Sunday, August 29, 2010

HDR (High Dynamic Range) 画像を作ってみました [diary]

世間ではそろそろ夏休みも終わり.というわけで私のこの夏の自由研究テーマ…ではありませんが,以前から興味があった HDR 画像を作ってみました.

HDR とは "High Dynamic Range" の略.「で,それってなによ?」という話の前に,百聞は一見にしかずで,先日秋川渓谷に行った時の写真から今回作った HDR 画像がこちらです.

IMG_2830_tonemapped

とてもリアルで,それでいて絵画のようでもないだろうか?


人間は,目から飛び込んできた光景の明るい部分と暗い部分を,脳で勝手に混ぜ合わせて自動処理している.これに対して写真は明度を「露出」という概念で一意に決める.例えば花火大会などに行くと,目にはある程度暗い個所や隣の人の顔なども見えているのに,撮った写真は花火の光以外の部分は真っ暗ですよね.

HDR とは,同じ写真の異なる露出を複数合成する技術である.これにより明暗を1枚の画像で同時に表現し,人が脳で感じたイメージに近いリアルな光景を再現することができる.さらに合成の仕方によっては,逆に絵画のような幻想的かつ現実離れした画像に仕立てることも可能だ (上の写真はその中間を狙って作ったつもりです).

さらに詳しくはこのあたりなど.
HDRI(ハイダイナミックレンジイメージング)とは? - HDRiな生活
ハイダイナミックレンジ合成 - Wikipedia

AEB (自動段階露出機能) が付いているカメラであれば,1回シャッターをきれば,任意の露出に対してそのプラス側・マイナス側に補正した写真を複数同時に撮影してくれる.HDR 作成には,-2, 0, +2 の設定で撮った3枚を合成するぐらいで良いそうだ.あるいは RAW 撮影できるカメラ (最近のカメラはほとんどできる) であれば,1枚の RAW 写真から HDR を作ることができる (RAW には複数の露出情報が含まれている為).

HDR 作成には,Photomatix というソフトを使うのが定番らしい.有料のソフトだが,機能制限された無料体験版がある (私も今回はその体験版を使った).Photomatix の設定については,こちらに詳しく解説されている.
photomatix各パラメータの感覚的説明。コツはとにかく作りまくる@大塚公園 - HDRiな生活


さて,冒頭でエラそうに晒した私の HDR 画像だが,おそらく玄人に言わせればこれは「悪い見本」ということになる.

HDR 画像は作成して終わりではなく,その後さらに自分のイメージに近づける為に Photoshop などを使ってポスト処理するのが基本なのだそうだが,今回私はそこまでやっていない.その辺りのワークフローはこんな感じ.
HDR作成におけるphotomatixからphotoshopへのワークフロー例 - HDRiな生活


Web には素晴らしい HDR 画像がたくさんあがっているので,そちらを見ると HDR の本質がさらに感じられると思います.Flickr の HDR グループ も良いが,特に HDR の第一人者,Trey Ratcliff の作品など,目を疑ってしまうほど秀抜だ.

Fourth on Lake Austin
Sunflowers at Sunset The Lonely Trinity I've reached the end of the world Farewell India - The Taj Mahal Hong Kong from the peak on a summer's night The Open Road


最後に,写真について私が好きな言葉,Michael Kenna のこの言葉で閉めたいと思います.Kenna は白黒の写真を好む風景写真家ですが,この言葉は HDR にも通じるものがあると思います.

私は描写を超越した暗示力をより好むのです.

写真は私にとって世界を転写することではありません.

私はそこに見えるものを正確にコピーすることには興味がないのです.

写真の最も強い要素の一つは世界の一部を記録することですが,同時にそれぞれの写真家の美的センスと統合させることでもあるのです.

その結果が解釈であり,この解釈こそが興味深いと私は思うのですが,主題がそれぞれの人々の心のフィルターを通過することで違う状態で出現したとき,それはもはや何かの複写や記録ではなくなっているのです.

-- Michael Kenna


写真は,感情に訴えるからこそ素晴らしい.


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