2006年4月14日金曜日

ソニー 未来は見えたか [ce]



日経ビジネス4月3日号で,「政権交代1年 ソニー未来は見えたか」という特集があった.特に前半,デジタルテレビの製造・販売面をクローズアップしている部分は,開発寄りの話に注目しがちな私としては興味深かった.

「もう1年も経ったのか…」というのが正直な感想.はっきり言って,ストリンガー・中鉢体制になってから,改革をしている雰囲気が漂うことはなく,世間から見て非常に印象が薄い感は否めないだろう.

それでもこの特集を読むと,「見えないところで着実に手を打っている」ことが分かる.ただ,なんというか,例えハッタリでも,もっと外にアピールすることも必要なんじゃないかと思う.

以下,いずれも特集の中の中鉢氏のインタビューより:

この1年,私は将来の夢を語るビジョンをあえて封印し,心の V字回復と利益を出すことに専念してきました.

今は社長の私1人がトップダウンでガリガリと自分の夢を語る時代ではありません.

いろいろな階層の人の声を聞き,私自身の意見も入れて,ソニーらしさとは何なのか,改めてビジョンの策定をしているところです.


本当にそうかなぁ?
魅力のある企業って,やっぱりトップの印象が強烈に強くて,明確な意志を持って会社の舵取りをしていることを感じることができると思う.実際にはそうじゃなくて上記のように思っていても,それをインタビューで言っちゃダメだと思うのだ.

ソニーのトップなら大いに夢を語ってくれよ.

それに「いろいろな声」を聞いて,本当にソニーらしさが追及できるだろうか? いろいろな意見を取り入れて作られたものは,えてして非常に退屈なものだったりする…って,そんなことは中鉢氏には釈迦に説法だろうが.

彼が堅実かつ確実にアウトプットを出していることは事実である.また,聞き手も最後に語っているように,インタビューの後半では「圧勝しなければ勝ちではない」「『ソニーユニーク』というのはまるっきりユニークでないといけない」といった熱い言葉も聞かれるあたり,やはり「ソニーの人なんだな」と感じる.ただもう少し外に対してアピールをしていかないと,いつまでも「町の工場長」のイメージから脱却できないと思うのだが...


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