2016年4月10日日曜日

身体に悪いことは分かっているのに辞められない,そんな麻薬のような本 / その女アレックス [book]

その女アレックス (文春文庫)

少し前に,様々な賞を総ナメにし,「史上初の6冠達成」と騒がれた本.私が信頼する書評ブロガーさんも絶賛していたこともあり,いつか読んでみようとは思っていました.
読むなら徹夜を覚悟して『その女アレックス』: わたしが知らないスゴ本は,きっとあなたが読んでいる

それこそ徹夜を覚悟して手にとったのですが,かなり描写がグロく,私の場合はある程度のところでお腹いっぱいになってストップがかかる.まるで,とっておきのウィスキーを毎晩チビチビ飲むような楽しさがあったここ数日です.

ですが,後半は一気に読了.辞められないけど,残酷で耐え難いエピソードは次々と襲ってくる.それは,身体に悪いことは分かっているのに辞められない麻薬のようでした.

なぜか後味は悪くない.ラストシーンに救われた気がします.それだけではネタバレにならないだろうから,ヴィダールの最後の台詞を引用しようかと思いましたが,やはりやめておきましょう.最初から本書を読み進めた上で,エンディングのアルマンとヴィダールの言動を目にしてほしい.

代わりに本書を象徴していると思った,こんな一文を引用します.

写真は写実でしかないが ,絵画は現実だ .それは描く人間 ,描かれる人間 ,あるいは見る人間の現実であり ,その人間の想像や幻想や文化や生き方をまとった現実となる.


ぜひ,極上の麻薬をどうぞ.

その女アレックス (文春文庫)

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