまとめたもので,親としての概念的な心構えみたいなものが伝わってくる本だった.本書「続 子どもへのまなざし」は,前作の読者から寄せられた質問をまとめたものであり,より1歩踏み込んだ,具体的な内容が書かれている.

とても真剣で,苦悩に満ちている,でも親であれば誰しも感じるような質問の数々.それらに対する著者の回答は,びっくりするような内容ではなく,決して世紀の大発見でもない.むしろ当たり前だけど,とても大切なことを,育児の枠を越えて思い出させてくれる.

例えば著者は,サラリとこう言ってのけるのだ.

他の人を大切にできない人が、自分を大切にできたことはないと思っています。

世の中の多くの人が、いろいろな不完全さを持って生きているのです。それが人間なんだと、理解した方がいいと思います。



本書は,第1章で様々な子育てについての不安や疑問に答えつつ,以降「母性と父性について」「育児と社会とのかかわり」「障害のある子ども」というテーマに特化してそれぞれ1つの章を費やしている.

その中には前作と同じように,力強くも優しさにあふれたメッセージが散りばめられている.

「幼い子どもにとっての最大の贈物は,親が子どもに希望を持ってやることで,それ以上に価値のあるものはない」

「子どもが望んだことは,何でも満たしてあげればいい」

「子どもの中に親に大切にされたという経験があればあるほど,社会のルールを自然に守れるようになる」

「子ども自身が十分に思いやりを受けてこなければ,子どもの中に思いやりの心は育てられない」

「子どもの中に,母性的なものが十分に与えられたあとにしか,父性的なものは働かない」

…などなど,どれも目から鱗がポロポロと落ちてくる.


個人的には,以下の2点が特に心に響いた.

1つは,今日に対する生き方である.

過去のことにいつまでもとらわれているということは、じつは、現在がうまくいっていないからなんです。

過去にとらわれてしまうから、今やるべきことができないのではなく、私は逆だと思うのです。今の課題にうちこめないから、過去の不十分さにとらわれてしまう、そして未来に不安を持ってしまうということなんです。

人には誰しも大きな悩みや不安がある.過去に後悔することもあるだろう.だが著者は,過去は決して現在の足枷になるようなものではないと主張するのだ.

そう思えば,現在を100%生きることが重要だと思えるし,何もない未来に足を踏み出す気になるかもしれない.
Peace Pipe: WYDKYDK - 何もない未来に向かって [diary]

例えば何か新しいことを始める時とか,あるいは好きな異性に告白する時など,「もしかしてダメなんじゃないか…」という考えがよぎったりするが,これから起きることなんだから,どんな結果になるかは誰にも分からないはずだ.だから結局「もしかしてダメなんじゃ…」っていう考えは,過去から来ているものなのだ.ドラマや映画でそんなシーンを見ていたり,自分や他人の過去の失敗例を沢山知りすぎているから.

でもそれって,未来を過去でペイントしているようなものなんですね.自分の未来にリミットをかけている.未来は真っ白で何もないんだって思えれば,新しい一歩が踏み出せるかもしれない.



もう1つは,短所よりも長所に目を向けることの大切さである.

みなさんも、ご自分の短所や欠点や弱点を直すことができましたか、あるいは、日々直すようにしていらっしゃいますか。私は自分の欠点など、なかなか直せないんです。

人は,物質的に豊かな社会に住んでいるほど,外罰性・他罰性を強くするものだそうだ.私たちは,自分のまわりにいる相手に対して,その人が持っている長所より,欠点や短所のほうに敏感になる.

だが著者は,優れた親というのは,人の長所や才能を発見する能力のある人だと説く.それは,大人同士の社会においても,とても大切なことのように思うのだ.


前作を読まれていない方は,前作を読んでから読まれることをおすすめしたい.
Peace Pipe: 子どもへのまなざし [book]