2006年1月27日金曜日

むしろ Jobs が John で,Gates が Paul だと思う [ce]

Hotwired Japn の記事より.
ジョブズとゲイツ、真の「善玉」はどっち?

Apple の Steve Jobs と Microsoft の Bill Gates を比較した記事は腐るほどあるが,これは2人の社会活動にフォーカスして書かれている点で興味深い.著者は Gates にシンパシーを抱いているようで,なにより

同じ理屈で、私はミック・ジャガーよりもボノを、エルビス・プレスリーよりもジョン・レノンを尊敬している。なぜなら、ボノやレノンは自分自身の名声以上に大きな問題について、あえて声をあげたからだ。

という一文に目をひかれた.

この内容には一理あるかもしれないが,「なんかそれっぽい『コラムニスト』が書いた文章だなー」というのが私の感想.はっきり言って,我々「ユーザー」がある企業の CEO を見る時に注目するのは,その社会活動なんかではなく,最高経営責任者としてどのような舵取りをし,会社をどんなカラーに染めているかであり,そこから産み出される「商品」こそが企業とユーザーの接点なのである.

私個人の2人の天才に対する印象は,Jobs は単純に「クールでカッコよく,ユーザーの心を酔わせる」モノが作りたくて,それを素直に実行している人.Gates は,「世の中に広く普及して,とにかくクオリティーよりもシェアで他に勝つ」モノが作りたい人.結果としてマイクロソフト製品は,Windows を筆頭に世界中のデファクトスタンダードになったが,「熱狂的なファン」はむしろ Apple の方が圧倒的に多い.

もしかしたら,Gates だって「クールでカッコいい」ものが作りたかったのかもしれないし,彼がその気になれば Apple 以上のモノが作れただろうとさえ私は思うのである.だがもし彼がその欲求を抑制して,あくまでも「勝ち」にこだわっているとしたら?

良くも悪くも不器用で,自分の信じたロックを貫き通し,またそうすることしかできなかった真のロッカー John. ロックが大好きで初期の頃はシャウトしていたのに,「このバンドにロックンロールは2人も要らない」と悟り,あえて「Yesterday」や「Michelle」のような甘いバラード路線を歩み大成を果たした器用な大天才 Paul. 例えば一般的に「Beatles の名曲は?」と聞かれると,「Yesterday」「Hey Jude」「Let It Be」といった声が聞かれると思うが,これは全部 Paul の曲だ.でも「In My Life」にしても「Girl」にしても「Yer Blues」にしても,どうしたって John の曲の方が浸みるのである.Paul の曲は BGM に成り得るが,John の曲は成り得ない.心が掴まれて会話が止まってしまうからだ.

そう,私に言わせれば,Steve Jobs が John Lennon で,Bill Gates が Paul McCartney なのだ.


2 コメント:

匿名 さんのコメント...

わかるような気がする

Toshiya Hasegawa さんのコメント...

君にそう言ってもらえると心強いよ.