もう今から8年も前のエントリーですが,当時読んだ時から今まで,そしてきっとこれからも,心に強く残っている言葉があります.小飼 弾さんの,こんな一言です.
私自信、新しいプログラミング言語を3日でマスターできなかったら負けだと思っている。
404 Blog Not Found:書評 - 受験勉強は役に立つ
例えば有名大学を出ているからといって,社会に出てからも優秀とは限りません.受験勉強と違い,社会に出てからは,時間をかけて行う暗記や知識量に価値はないからです.
また,学生の頃は,10問中9問正解すれば90点が取れますが,社会ではその逃した1問のせいで,ビジネスが破綻することもあります.
社会に出てから解くテストとは,
ここに100問から成るテストがあります.1問にかかる時間は1分,但し制限時間は40分です.つまり与えられた時間全てを問題解決に費やしても,解けるのは最大40問です.
配点はバラバラで,1問1点の設問もあれば,1問10点の設問もあります.さらに100問のうち3問はマスト問題で,これらには全て答えなければいけません.マスト問題を1問でも逃すと自動的に0点になります.
設問の配点と,どれがマスト問題なのかは事前に知らされていません.制限時間のうち適切な割合を使って,適切なプロセスでそれらを見極めて下さい.
…みたいなものではないでしょうか.
技術やトレンドの移り変わりが激しい昨今,「知らない」ということは理由にならず,むしろ知っていることは古いことであり,知らないことをいかに早くマスターするか,いかに早く入力しつつ整理された状態で出力するか,みたいなことが重要です.
ここで,ラーニング・カーブ (習熟曲線) というものを考えてみます.
何か新しいことをマスターする際,時間と共に習熟度は上がっていくとしましょう.
実際には上のような単純な直線ではなくて,最初は立ち上がりが遅く,その後に成長が加速し,ある程度の所で鈍る,という「S字カーブ」のような曲線の方が,現実に即しているかもしれません.
ここまでが一般的に言われるラーニング・カーブです.
さてこの後はどうでしょうか.
成長が鈍ると,いわゆる「壁」にぶち当たることになります (下図 ★a).
ぶち当たった壁は,見方を変えれば,成長の機会 (learning opportunity) です.ここで手を抜かずに,必死に勉強するとか,例え相手が年下でも余計な恥やプライドを持たずに教えを乞うとか,不恰好にもがいてでも何とかくらいついて成長機会をモノにすれば,一時的には落ち込んでも,またS字カーブの成長サイクルに突入できる.この繰り返しが,ラーニング・カーブの本質ではないでしょうか.
惰性で仕事をしている為にこの成長機会 (★a) に気付かない,あるいは気付いているのに,壁から逃げたり手を抜いたりしていると,例えその次の成長機会 (★b) をモノにしたとしても,最初の成長機会を乗り越えた人 (点線) と比べて,p の分だけ差がついてしまう.
10年,20年というスパンで考えれば,この差の積み重ねは,歴然となっていきます.
そして成長機会を逃さず,自己投資を重ねて,社会に出てからの勉強のやり方を肌感覚として身につけた人にこそ,「新しい技術を3日でマスターできなかったら負け」と,サラっと言えてしまうのだと思います.
ずっと自分の得意分野だけで仕事ができることはなく,常に新しいことを吸収する必要がある.
その時に「あれもこれも,覚えることが沢山あって大変!」…ではなく,まだ自分が知らないスキルを覚える前から,それは完全に体得できる前提で,それをどう使うかに最初から頭が切り替わっている.優秀な人とは,そんな人だと思います.
この季節になると思い出しますが,ちょうど2年前の今頃に転職を決意し,その2ヶ月後には現在の会社でのキャリアをスタートすることになります.この2年間,様々な新しいチャレンジがありましたが,冒頭の弾さんの言葉は,1つの拠り所だったように思います.
新しいこと,知らないことは,理由にならない.
壁にぶち当たったらチャンスと捉え,成長機会を逃さないようにと,改めて自身に言い聞かせると共に,これからもリミットをかけずに,新しい領域にチャレンジしていく所存です.
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