マイクロソフトやボーイング,スターバックスなど,有名企業の本社があるシアトルですが,昨今では「シアトルはアマゾンの実験場」と言われています.
事実,現在では他都市でも展開している Prime Now (注文から最速1時間で届ける超お急ぎ便) や Amazon Fresh (生鮮食品の配達サービス) などは,最初シアトルで実験されていたものです.
私はこの3年でシアトルを訪れるのは10回目になりますが,いつもどこかでアマゾンのオフィスビルが建設されており,街全体がアマゾンのキャンパスという印象を受けます.
私にはアマゾンのことを詳しく語ることはできませんが,高城剛さんのメルマガと,NewsPicks の記事でこの辺りを言及されていたので,そちらを紹介しておきますね.
今週は、シアトルにいます。
1960年代にはボーイング、90年代にはマイクロソフトと、この街を牽引する企業は移り変わってきまして、いま、シアトルを大きく引っ張る企業は、ご存知Amazonです。
(中略)
またアップル同様、仕事内容に関して徹底的な秘密主義が取られてきました。そのAmazonが、この1年で大きく変わったのです。
まず昨年末、シアトル市内にあるモール「ユニバーシティ・ビレッジ」に、リアルな書店「Amazon books」を開業しました。あれほど、リアルな店舗を目の敵に躍進してきた企業が、いくらアンテナショップ的な意味合いが強くともリアルな店舗をはじめることは、全米の書店関係者に大きな疑問と驚きを投げかけることとなりました。
注目すべきは、展示されている本のセレクションが、オンラインのAmazon.comにて販売されている数百万点以上の書籍の中からカスタマーレビューや予約注文数、売上データなどを参照して選ばれ、店頭販売されていることです。この書店は、言うならば「現実化するビッグデータ」であり、インターネットだけで完結することがもはや飽和点を超えたと、世界最大のオンライン・リテール企業が、強く主張しているように見えます。面白いのは、Amazon.comでの評価が4.0以上のものだけを厳選して販売している点で、カスタマーの評価コメントが、そのまま表示されている書棚もありました。よく書店の店頭に出ている「ベストセラー」の平積みの代わりに、「4.8★以上」の平積み台もあります。また、価格がオンラインとまったく同じなのも特徴です。
もうひとつ、徹底的な秘密主義で知られるAmazonが、今年の夏から本社ツアーを開始しました。いまやAmazonの城下町とも言える市内のサウス・レイク・ユニオンは、ジェントリフィケーションによって倉庫街が大再開発され、Amazon関係で30ものビルが立ち並び、およそ約2万人の従業員が勤務する地区です。この従業員数は、シアトルの赤ちゃんからお爺さんまで含めた60万人強の人口を考えると驚異的な数字です。
(中略)
この徹底した秘密主義で知られるAmazonがオープンに向かう姿勢は、時代の変化にあわせたものとも言えますし、同じシアトルに設立されたグーグルやフェイスブックの「エンジニアリング・ラボ」との人材獲得合戦のためとも言えます。
ここ数年、サンフランシスコやシリコンバレーの生活コストが驚くべく高騰し、優秀な人材が域外へと流出していており、その受け皿となるひとつがオレゴン州のポートランドで、もうひとつがワシントン州のシアトルなのです。情報産業大手は、このふたつの地域に大型研究所を次々設け、優秀な人材獲得に余念がありません。どんなに魅力的に見える企業でも(特に収入面で)、クオリティ・オブ・ライフを求め、シリコンバレーから移ってきた人々と、秘密主義は相入れません。そこで、シアトルの新城主であるAmazonは、本社ツアーを開始し、また、長年街のコミュニティとの結びつきが弱いと言われる批判を払拭しようとして、開かれた企業姿勢を前に出しています(まだまだだと思いますが)。
現在、シアトルはAmazonとマイクロソフトのサービスにより、市場の70%近くを集める「クラウドコンピューティングの首都」とも呼ばれています。セキュアなクラウドと街と一体になるオープンな企業姿勢。この両輪がバランス良く回れば、ジアトルはシリコンバレーよりもあたらしい街づくりができることでしょう。
今後が、楽しみな旅先になりました。
-- 高城剛 / 高城未来研究所 "Future Report" Vol.269より
35兆円企業の“実験都市”、シアトル現場リポート - NewsPicks
紹介されているアマゾンのリアル書店,Amazon Books はこんな感じです.
最後に,本題からは逸れますが,Amazon Books はワシントン大学の近くにあり,そのキャンパスを歩きながら帰りました.この西海岸最大規模の名門校,なんとも良い雰囲気をかもしだしています.
Flickr photos: Seattle 201608
Peace Pipe: Seattle travel
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