IT 企業やベンチャー企業が，報酬の一部としてストックオプションを用意しているという話はよく聞きますが，実は株式を報酬とする仕組みにはいろいろあるようです．
この辺りの話を詳しく聞く機会があったので，メモしておきます．
会社にもよるが，大きく分けて
- Stock Option
- RSU (Restricted Stock Unit)
- ESPP (Employee Stock Purchase Program)
の3種類がある．
【Stock Option】
予め決められた価格で自社株を買う権利．
Grant date の株価 (固定) で付与される．
例えば
- Grant date: 1/1/2013 (権利が与えられた日)
- Stock price: $40 (Grant date の株価，後にこの価格で自社株を買うことができる)
- Granted: 1000 shares (1000株付与)
のような感じ．
権利実行できるようになることを vest と言い，実際に権利実行することを exercise と言う．
通常は一気に vest されず，例えば毎年25%ずつ vest され，4年かけて100%の権利を得る (この例だと，1/1/2014に，まずは250株 vest される)．
Exercise するということは，すなわち vest された株を，「$40で買う」という権利を行使して買うと同時に売り，差額をもらうということ．
従って，その時点で株価が$40を下回っていると，vest されていても exercise する意味が無い (exercisable stock として使うことができない) ので，会社の株価が上がる前提の仕組みと言える (逆にそれをモチベーションに，会社を成長させることを意識して社員に働いてもらう)．
【RSU (Restricted Stock Unit)】
譲渡制限付き自社株取得権．
基本的に，「Grant date における stock price をゼロとした Stock Option」と考えることができる (完全にゼロにはできないらしく$0.0001とかになっている)．要は，報酬の一部として株がポンともらえるイメージ．
株価に関わらず儲けが保証されることになる．
Stock Option・RSU 共に，vest された後すぐに exercise しなければならないことはない．但し両者とも，exercise する時は社員でなければならない (通常，退職後3ヶ月の猶予はある)．
優秀な社員に長く勤めてもらう為に，付与された株は4年程度に分けて vest される点，その4年以内に (100%に達する前に) また新たな株が付与される点も Stock Option と同様．
【ESPP (Employee Stock Purchase Program)】
社員持株制度．
上限はあるが，給料から一定パーセント天引で積み立て，半年ごとに会社の株を割引で購入できる制度．
全ての会社が同じではないが，頑張っていることろは15%引きとか．半年期間の期初，期末の時点での株価において，安い方から15%引きになる．
例えば現 program period が1/1-6/30 (通常米時間) とすると，30日の NY 市場が閉じると同時に，積み立てた金額が株に変わり，事前に設定してある E-Trade などのアカウントに入る．翌日即売りもできるし，今後の成長が期待できるのであればいつまでも持っておける．
ESPP は Stock Option・RSUと異なり，購入した時点で個人の所有物になる (退職後も持ち続けることができる)．
またこの安値は，最安値がその後の program period で更新されない限り，最大2年まで保証される．この制度がある会社だと，半年でほぼ15%の利息が確実につくので，借金してでもやったほうがいいという考え方もできる．
注意点としては，確定申告をしなくてはならないこと．
Stock Option の grant 時の金額，RSU の vest 時の金額，ESPP の discount 分は，全て会社の負担になるので，「給与所得」として申告する必要があるが，これは通常，源泉徴収に反映されていない．
また，給与として申告した時点の金額から実際の金額が上回る場合 (すなわちその時点より株価が上がり，儲けが出た場合) は，その儲け分を「譲渡所得」として申告する．
Employee stock option - Wikipedia
Restricted stock - Wikipedia
Employee stock purchase plan - Wikipedia
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