Friday, March 10, 2006

Four dead in Ohio [music]

普段 iPod を持ち歩いていて,特に聴こうと思うものが無い時は「シャッフル」にしてずっと流しているんだけど,そんな時しばらく聴いてなくて久しぶりに聴くとハッとする曲に再会することがたまにある.今日まさにそんなことがあった.山手線の中で流れてきたギターのイントロが脳天に突き刺さり,懐しさとある種の緊張感が走り,少し体が熱くなった.

Neil Young が書き,CSN & Y として出した "Ohio" という曲である.

CSN について少し紹介しておくと,1968年に Byrds の David Crosby, Buffalo Springfield の Stephen Stills, Hollies の Graham Nash という当時のバンドのスーパースターが集まって結成されたバンド (3人の頭文字を取って CSN) で,1970年には Neil Young が加わって CSN & Y となり,ロック史上に残る名盤である Deja Vu をリリースして大旋風を巻き起こす.CSN に参加していた頃の Neil Young は本当に素晴らしい (実は彼のソロはほとんど聴かない).Crosby, Stills, Nash に交わることで,ある種の化学反応が起きていたように思うのは私だけだろうか.


Ohio が私にとって特別な曲になったのは,そのあまりに重い歌詞の意味と背景を知った時だった.この曲もまた私にとって「流れてくれば会話が止まってしまう,BGM にはなり得ない曲」なのである.David Crosby がこの曲の録音直後に思わず泣き出してしまったという話も有名だ (曲の最後で感極まって叫んでいるのも Crosby).


1970年5月4日,Ohio 州の Kent State University で,反戦運動に参加していた学生4人が州兵に射殺されるという 悲劇的な事件 が起きてしまう.他に1人の永久麻痺になった学生を含む9人が撃たれ,襲撃された計13人のうち11人が「横か背後から」銃弾を受けていた.平和を勝ち取ろうと訴えかけていた学生達の無垢で純粋な想いは,政府側の一方的かつ暴力的な糾弾によって幕を閉じたのだ.法を盾にデモに参加していなかった生徒にまで無差別に銃を乱射したこの事件は,まさに政府による「虐殺」以外の何ものでもない.

1970年代のアメリカは急激に病んで行く.ドロ沼化したベトナム戦争はアメリカの体力を蝕み,国民の心は疲れ果て,強いアメリカは衰退して行った.この事件は,60年代の「Woodstock Nation」としてのアメリカがその幻想主義・楽観主義に終わりを告げ,暗黒の時代に突入する境目の象徴的な出来事として振り返られることも多い.そして Ohio はそんな時代のプロテストソングとして全米中の心に響くことになる.

CSN & Y は事件のわずか数週間後にこの曲をリリースした.ニクソン政権を名指しで批判する Young の声は悲しみと怒りに満ち溢れ,あまりにもストレートかつダイレクトなメッセージを投げかけてくる.そしてその歌詞のみならず Young, Stills, Crosby のギターがなんとも強烈に語りかけてくるのだ.なんというか,思いっきり頭を殴られ,胸ぐらを掴まれて,まっすぐな眼光で睨みつけられる…まるでそんなギターだ.


たった3分,10行の歌詞のこの曲からは,時代の悲痛な叫びが聞こえてくる.


武器も持たない学生が自分の国の兵隊によって4人撃ち殺され,Jimi Hendrix が死に,Janis Joplin が死んだ.

1970年とは,そんな年だったのだ…


Tin soldiers and Nixon coming,
We're finally on our own.
This summer I hear the drumming,
Four dead in Ohio.

Gotta get down to it
Soldiers are gunning us down
Should have been done long ago.
What if you knew her
And found her dead on the ground
How can you run when you know?

Four dead in Ohio

Four dead in Ohio

Four dead in Ohio

Four dead in Ohio

Four dead in Ohio...

-- Ohio / Crosby, Stills, Nash & Young


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