人気ブログ,みたいもん! を執筆し,2011年度のアルファブロガー・アワードを受賞した,いしたにまさきさんによる一冊.
本書の主張を一言で表すと,タイトルの通り,ネットで成功しているのは「やめない人たち」である,となります (ちなみに本書の中で「やめないこと」と「続けること」は違う,と言及されています) が,その結論に至るアプローチは非常にユニークです.
本書を手がけるにあたり,いしたにさんはまずブロガー・文化人・エンジニア・ネット有名人などを対象に,以下のアンケートを実施します.
・お名前
・Twitter ID
・ご自分の Web サイト,ブログなど
・いちばん好きな Web サイト (Web サービスも含む) はどこですか?
・初めて見た時にいちばん衝撃を受けた Web サイト (Web サービスも含む) とその理由
・ネットで情報発信する際にいちばん必要な個人のスキルはなんでしょう?
・あなたがネットで情報発信する際に心がけていることは?
・あなたがネットでの活動を続けることができた理由はなんでしょう? なぜ続いてきたのでしょう?
・あなたがネットで活動を続けてきたことで,収入に変化はありましたか?
・収入に変化があった場合,それは活動をはじめてからどれぐらい経ってからですか? (半年・1年・3年・5年・その他)
・ブログなどのアクセス数を増やす工夫をしていますか? (あり・なしのチェックボックス回答)
・ツイッターのフォロワーを増やす工夫をしてますか? (あり・なしのチェックボックス回答)
一般的にアンケート調査の成否というものは,ひとえにその設問にかかっていますが,さすがいしたにさんと言うべきか,思わず自分に当てはめて考えてしまうほど面白く鋭い設問です.
そして得られた110人の回答を一挙に掲載し,その結果を分析し,インタビューを交えながら考察を重ね,最後に「ログ的にものを考える」という持論を展開していきます.
とにかくアンケート結果の一挙掲載が圧巻です.そうそうたるメンバー - その多くは,普段からネットで目にするコンテンツを生み出しているブロガーやクリエイターの方々 - の生の声は,首が折れるほど頷きたくなるものから,考えもしなかったことを意識させられるものまであり,とても興味深いものでした.これだけでも本書を手に取る価値がある.
また,最終章の「ログ的にものを考える」については,ログが重要であるからこそやめないことが大事であり,ではログをどう蓄積し,どう活用するべきかについて,独自の見解を披露しています.
それぞれの詳細については本書を手に取って頂きたいのですが,ここではせっかくなので,上記アンケートに対する私の回答を書いてみたいと思います.
【お名前】
Toshiya Hasegawa
【 Twitter ID 】
@toshiya
【ご自分の Web サイト,ブログなど】
http://peace-pipe.blogspot.com/
【いちばん好きな Web サイト (Web サービスも含む) はどこですか?】
現時点では Tumblr かな (Peace Pipe: Tumblr のおもしろさを書いてみる [memo]).
あとはもちろん自分のブログですね.
【初めて見た時にいちばん衝撃を受けた Web サイト (Web サービスも含む) とその理由】
1つだけ挙げるなら Wolfgang's Vault です.単に音楽が好きで,自分にとっては宝箱のようなサイトだから.
ネット的に答えると,2005年前後にウェブが静的なものから動的なものに移り変わっていく中で,その一端を担ってきたサイトやサービス…具体的には,コンテンツにおいては Digg とか Delicious とか Flickr とか,UI においては Gmail とか,更にその時代の数々のブログには,それぞれ衝撃を受けてきました.
最近のものだと Turntable.fm が一番衝撃的でしたが,アメリカ以外からアクセスできなくなってしまったのが残念.
その他にも,Google Earth とか Google Maps (特にストリートビュー) とか Wikipedia とか YouTube とか Twitter とか Facebook とか,どれもめちゃくちゃすごいと思いますけど.
【ネットで情報発信する際にいちばん必要な個人のスキルはなんでしょう?】
頭や心にある漠然としたものを,素早く形にして吐き出す力.
受け取る情報を鵜呑みにするのではなく,自分なりに咀嚼する力.
【あなたがネットで情報発信する際に心がけていることは?】
完璧主義にならないこと.
あくまで主観的に,自分というフィルターを通して見たり感じたりしたことを綴る,ということ.
【あなたがネットでの活動を続けることができた理由はなんでしょう? なぜ続いてきたのでしょう?】
アウトプットをすればインプットの質が高まるというネットの原則を,身をもって体験してしまったから.今ではそれが当たり前になってしまったから.
つまり基本,自分の為にやっているから.
【あなたがネットで活動を続けてきたことで,収入に変化はありましたか?】
はい (雀の涙ですけど).
【収入に変化があった場合,それは活動をはじめてからどれぐらい経ってからですか? (半年・1年・3年・5年・その他) 】
1年.
【ブログなどのアクセス数を増やす工夫をしていますか? (あり・なしのチェックボックス回答) 】
今はしてません (昔はしてました).
【ツイッターのフォロワーを増やす工夫をしてますか? (あり・なしのチェックボックス回答) 】
いいえ.
余談ですけど,ツイッターのフォロワー数って,あまり意味が無いと思ってます.
個人的には,「Twitter でどれだけの人にフォローされているか」は,最早あまりクレディビリティーにならないと思う.フォロワーはお金でも買えるし,本書にあるように,誰かをフォローしたらその何割かはフォロー返しをする.
なので,(1) 適当に沢山フォローする → (2) フォロー返ししなかった人をリムーブ → (1) に戻る…を繰り返せば,簡単にフォロワーは増やせる.
強いて言うなら,フォロワー数よりも,「いくつの,どんなリストに入れられているか」の方が重要,というか,知らない人の信頼性を計る上では見た方が良いポイント.
加えて,アンケート結果の中で私が特に共感を覚えた,drikin さんの回答を1つ紹介しておきます.「インターネットはタイムマシン」って名言だ.
結局、ネットの先に人がいるから。
インターネットはバーチャルで人との付き合いが薄れるなんていうのはナンセンスの極みで、僕としてはインターネットは人間のコミュニケーション能力の増幅装置であり、タイムマシンであると思っていて、人が一人で生きられず、常に他人とのコミュニケーションの上で成り立ってる限りネット活動は続くと思う。
-- drikin (「あなたがネットでの活動を続けることができた理由はなんでしょう? なぜ続いてきたのでしょう?」という設問に対して)
そもそもインターネットなんていうものは,それぞれが勝手な定義をして勝手に摂取すればいいと思ってる.たまに「ネットで成功する為のノウハウ本」を見かけますが,そんなものは何の役にも立ちません.
本書はその類の本ではなく,インターネットのテクノロジー・アーキテクチャー・コミュニケーションを身体で理解している人たち,そしてそれが生活の一部となっている人たちの本音に触れられる本です.それはあなたに確かな気づきを与え,自らのポリシーを振り返るきっかけをもたらすでしょう.
ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である いしたに まさき |
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