先週の木曜・金曜と,CP+ 2015 に行ってきました.
【 CP+ とは?】
国際的な,カメラと写真の総合イベントです.雰囲気はこちらの記事が伝わりやすいでしょうか.
カメラと写真の祭典「CP+2015」開催・出展情報まとめ - NAVER まとめ
既に詳しいレビューやレポートが数多く出ているので,各社のブースの様子や新製品情報などは他に譲ります.以下,イベントやセミナーを中心に,備忘録を綴っておきます.中には,後で調べようとその場でキーワードだけメモしたものも,そのまま書いていますが,あくまで私的メモということでご容赦下さい.
【高城剛 トークセッション @ ソニー】
・写真家ではない自分が CP+ で話をしている
・往年のメーカーは,フィルム時代のカメラをデジタルにするというアプローチ
・近年のデジタルカメラは,「コンピューターにレンズがついた」と考えるべきでは?
・自分は写真家ではないが,コンピューターには詳しいつもり
・海外に行くと,1日に2000枚撮る
・まず最初に「この国は何色か」をイメージする
・その色が出るように,カメラのホワイトバランスを崩す
・例えば ウガンダは赤 (全部 JPEG 撮って出し)
・日本人は,世界で一番料理の写真を撮っている
・世界はセルフィー・ブーム
・世界で一番セルフィーを撮っているのは,マレーシア人
・写真は「モニター」で観られるようになる
・駅や街の広告スペースは,全て 8K モニターに置き換えられる
・150 dpi 程度で印刷されている広告やポスターは,今後全部モニター表示
・印刷と,バックライトで映し出される写真の違い
・例えば太陽の写真など,本当に光が射し込んでくるように感じるはず
・NG だった逆光の写真は,リアルな表現を持つようになる
・これまでのセオリーが通じなくなる
・これからはいかにルールを壊していくかがポイント
・大自然は (Vivid ではなく) スタンダード設定で撮る
・南の島には未来の可能性がある
私は高城さんが好きで,彼のメルマガも購読していますが,とにかく全身からエネルギーが溢れ出るようなプレゼンで,終始マシンガントークでした.
彼のメルマガ最新号では,この日の様子が語られています.
木曜日からパシフィコ横浜で開催中の日本最大のカメラと写真の展示会「CP+」SONYブースに出演し、人生ではじめて写真撮影につきまして、写真会の巨匠と並び、人前で話すに至りました。
と申しますのも、僕は自分で一眼レフを買って撮りはじめて、まだ6年しか経っていません。
(中略)
このメールマガジンでも何度もお話ししておりますが、ひとつの仕事やひとつの想いには、最低でも7年かけるべきであり、僕も6年目にして、やっと写真に関しまして人前で話すまでに至ったと思います。
(中略)
あとは、SONYが部材供給ではなく、自社製品として画期的なカメラを出せるかどうかが、本当のSONY復活の鍵になると思いますが、実際はまだまだ先のようだと「CP+」を見て正直感じました。現状日本のメーカーは、最終的なプロダクツに落とし込む力が、明らかに落ちているように思います。
-- 高城剛 / 高城未来研究所 "Future Report" Vol.191より
また,「写真はモニター (バックライトで視線逆方向に照らされる形) で観られるようになるから,既存のルールを壊す必要がある」「特に太陽の光などは,本当に光が射し込んでくるような,リアルな表現になる」というのは,いかにも高城さんらしい主張だと感じました.
確かに,モニターで観る太陽や夕陽が映える写真は,なにか感情に訴えるものがある気がします.
【相原正明 X でしか撮れない地球のポートレイト @ 富士フィルム】
【内田ユキオ X と過ごす最高の七日間 @ 富士フィルム】
富士フィルムの「X100T」という機種が非常に気になっているので,これらのセッションを聞いてみました.
・スタンダードはプロビア,Vivid はベルビア
・冷たい感じを出したい時はアスティア
・人肌を綺麗に出したい時はプロネガ
・自然写真は太陽光 WB で
・OVF と EVF
・よく使うシーンに合わせてカスタム設定を7つ登録
そして,富士フィルムのブースでは,機材の無料レンタルサービスをやっていたので,X100T を半日間借りてみました.ルックスも良いですよね.
ちなみに Ken Rockwell は,この X100T を「世界最高のデジタルカメラ」と称し,3000ドルの一眼より良いとまで言っています.
The Fujifilm X100T is the world's best digital camera for travel, family and candid photography.
(中略)
This Fuji is a masterpiece, and much better made than a $3,000 DSLR, for a fraction of the price.
Fuji X100T Review
実際に使ってみた感想は,確かに素晴らしいんですが,一眼のサブ機,あるいはいつもバッグやポケットに忍ばせておくカメラとしては,現在その用途で使っている GR と比べると,やはりこのふた回りぐらい大きいサイズが気になってしまいます.
例えば,旅行に1台だけ持っていくカメラとしたら,X100T は最高のカメラでしょうね.
GR は GR Digital II の頃から使っていますが,画質云々より,やはりこの独特の画作りというか色作りが,個人的に凄く気に入っています.デジカメって,クオリティだけじゃない,撮れる写真の好みの部分って大きいと思うんです (というかそれが全て).
ちなみに先の Ken Rockwell は GR に対しては,「こんなもん買うぐらいなら iPhone で十分」と言ってますが...
Personally, I don't see any reason for this camera.
(中略)
If I want a small take-everywhere camera, I prefer my iPhone 5.
Ricoh GR Review
【大和田良 GR と日常,写真 @ リコー】
ではその GR のセッション.
・「写真が撮りたくなる」カメラが一番いいカメラ
・28mm という画角は扱いにくいと思われている
・実はスナップには非常におもしろい
・適度に周囲が写り込んでくれる
・撮る時は液晶を見ずに,まっすぐ手を伸ばして GR 越しに被写体を見ると丁度良い
・設定は,彩度 6 / コントラスト 6 / シャープネス 3 / 周辺減光は中か弱
・食べ物は逆行で
・雨か雪の日はストロボを使ってみる
・青を強調したい時はタングステン WB
6/6/3 の設定は,さっそく真似しています.
【米美知子 EOS 5D Mark III で描く日本の風景 @ キャノン】
【山﨑友也 EOS 5Ds・EOS 5D Mark III・EOS 7D Mark II で捉える鉄道風景 @ キャノン】
この2セッションはあまり主題と関係なく,何気なく発せられた言葉をヒントとしてメモっただけですが (かつその時に紹介されていた写真なしにはイメージがわかないかもしれませんが).
・並んでいる動物2頭に同時にピントを合わせたかったので,F8 で撮った
・水面の波紋を綺麗に出したかったので,ISO を上げて F11 1/160 で撮った
・ (24-70mm に加えて) 70-200mm を x1.4 エクステンダーと使っている
・それで撮れないものは「見なかった」ことにする
・5D Mark III は何でも撮れるカメラ
・7D なら AI Servo で動いている鉄道まで追従できる
ところでキャノンブースでは, レンズクリーニングサービスをやっており,私は2本のレンズをクリーニングして頂いたのですが,そこのスタッフの対応がとても気持ち良く,本当にユーザーを大切にしようという想いが伝わり,キャノンユーザーで良かったと感じさせてくれました.
【並木隆 ワンランクアップのレンズ選び @ キャノン】
・ズームレンズは,ファインダーを覗いたままリングをまわしてはダメ
・必ず,何 mm で撮るか決めてからファインダーを覗くこと
・被写体を同じ大きさにしても,背景の写り込みが変わるから
・被写体の大きさは足で変える
・これが身体で分かるのが単焦点
・ピント距離と最短撮影距離
・ボケは F 値だけではなく,ピント距離で決める
・ピント距離が短いとボケる
・但し,背景が離れていることが条件 (背景との距離を意識する)
・レンズは,明るさ (F 値) だけではなく,最短撮影距離も大事
・広角レンズ
・寄って撮る
・撮る高さを極端に変えてみる
・遠近感を出すには,いかに手前を多く入れるか
・被写界深度は,手前1/3,奥2/3で広がる
・少し手前でピントを合わせる
「広角レンズは寄って撮る」というのは,本当に広角レンズのキーポイントだと思います.CP+ のレポートなのにさっきから Ken Rockwell の記事ばかり紹介してますが,この点においては Rockwell のこちらの記事が,大変分かりやすく解説しています.
How to Use Ultra-Wide Lenses
【塩澤一洋 Quattro 描写の密度と蜜月 @ シグマ】
シグマや Quattro というより,@shiology さん (塩澤さん) を見に足を運びました.
・レンズが「交換できない」カメラの魅力
・出荷時に,トータルのカメラとしてきちんと調整される
・ISO1250 まではカラーで撮る
終始,Quattro に焦点を当てた内容だったので,メモるところはほとんどありませんでした.
去年の CP+ で @shiology さんが語った,「レンズ沼にハマらない写真術」は,万人にオススメです.
・レンズ沼にはまらない為に
1. 「原則レンズ」を決める
2. 「原則レンズ」で1万枚撮って絶対画角を手に入れる
3. 「応用レンズ」を決める
・写真はピントが重要
・ピントは面でとらえる
【プロ向け動画セミナー】
・システムのポイント
・CPU
・GPU
・Memory
・Storage
・FHD 30p の All-I と IPB は,Pro-Res に変換すると同じサイズになる
・All-I (63 → 140),IPB (32 → 138)
・Motion JPEG はなぜかサイズが小さくなる (512 → 480)
・ストレージ大事 (括弧内の数字はディスクスピードテストの結果)
・USB 3.0 の外付け HDD (100-120) では2ストリームまで同時再生可能
・RAID0 で構成された外付け HDD (~700) では6ストリームまで
・ちなみに Mac Pro 内蔵 HDD のディスクスピードテストは ~1000
・外付け HDD でも,4x2 でストライピングして,ディジーチェーンではなく並列に繋げば,1000を越える
・フルード一脚
・クレーン効果が出せる
・動画の場合は1/30以下のシャッターは切れない
・必ずしもフルサイズが有利とは限らない
・しかもキャノンのフルサイズは動画 AF がきかない
・撮影時は時間軸を意識
・AF が速ければ良いというわけではない
・ゆっくりとピントが合う効果とか
・外観や水道から水が落ちるカットなどを挟んで,時間経過を表現
・撮影時は「イマジナリーライン」を意識
・「イマジナリーライン」を越えないこと
・音も大事
・マイクで別録りして「クリップ同期」
・ソニーのワイヤレスマイクは NG
・オーディオはモノラルで取り込み
・30fps 1/30 vs. 30fps 1/60
・動きがブレた方が正解の場合がある
・画面が小さくなってもサイズは変わらない
・Bitrate も最適化する必要がある
・4k では200Mbps,50-60fps 必要
・面積比で4倍,フレームレートで2倍
・フォローフォーカス
・編集
・カット編集
・ディゾルブ編集
・マルチカメラシーケンス
・カラーフィルタ適用
以上です.
セミナーやイベントは,おそらく順次 YouTube などで動画が公開されると思うので,これからはしばらくそれらを漁る日々が続きそうです.
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