2006年6月28日水曜日

Bill Gates のデザインレビュー [memo]

Joel Spolsky というエンジニアが,Microsoft で働いていた時代に Bill Gates に直接受けたレビューの想い出を赤裸々に告白している.
Joel on Software: My First BillG Review
日本語訳はこちら.
はじめてのBillGレビューのこと - The Joel on Software Translation Project

おもしろいのは,Gates がレビューの間に発する F word (F*CK のこと) が少ないほど良いレビューとされていたようで,この時もわざわざ Gates の F word を数える為だけの役割がいたというところだ.

a person who came along from my team whose whole job during the meeting was to keep an accurate count of how many times Bill said the F word. The lower the f***-count, the better.


前回の記事で,「名監督は名選手でなければいけない」と 主張した が,Bill Gates はその最たる例かもしれない.個人的に好きか嫌いかは置いといて,彼のエンジニアリング能力が超人的であることは疑いの余地が無い事実だ (彼の場合,同時に天才的なビジネスセンスも合わせ持っていたわけだが).

またその気性の荒さも有名で,元 Microsoft のアーキテクト・現 UIE 代表の中島氏も,
CNET Japan Blog - 中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル:Ray OzzieはMicrosoftを生まれ変わらせることが出来るか?

四半期に一度だけは「Windowsはどんなアーキテクチャで作っているか」、「その戦略的な意味」などをBill Gatesに直接プレゼンしていた。そのミーティングは、各プロジェクトのSoftware Architectが必ずくぐらなければならない試練で、「準備不足でミーティングに臨んだあるアーキテクトがBill Gatesにケチョンケチョンに批判されて本当に泣いてしまった」という伝説があるぐらいに恐れられているものであった。

と書いているし,彼のもう1つの Blog の
Life is beautiful: リーダーシップについて思い出したこと

私が米国のマイクロソフトで働き始めてまだ日が浅い頃、ソフトウェアの開発に関連して似たような言い訳をビルゲイツの前でした人間がいたのだが、その瞬間にビルゲイツは机を叩いて真っ赤になって怒り始めたのだ。

などというニュアンスからもその様子が垣間見える.

余談になるが,ソニーを創業した盛田元会長にも似たような逸話が残されていて,なんでも新製品の試作を見せに行く時は壊されに行くようなものだったとか.一通り説明が終わると,自分が気に入らないところをブチまけて,最後には試作を壁に叩きつけてその場が終わっていたと聞いたことがある.


いずれにしても Gates が,そのとんでも無い技術力と揺るぎようの無い信念,さらに極端とも言えるパワーマネージメントに基くリーダーシップを持って,Microsoft というモンスターをリードしていたのは間違いない.彼が去った後,このモンスターがどうなるのかは非常に見応えがありそうだ.

ちなみに Bill Gates に関しては,古川 享氏 (元マイクロソフト日本法人会長・最高技術責任者) の 「私の知っているビルゲイツ」シリーズ もおもしろい.

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