Thursday, February 9, 2006

ウェブ進化論 - 本当の大変化はこれから始まる [memo]


アマゾンで予約注文していた梅田 望夫さんの「ウェブ進化論」という書籍,昨日届いて一気に読みきってしまった.思えば,手にした時から他のことには目もくれずに読破した本は久しぶりだ.

この本は,私がこの Blog でも度々言及してきた,個々の情報発信が容易になった今日の「総表現社会」について,一般的には「サーチエンジン」ぐらいにしかまだ認識されていない Google という社会 (「会社」ではなくあえて「社会」と呼ぼう) が恐ろしい構想を持った脅威であること,そして今まさに世界そのものを変えようとしてる変革の真っ只中に我々がいること,などを見事に表現している.この変革を直感的な概念としてはしっかりと確信しつつも,なかなか表現することが難しかったもどかしさが的確に言葉として説明されているという点で,この本はとても貴重であると同時に少し悔しい気分にさせる.

ポイントをいくつかあげておこう.
今起きている革命は情報革命であるということ.そしてこれは例えばかつての産業革命がそうだったように,騒がれている時はそれほど実感できるものではなく,その後すごく長い時間をかけてゆっくりと変化していくということ.またこの変化は,これまでの知識や経験では説明できないようなものであり,本の中の表現を借りればそれは「これまで見たことのある何ものにも似ていない」もので「その異質性や不思議さをそのまま飲み込んで理解するよりほかない」ということ.Google が,ネット世界の新しいルールを全て体現し,知の世界を再編成しようとしていること.また Google と楽天やライブドアといった日本の IT 企業との対比はりんごとオレンジを比べるようなもので意味がなく,むしろ日立・東芝・富士通・NEC・ソニー・松下といった企業が半導体やPCには飛びついたのになぜインターネットには飛びつけなかったのかという問いかけの方が本質的であるということ,「チープ革命」「ロングテール」「Web2.0」といったキーワードについて.

書籍帯には将棋の羽生 善治が

これは物語ではなく現在進行系の現実である。
グーグルとネット社会の未来について、希望と不安が見えてくる。

というコメントを寄せているが,私もこの本を,「意見」が主張されたものではなく,「事実」が説明された解説書,と捉えた.

そしてこの本は,序章で「この変化は見ようという意思を持たなければ見えない場所で起きている」と前置きしながら,最終章で「大きな環境変化が起きたときに,真っ先に自分が変化しなければ淘汰される」というシリコンバレーの掟を紹介している.
できれば,この Blog を読んでくれているみなさんを始めネット社会に身を置く全ての人に読んで頂きたい.いやむしろ,今何が起きているか理解できない頭の固い連中にこそ読んでほしいのかもしれない.実際梅田さんもある対談で,「ネット社会に身を置く人にとっては,この本の内容は全部知っていることかもしれない.でも自分の考えを親とか,全然理解してくれない人に説明する時に,この本の内容を自由に盗んで使ってもらえればいいと思う」と言っていたし,所々感じるこの本の中の「まわりくどさ」はこれらの連中に対しても意識して書かれているからだろう.


また,この書籍の発売を記念して,梅田さんがブロガーとディスカッションを行うというイベントが行われた.
東京で「ウェブ進化論」出版記念イベント
「ウェブ進化論」: あとがきの一部、発売日の東京でのイベント
既にこの内容が音声ファイルとして 公開されている が,こちらでも非常に興味深い議論を聞くことができる.梅田さんが既存メディアに対して「製造業や他の産業に対して『もっと経営努力をしろ.国際競争においてなにをやってるんだ』と毎日のように書いているくせに,メディアは何もしないでじゃぶじゃぶの経営をやっている.人に対して言った厳しいことの半分ぐらいを自分でやれば普通に survive できるんじゃないの?」と言いきったのは痛快だったな.


2 comments:

Kats said...

買うことに決めた。
ToshiにAmazonから手数料入るね。

toshi said...

ハハ,サンキューね.Peace Pipe の affiliate 第1号かな.是非本を読んだ感想を kats の Blog かこのエントリーのコメントにでも書いてほしいな.

ところで,エントリー中でも書いた通り,自分はあくまでもこの本を「解説書」と捉えたので「書評」ではなく「紹介文」としての位置付けで文章を書いたつもり.逆に言うと既に本を読んだ人にとっては,ある意味で本の内容をなぞらえるだけのつまらない文章になってしまっているのかも.

ネット上には「書評」としてもう少し内容に言及した素晴らしい文章がたくさんあるので,そちらも参考にされると良いかもよ.

R30 とか,H-Yamaguchi.net とか,404 Blog Not Found とか.